通勤電車番外編－中学生の2人／バレンタイン－

pe-ko @Peko8_m

【通勤電車・番外編1】彼女＊side 確か中2の時だったと思う。 「明日、バレンタインやんか」 「そうだね」 「今年は、チョコレートは要らんから」 そう侯くんに言われた。 「別にあげるなんて、言ってないし、1つもチョコもらえなかったら、可哀想だから、毎年あげてただけだし」

pe-ko @Peko8_m

【通勤電車・番外編2】彼女＊side 無駄に強がってみるけど、何だか悲しい。 「それから、もう俺の部屋来るなよな」 「なんで？マンガとか借りたい時どうしたらいいの？」 「弟に言って」 「それより、宿題とか写せなくなるよ」 「えぇよ。別に」 「私のこと嫌いになった？何かした？」

pe-ko @Peko8_m

【通勤電車・番外編3】彼女＊side 「嫌いとかそういうんとちゃうねん。そのな…女がな…」 あぁ…。そういうことか。 「うん、わかった。もう、来ないから安心して」 笑って見せたけど、内心…辛いかも。 「あ、あのさ侯くんと同じクラスの丸山くんって、彼女とか…居るのかな？」

pe-ko @Peko8_m

【通勤電車・番外編4】侯隆＊side 「えっ？丸？彼女は居らんみたいやで？好きな人は居るみたいやけど」 なんや、丸。まさかの両思いかも知れへんぞコレ。 「へぇ…そうなんだ。じゃあ、侯くん、お邪魔しました。絶対に後からチョコって強請ってもあげないからね」 「えぇよ。別に…」

pe-ko @Peko8_m

【通勤電車・番外編5】侯隆＊side 多分…。 今のところ、後にも先にも後にも、あいつからバレンタインチョコをもらわなかったのは、この中2の時だけやったな… なんて、昔のことを思い出す。ところで、今年はどんなチョコもらえるんやろ？ pic.twitter.com/m8kYeMycQx

拡大

pe-ko @Peko8_m

【通勤電車・番外編6】彼女＊side さっきの、侯くんの態度にイライラしながら、家に帰る。 「もしもし？●●ちゃんのお宅ですか？」 当時は、携帯電話も普及し始めたばかりで、持たせてもらえなかった私は玄関脇の固定電話から友達の家に電話をした。 扉の隙間からの風が冷たく寒い。

pe-ko @Peko8_m

【通勤電車・番外編7】彼女＊side 「さっきね、き…横山くんに聞いて来たよ。丸山くんのこと」 中学に入ったら、いきなり、学校では横山くんって呼べって言われるようになったんだよな…。 別にイイじゃんって、私は思ってたんだけど、嫌そうな顔するから、今では横山くんって呼んでる。

pe-ko @Peko8_m

【通勤電車・番外編8】彼女＊side 「それで？何か言ってた？」 「彼女は居ないけど、好きな人は居るみたいだって言ってたよ」 「本当に？彼女居ないなら、頑張ろう！明日のチョコ作り気合いれてやらないと♡」 「そうだね」 「◯◯ちゃんは、勿論、横山くんにあげるんでしょう？」

pe-ko @Peko8_m

【通勤電車・番外編9】彼女＊side 「いや、さっきね、要らないって言われちゃって」 「えー。横山くん、酷くない？◯◯ちゃん振るとかありえない。確かにクールぶってて、かっこいいかも知れないけどさ」 「横山くんって、かっこいいの？」 「そうだよ」 かっこよく見えてるんだ…

pe-ko @Peko8_m

【通勤電車・番外編10】彼女＊side 人から言われて、ドキッてした。 別に…。今まで侯くんは侯くんで、あんまり意識したことなかったし。 「なんか、彼女…居るみたいだからさ」 「えっ、そうなんだ。それじゃ、仕方ないよね」 「でも、私…横山くんのこと好きって言ったっけ？」

pe-ko @Peko8_m

【通勤電車・番外編11】彼女＊side 「えーっ。そうだと思ってた」 「いや、そうかも…」 「何か言った？」 「ううん。何でもない。チョコ作り頑張ろうね。協力するから」 「ありがと」 私って、侯くんのこと好きだったんだ。好きじゃなかったら、こんな気持ちにならないよね？

pe-ko @Peko8_m

【通勤電車・番外編12】彼女＊side よく考えてみたら、私そこから、侯くんのこと、好きだって気づいて… そしたら、もう… あれから何年経つんだろう？ 今年もまた侯くんへのチョコレートを作りながら、そんなことを思い出す。 この後、友達の丸山くんの告白に付き合ったんだよね。

pe-ko @Peko8_m

【通勤電車・番外編13】侯隆＊side 7193113241627121 6271 13422373 141483 丸とポケベルでやりとり。 例年だと、あいつの家で、明日あたり、友達とチョコ作りすんねん。 せやから、ワザとあいつと丸と合わせて…ってええんか、それで？

pe-ko @Peko8_m

【通勤電車・番外編14】侯隆＊side まぁ、俺、一応…彼女、他校だけど居るし？ 幼馴染って言うてもそんな風には思えへんよなぁ…。多分。 でも、丸はあんなんのどこがええんだろ？ 子どもっぽいし、怒ると怖いし、でも、他の人から見たら可愛かったり、すんのか？ ようわからんゎ。

pe-ko @Peko8_m

【通勤電車・番外編15】侯隆＊side なんて、あの頃は思ってたんやけどなぁ… 結局、あいつは昔から、俺にとっても“特別”やったんやろなぁ… なんて、今となれば思うんやけど。 確か、あの時もバレンタイン当日が、今年と同じ土曜やって。 そんで、丸がうちに遊びに来て、それで…

pe-ko @Peko8_m

【通勤電車・番外編16】侯隆＊side 「横ちょ、ホンマにあの子も俺んこと好きなん？」 マンガを読みながら聞いてくる。 「あー、だって、昨日、うち来て…そこで、丸山くんって彼女居るのかな？って聞いて来たからさ」 「それだけや、確信取れへんやろ？」 「そういうもんなん？」

pe-ko @Peko8_m

【通勤電車・番外編17】侯隆＊side 「って言うか、女の子が部屋来て、2人きりって、何とも思わんの？」 「何ともって？」 「ふん。横ちょはそうやって、クールぶってればえぇよ」 「なぁ、それより、あいつのどこがええの？」 「どこって？あの子ってさ…。スタイルえぇやん♡」

pe-ko @Peko8_m

【通勤電車・番外編18】侯隆＊side 「胸大きいし、身体もきっと触ったら、柔らかそうって、夏休みにあった水泳の大会の時に水着姿を見て思ってん」 様するに、好きとかやなくて、ヤりたいとかの感情な。 「俺以外にも、そう思ってるやつ絶対居るで？」 「そんなん、初めて聞いたわ」

pe-ko @Peko8_m

【通勤電車・番外編19】侯隆＊side 単純にあいつがいろんな奴のオカズになってるかもしれんって思ったら、純粋無垢なあいつを護らなあかんかもしれん。 もう、俺はその頃には筆下ろしは済ませてもうてたからな。 あいつのそういうシーンは少し想像して、そう言う風に思ったんやろなぁ…

pe-ko @Peko8_m

【通勤電車・番外編20】侯隆＊side 「とにかく、自分の気持ち伝えるためにな、俺から逆チョコしようと思って、持って来てん。今日」 「そ、そうなんや」 とりあえず、阻止やな。 ポケベルが鳴る。 彼女からやって思って見てみると… 500731 0121948313

pe-ko @Peko8_m

【通勤電車・番外編21】侯隆＊side 「横ちょ、どうしたん？」 「彼女から、別れ話…切り出されたゎ。今日、夜に塾で会うねん。話し聞いてくる」 “バイバイ”と言う微かな声が外から聞こえる。 もしかしたら… しょげてる暇はない。今は丸とあいつを付き合わせんようにしないと。

pe-ko @Peko8_m

【通勤電車・番外編22】侯隆＊side 「もしかしたら、外に居るかも」 急いで丸が俺の部屋を出て、外に向かうから、後を追う。 「あ、横山くん、え！丸山くんも…」 彼女と彼女の友達が驚いたようにこっちを見てくる。 「え、あ、どうも…」 としどろもどろな挨拶を済ませると、

pe-ko @Peko8_m

【通勤電車・番外編23】侯隆＊side 「私、丸山くんのことが好きです」 ってチョコが入った袋を前に出して、頭を下げてて。 丸のこと好きなん、あいつの友達やったんか。それで… 「え、その…えーっと」 「よかったなぁ。丸。彼女、送ってってやりぃ？今、コートとって来るから」

pe-ko @Peko8_m

【通勤電車・番外編24】侯隆＊side 「ちょっと、横ちょ…」 「ほな、さいなら」 無理やり丸とその友達を一緒に帰らせて後ろ姿を見送る。 「侯くん、これ、おじさんと章ちゃんにあげて」 ってチョコの入った袋を渡される。 「なぁ…やっぱり…何でも無い」 俺のは無いよな。

pe-ko @Peko8_m

【通勤電車・番外編25】侯隆＊side 昨日、あんなん言うたからな… 「あのさ、やっぱり、来年からは、俺もお前からのチョコ欲しいんやけど」 「じゃあ、昨日みたいなこと言わないでね」 「ごめん」 その日の塾終わりに彼女に言われた。 同じ中学の忠義くんのことが好きなのって。