「サドン・アサルト」

Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

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Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

◇与太話◆ ◇イベント記念な◆

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「暇だ」「暇だねぇ」ブイン基地埠頭、二人の提督がぼやいていた。「大規模作戦前とはいえ暇過ぎるな」褐色肌で灰髪の提督が小石を投げる。「着任したての私には遠い話だよホント」黒髪の提督が胡坐をかき、水平線を見つめる。「練度が足りないって…ん？」黒髪の提督が何かを見つける。 1

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「どうした」「何か、向こうから火薬の臭いが」黒髪の提督が臭いを嗅ぐ仕草をする。「ほう」褐色肌の提督は一瞬で表情をと変える。「距離判るか？」「多分」褐色肌の提督は懐から通信端末を取り出し、命令を下す。「こちらリカルド。近海で戦闘可能性。繰り返す。近海で戦闘可能性」 2

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―――　3

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「ハァーッ！ハァーッ！」“彼女”は息を切らせながら、膝をついた。その体は傷だらけで、その身に纏う艤装も無視できぬほどの傷ついている。“彼女”は艦娘だ。「早く、逃げなきゃ」彼女は立ち上がろうとした。だが、消耗は“彼女”から立ち上がる気力を奪い去っていた。「せめて、知らせないと」 3

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だが、“彼女”の立つ海上から水深200メートルほど。息を潜める潜水ソ級の姿在り！損傷している“彼女”は気付くことができない！おお、ブッダよ！彼女はこのまま海の藻屑と消えてしまうのか！ソ級が無慈悲なるカイシャク魚雷を放たんとした、その時！KABOOM！突如、ソ級の頭上が爆ぜた！ 4

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「！？」ソ級は突如とした爆発に怯む！空母による対潜爆撃だ！そして間髪入れず、複数の筒が遡及の周囲へと沈んでくる！KADOOOM！KADOOOM！KADOOOM！爆雷である！遡及は爆破の衝撃で、海上へと叩き上げられる！「イヤーッ！」強制浮上と同時に、ソ級の首を何者かが掴む！ 5

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マンリキめいた力で持って、ソ級の首は締め上げられる。ソ級は己の首を絞める者を見ようとした。「駄目だよぉ」戦場に似つかわしくない、軽やかな声が聞こえる。「那珂ちゃんのファンを虐めちゃ、ね？」同時に、ソ級の首が圧し折られる。そしてソ級は投げ捨てられ、主砲群に撃ち抜かれた。 6

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那珂はソ級が爆発四散する様を、無感動に見つめた。そして、追われていた艦娘に振り返り、笑顔を見せる。「今度は間に合ったね、阿賀野ちゃん」隼鷹に抱えられ、阿賀野は安心したかのように気絶していた。「急いで戻ろうぜ」隼鷹は阿賀野を背負う。「嫌な予感がするぜ」 7

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「そうだね」那珂は阿賀野が来た方向を、トラック泊地がある方向を見つめた。そこには、微かな黒煙が燻って見えた。 8

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――― 9

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ブイン基地作戦本部。そこには、この基地に所属する提督、及び、輸送任務でこの基地に赴いている提督たちが集められていた。「先程、大本営より通達があった」ブイン元帥が口火を切る。「トラック諸島が深海棲艦に包囲され、同時に、トラック泊地も敵潜水艦に包囲され閉じ込められているらしい」 10

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「鹿屋基地のリカルド提督の艦隊が保護した阿賀野の報告に依る所、敵は何時空襲を始めても可笑しくない状況だ」集められた提督たちが騒めく。「状況が非常に危険だ。トラック泊地は我ら南方戦線の要所。ここが陥落すれば、芋蔓式に我らも終わりだ」元帥の額に汗が浮かぶ。 11

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「本土からの救援を待つ悠長な時間は無い」元帥は集められた提督一人一人の顔を見た。「よって！これよりトラック泊地奪還作戦を開始する！諸君等には、本土からの応援が来るまでにトラック諸島を包囲する敵潜水艦群を撃滅、トラック泊地の艦娘や提督たちを救出してもらう！」 12

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「トラック泊地解放後は、本土からの増援と共に敵機動部隊を叩く！詳細は追って伝達する！総員対潜部隊を整えよ！」「「「了解！」」」「作戦開始はフタマルマルマル！各員、暁の水平線に勝利を刻み込むのだ！」「「「了解！」」」提督達が慌しく出ていく。元帥は席に座り、水を飲んだ。 13

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「貴官は行かぬのかねリカルド殿」元帥はリカルドを見つめた。「一つ、聞きたくてな」「何だ？」「今回の大規模作戦は、トラック空襲にまつわるとは事前に聞いてたが」リカルドは僅かに言いよどむ。「今回の大規模作戦と、この包囲は恐らく無関係だ」元帥はリカルドの発言の意図を汲み、答えた。 14

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「何故そう言い切れる？」「ありえぬからだ」元帥はもう1杯水を飲んだ。「深海棲艦が組織行動をとるのは稀だ。AL/MI作戦の反省を受け、大規模作戦に関する通達は傍受されぬ紙媒体でのみ行う様になっている」元帥はリカルドの目をまっすぐと見た。「トラック泊地を犠牲にする作戦は無い」 15

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「だが、現に包囲されているぞ？」「これは、私の憶測だが…」元帥は立ち上がり、作戦状況モニターへを見た。「深海棲艦もするつもりなのだろう。トラック空襲再現を」「何？」リカルドは眉を顰める。「リカルド提督」元帥は再びリカルドを見据えた。「頼んだぞ。奴等の思うままにはさせれん」 16

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「了解」リカルドは敬礼して、元帥を見据え返す。「死者の思うようには刺せんさ」そして、獣めいてリカルドは笑みを浮かべた。「世界は、生きてる奴等のもんだ」 17

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かくして、トラック泊地を救う大規模作戦が始まった。作戦の果てに何が待つのか。それはまた、別の物語である。 18

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「サドン・アサルト」終

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◆イベントに◇ ◆備えよう◇