#完全ノープラン艦これ与太話 【メリークリスマス・デビルダム】#3～#4

春魔解丼 @vespiking

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#完全ノープラン艦これ与太話 【メリークリスマス・デビルダム】#3 #KZNPLN

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（これまでのあらすじ：クリスマスイヴを迎えた根無し草深海棲艦らのヘイヴン、サメワニ沖自治区は深刻な脱法オハギ汚染に見舞われていた。そのような折、自治会で面倒を見ている幼い深海棲艦、北方棲姫メルカトルが姿を消す。港湾棲姫モルワイデらは調査と並行し、彼女を捜索する） #KZNPLN

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「……ア、ア？」雷巡チ級、テルビウムは覚束無い意識をはたと取り戻し、周囲を見渡した。「……ここは……どこだ？」眼前には、青ざめた顔の離島棲鬼。自治会のブラックピーコックだ。その指差す先に、一軒家。窓が無用心に開けられ、花壇の花が折れている。土には、丸い跡。 #KZNPLN

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テルビウムは自分の尻を確認した。泥まみれだ。そういえば気付かなかったが、尻や腰が少々、鈍く痛んでいる。……そうか、あの窓を開けて、花壇に尻餅をついたのか。では、なぜあの家の中に？そこまで考えて、テルビウムははたと気が付いた。「……ああ、私の家か」「そうだよ！」 #KZNPLN

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「ネエ、大丈夫なの！？テルビウム＝サン！」ブラックピーコックはテルビウムを強く揺さぶった。脳がグルグルと回る感覚。「……アー、どうしたかな。昨日、呑み過ぎたかな……」テルビウムは頭を押さえた。頭痛、と言うには少々、痛みが足りない。浮遊感とでも称するべきか。 #KZNPLN

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ブラックピーコックはいてもたってもいられず、テルビウムの手を強く引き、家に入った。ドアの鍵は開けっ放しだ。狭い一軒家の中は随分と散らかっており、床には生活感のある品物が、本来あるべきではない場所に散乱している。「こりゃひどい」テルビウムは他人事めいて呟く。 #KZNPLN

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居間の床には、確かに酒瓶が転がっている。昨日今日開けられたものだろう。ブラックピーコックはふう、と、少しの安堵をはらむ溜息をついた。「……マッタク、心配したんだよ？」「アー、すまない。最近、仕事がうまくいってなくて……」「もう！相談してくれたらよかったのに……」 #KZNPLN

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そこまで言い終えた時。ブラックピーコックの足に、グシャリと潰れた音がした。紙が潰れる乾いた音と、粘性物体が潰れる湿った感覚が。ブラックピーコックは足元を見た。彼女が踏んだのはコタツのフートンだった。「……？」「……ア、ア、ゴ、ゴメンよ、散らかってて……」 #KZNPLN

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テルビウムは少々慌てた様子で謝罪した。それが、何かとんでもない事を思い出したように見えた。ブラックピーコックは訝しんだ。そして、素早くフートンを剥ぎ取った。「……ア」「ナニ、コレ」ブラックピーコックの足元から、黄色い破片にまみれた、黒い粘性の物体が顔を出した。 #KZNPLN

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テルビウムは青ざめて口をぱくぱくと動かし、何か言おうとした様子だった。だがその前に、ブラックピーコックの掌が彼女の頬を強く張り倒した。「グワーッ！」転んだテルビウムに、ブラックピーコックが掴みかかる。「ちょっと！あれ何よ！何なのよテルビウム＝サン！」 #KZNPLN

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ブラックピーコックはそこまで言い終わり、はたと気付く。黒い物体を包むようにまとわりつく、黄色い厚紙めいた破片に。ブラックピーコックはテルビウムを突き放し、部屋を見回した。「アイエエエ……ゴメンナサイ……」そこかしこに、黄色いブロック状の、厚紙めいた固形物。 #KZNPLN

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当初は何かのオブジェかと思っていたが、言われてみれば確かに、同形物体の数がおかしい。ブラックピーコックは物体を手に取る。厚紙めいた物体が、同形状の上蓋と受け皿のように合わさっている。開くと、中には黒い塊。指ですくい、嘗める。強烈な甘味が脳を穿つ。アンコである。 #KZNPLN

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子供じみて泣きじゃくるテルビウムを、だがブラックピーコックはこれ以上、責める事ができなかった。慈悲や同情ではない。驚愕と失意からだ。「……そん、な」「アイエエエ……ゴメンナサイ、ゴメンナサイ。最近、仕事がうまくいってなくて、つい、その……ゴメンナサイ……」 #KZNPLN

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「……この事は、モルに報告する」「アイエエエ！見逃して！ゴメンナサイ！」テルビウムは泣き叫んだ。「……そういうわけには、いかないよ。大丈夫。絶対助けるから。絶対、助けるから」ブラックピーコックはぎゅうとテルビウムを抱き締めた。「……ナンデ、こんな」 #KZNPLN

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その時だった。半分開け放した玄関ドアが開く音がした。「……おーい、テルビウム＝サン、いるか？」部屋に、ぬうと大柄な深海棲艦が顔を出す。「……ドーモ、ミルメコレオ＝サン」ブラックピーコックはアイサツした。「ああ、なんだ。先に見つけてたか。……ん？これは」 #KZNPLN

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泊地棲姫、ミルメコレオは巨大な脚部艤装を外し、アンコの入ったブロックを手にとった。「……これは」ミルメコレオはブロックを注視し、次にテルビウムらを見た。「アイエエエ……」「驚いたな。どうりでオハギ・レートに変動がない筈だ。アンコを直接、食用のケースで包んでるのか」 #KZNPLN

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ミルメコレオはテルビウムにインタビューすべく、歩み寄る。だが口を開いたのはブラックピーコックだった。「……ネエ、モルは？モルを、見なかった？」「モルワイデ＝サンか？見ていないが、メルカトル＝サンを探してるんじゃないか」ＢＬＡＭ！突如、砲音が轟いた。「アイエエエ！」 #KZNPLN

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テルビウムは恐怖のあまり失禁した。ブラックピーコックのハンディ単装砲が、ミルメコレオの頭髪を一部、焦がし撃ち抜いた。蟀谷から血が垂れる。「……どういうつもりだ、ブラックピーコック＝サン。まさか、お前も」ＢＬＡＭ！もう一発。次はミルメコレオの掌が受け止めた。 #KZNPLN

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「……モルは、どこなの」「知らない」「嘘よ！」ＢＬＡＭ！ＢＬＡＭ！ブラックピーコックは滅茶苦茶に撃った。当然のように、当たらない。「ブラックピーコック＝サン、落ち着……」「ウアアア！」ＢＬＡＭ！ＢＬＡＭ！ＢＬＡＭ！「……もう、ヤダ……誰も信じられない……ヤダ……」 #KZNPLN

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(((……私はミルメコレオの後をつける。もし、見失ったら連絡する。……もし、私からの連絡のないまま、ミルメコレオが現れたら。私は必ず近くにいるし、そこで名乗り出る。……万が一、連絡なく、私がいなかったら……全力で逃げろ。ミルメコレオが、クロだ))) #KZNPLN

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「グワーッ！」モルワイデは暗がりの中で、石壁に強く打ち付けられる。「……テメェ……！メルはどこだ……メルに、手ェ出すな……！」攻撃者はぐにゃりと腰を曲げ、狂ったように嘲笑った。「アッヒヒヒハハ！メルぅー？あの北方棲姫のコト？ヒヒヒ！ヤぁーだよッ！」「ブチ殺す！」 #KZNPLN

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モルワイデの肘から先、サイバネ化された巨腕が打ち出される！「イヤーッ！」肘とアンカーチェインで連結された巨大な爪が、モーニングスターめいて敵艦に迫る！「イヤーッ！」だが、蒼髪にクリスマスめいた赤装束の敵艦は、いとも容易くこれをチョップで弾く！ #KZNPLN

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「キエーッ！」「アバーッ！」赤装束のスシ補給艦は電撃的ドロップキックでモルワイデの腹を蹴飛ばし、内臓が破裂！「イヤーッ！イヤーッ！」さらに追撃の飛び道具……ナムサン。あの飛び道具は……！「グワーッ！」凶悪な十字の投擲刃が、モルワイデに突き刺さる。スリケン！ #KZNPLN