はじまり(丸山さんと彼女シリーズ1)

ちょっとやきもちやきな丸山さんと,彼女のお話
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∞すみれ∞ @magic88word

1 月末の金曜日 定時が近づきみんなそわそわ 私も合コンの予定がある それなのに… 月曜日朝一に会議があると 急な資料作りを言い渡されちゃった ここでは私が一番下っ端だから 仕方ない… 先輩達も私を拝むと帰ってく 『はぁ、ほんっとに誰もいない…』 おかげで集中できるか

2015-02-23 16:46:30
∞すみれ∞ @magic88word

2 よし、後はコピーをとるだけ… 順調に動いていたコピー機が止まる …あれ?どうしたの えー!わかんない… 『ちょっとーどうしちゃったのー!』 バンバンたたいてみる 「たたいてもあかんと思うでー」 『ひゃっ』 「あーゴメンびっくりさせたー?」 『だ、誰もいないかと』

2015-02-23 16:46:42
∞すみれ∞ @magic88word

3 「今、戻ってん 確かに今日だーれもいてへんね」 この人誰だったっけ… あ、営業の丸山さん…かな? 去年転勤してきた… 「どうしたん?ちょっと見してみ」 そう言ってコピー機の横に屈み込む 『すみません急に動かなくなって…』 「これ急ぎなん?」 『月曜日にいるんです』

2015-02-23 16:46:52
∞すみれ∞ @magic88word

4 「そか…よいしょっと」 床に座り込むとコピー機をみてくれる 『あのお時間大丈夫なんですか?』 「ええよー帰るだけやし… 座っときーしんどいやろ」 そばに立つ私を気遣ってくれる 真剣な横顔…きれいな顔してるな… ぼーっと見てると 「なに?見とれてるん?」って

2015-02-23 16:47:06
∞すみれ∞ @magic88word

5 「よっしゃ!これでいけるはず」 そう言ってにっこり笑うと 後の作業も手伝ってくれた 『どうもありがとうございます 本当に助かりました』 「いえいえ…えーと、なぁ もし良かったら…ご飯行けへん?」 『え』 「あ、用事あったら別にええねんで」 『や、そんな大丈夫です』

2015-02-23 16:47:16
∞すみれ∞ @magic88word

6 そして丸山さんとご飯に行くことに ほとんど話した事もなかったのに 合コンの予定だったから そこそこおしゃれして来ててよかった 連れてきてくれたのは 私の最寄り駅前の洋風居酒屋 金曜の夜だからほぼ満席で かろうじてカウンターの端っこに 並んで座る めちゃくちゃ距離が近い…

2015-02-23 16:47:27
∞すみれ∞ @magic88word

7 次々面白い話をしてくれて 次第に緊張も解けていく でもお酒が進むうち丸山さんは グイグイ顔を近づけてきて… 私の後ろは壁だし 至近距離で見つめられて クラクラする… 「…さん、○○さん、起きて」 『ん…?え、わ、私寝てました⁈』 「うん」 『ご、ごめんなさい!』

2015-02-23 16:47:41
∞すみれ∞ @magic88word

8 もー初めてなのに寝ちゃうなんて… 最低だー嫌われたよね 店を出て泣きそうになってたら 「ほな送ってこか…またそこらで 寝られたら心配やからなあ」 爽やかな笑顔でそう言うと 私の手をとって歩き出す 『えっ』 丸山さんの大きい手は あったかくてすごく心地いい

2015-02-23 16:47:52
∞すみれ∞ @magic88word

9 『あの…うちここです…今日は 本当にありがとうございました』 「うん…」 手を離そうとすると 反対の手もつかまれて 引き寄せられる 両手を取られて勢い余って 丸山さんの胸に倒れこむ… 『きゃ』 私の手を握る丸山さんの手に 力が入った瞬間、唇が触れた…

2015-02-23 16:48:03
∞すみれ∞ @magic88word

10 びっくりして下を向いてしまうけど また追いかけてきた唇が 強く押し付けられる …うそ…うそ…わけわかんない… いつのまにか舌も絡め取られて 気が遠くなりそう… ようやく解放されて 丸山さんが何か言いかけたけど もう一杯一杯で 『ごめんなさいっ』 って逃げ帰ってしまった

2015-02-23 16:48:15
∞すみれ∞ @magic88word

11 はぁ…はぁ…まだドキドキしてる… いい大人なのに キスぐらいで逃げてくるなんて… 嫌じゃなかったのに 話してるときの丸山さんと あの激しいキスとが結びつかなくて… 月曜日顔を合わせたら どうしたらいいの…? やっぱりちゃんと謝った方が… ひとり悶々と週末を過ごした

2015-02-23 16:48:27
∞すみれ∞ @magic88word

12 月曜日 すごーく気合いを入れて出社したけど 顔を合わさなかった ホッとしたような、そうでないような 複雑な気持ち 次の日も、その次の日も 丸山さんはいない… 営業部の同期に それとなーく聞いてみる 今週は出張に出ているらしい… 何かあるのって冷やかされた…

2015-02-23 16:48:37
∞すみれ∞ @magic88word

13 "○○って丸山さん狙いだったんだー 意外〜!でもライバル多いよー" 『そ、そんなんじゃないよ』 "でもことごとく玉砕していくのよね 地元に恋人がいるって噂だよ" 『そうなんだ…』 そりゃそうだよね あんなにかっこよくて優しい人だもん でもそしたらどうして…

2015-02-23 16:48:47
∞すみれ∞ @magic88word

14 根っからの遊び人なのかも… そんなふうには見えないけど… あんなキスぐらい どうってことなかったのかな… お酒も入ってたし 気がついたら 丸山さんのことばっかり考えてる…私 ダメダメ忘れよ!彼女がいるんだもん そうだ、好きになったらだめだ そう言い聞かせる…

2015-02-23 16:49:01
∞すみれ∞ @magic88word

15 あの日から一週間… 随分前のことのような気がする 今週はなんか疲れたな 早く帰って寝よう… そう思いながらエレベーターを待つ 扉が開いてふと顔を上げると 一番奥に丸山さんが乗ってる…? わゎ、どうしよう!気付かれた! こっち見た… パニックになって咄嗟に走り出してた

2015-02-23 16:49:16
∞すみれ∞ @magic88word

16 私また逃げてる… 逃げてる…ってどこへ? 別に追いかけられてなかったよね フロアの端っこまで走ったとこで 可笑しくなった バカみたい…帰ろ 振り向いたら丸山さんが立ってた… 「はぁ…はぁ…走るん速いなぁ」 『あ、あの…』 「ちょっと来て」 腕を引かれた

2015-02-23 16:49:26
∞すみれ∞ @magic88word

17 私の肘をつかんで フロアの反対側までずんずん歩くと 会議室を開ける 『あ、あの…』 「なんもせーへんよ」 入るのを躊躇するとそう言って笑う 「座る?」 椅子を出してくれるけど 閉めたドアのそばに立つ 「ふっ、そんな警戒せんでも」 丸山さんは近くの机の上に座る

2015-02-23 16:49:36
∞すみれ∞ @magic88word

18 「なんで逃げるん? 俺あんなことしたから?」 『この前は…私びっくりして… 真っ白になっちゃって… ご、ごめんなさい… 謝ろうと思ったんですけど 丸山さん出張で…それで…』 もう何言ってるかわからない… 『お酒の上のことだし 忘れてくださいっ 私も気にしてませんから』

2015-02-23 16:49:45
∞すみれ∞ @magic88word

19 「それって、俺あかんてこと?」 『は?あか…ん?』 「あのーもしかして… 俺告白したん聞いてた? この間居酒屋で…」 『こ…くはく?』 「やっぱ寝てたか〜おかしいと思た〜 そかそかぁ〜それでかー」 丸山さんは笑ってるけど 私はなにがなんだか意味がわからない

2015-02-23 16:49:53
∞すみれ∞ @magic88word

20 『あの…』 急に丸山さんが立ち上がる 「シラフやから恥ずかしな あの俺…ずっと前から君のこと… その…付き合ってくれへんかな…」 『え、でも…あの…彼女いるのに…』 「彼女⁈いてへんよ!」 『みんなのこと断ってるって』 「好きな人がおるって言うただけや」

2015-02-23 16:50:01
∞すみれ∞ @magic88word

21 ちょっと整理しよ… 酔って丸山さんの告白聞き逃してた… 『でもいきなりキスするなんて…』 「覚えてないやろけど 初めて赴任した日に案内してくれたん 君やねん…一目惚れ? でも全然接点なくて いっこも親しなられへんから 思いきって営業の△△さんに 相談してん、君の同期の」

2015-02-23 16:50:09
∞すみれ∞ @magic88word

22 「ほんなら…君は鈍感やから 少々強引にいかなあかんって… あの日… コピー機壊れてるとこに遭遇したんは ホンマ偶然やってんけど」 △△ちゃん…全部知ってたんだ… 知ってて彼女がいるなんて… でもそのおかげで 丸山さんが気になって 仕方なかったんだけど…

2015-02-23 16:50:16
∞すみれ∞ @magic88word

23 「まだ質問ある…?」 壁に片手をついて私をのぞき込む 『え、えーと…』 ふっと笑うとチュッってする… 『なにもしない、って言ったのに!』 「はは、せっかくやから」 彼の胸を押した手はあっさりつかまれ 壁に押し付けられる… そして深いキス…

2015-02-23 16:50:24