渋谷すばる　５

りえこ @eighter_rieko83

渋谷すばる ２６ いつの間にか…ソファーで寝とった…もぉ朝やんけ…。 窓の外が白み始めていた。 エアコン付けっぱなしやったから、なんや喉までおかしい。 あかんわ…商売道具やのに…。 寝とる間に帰ってきたりしてへんか…？ とか、一応家ん中見て回るけど…やっぱりおらん。

りえこ @eighter_rieko83

渋谷すばる ２７ また電話してみるけどやっぱり出らん…。 とりあえずシャワー浴びて、出かける準備して…また電話。 メールもしてみるが…やっぱり反応なし。 そうこうしてる間に仕事行く時間。 …と、電話が鳴る。 慌てて、画面もよぉ見らんと電話に出た。 渋谷「もしもし！」

りえこ @eighter_rieko83

渋谷すばる ２８ 『…今日は朝から元気ですね(笑)』 なんて、笑うマネージャー…。 そーか、迎えの車が着いたんやな…。 そんな時間なったって、自分でもさっき思ってたとこやん…ほんっまアホやわぁ俺。 家出る前、彼女にもう一度メール。 “仕事行くけど、頼むから連絡くれ”

りえこ @eighter_rieko83

渋谷すばる ２９ 迎えの車に乗り込み、午前中は１人での仕事。 そして、午後メンバー全員での雑誌の取材。 スタジオで、みんなバラけてるのを確認してヤスが近付いて来た。 安田「しぶやぁん、連絡あった？」 渋谷「ない。」 安田「あー…そぉかぁ…。」

りえこ @eighter_rieko83

渋谷すばる ３０ ヤスが何かを考えるように眉尻を下げた。 その時、ヒナがニヤニヤしながらこっちに向かってくる。 村上「朝行って来たわ！」 渋谷「はぁ？」 村上「はぁ？ってなんや！ほれ、 おまえの彼女おる歯医者！」 俺とヤスが同時に声をあげた。

りえこ @eighter_rieko83

渋谷すばる ３１ 村上「いやぁ！なかなかステキな 白衣姿見せてもらいましたよ！ ガハハハハ！」 安田「△△ちゃんに会うたん？！」 村上「そら働いとんのやから 行ったらおるやろ！」

りえこ @eighter_rieko83

渋谷すばる ３２ 仕事…ちゃんと出てんのやな…。 まぁ、とりあえず無事ってことか…。 村上「あっこの医院長、 めっちゃおもろかったわ！」 渋谷「あ？あのイケメンか。」 思わず声に出てまう、対抗心。 村上「あー！ちゃうちゃう！」

りえこ @eighter_rieko83

渋谷すばる ３３ 村上「雑誌に載っとったん、あれ 医院長の息子や！」 渋谷「はぁっ？！」 村上「なんや、自分やなくて 息子がデカデカと載ったんで いじけとってんて！」 ヒナが思い出し笑い。

りえこ @eighter_rieko83

渋谷すばる ３４ 村上「きのうは息子のかして、 スタッフ全員で無理矢理 飲み会やってんて！ バレンタインやのに！」 ヒナの笑いは止まらん…。 村上「いい迷惑やったって、みんな！」

りえこ @eighter_rieko83

渋谷すばる ３５ 村上「おまえの彼女も帰り 遅かったやろ？」 渋谷「え？あ…おん…。」 村上「帰る時は治療入ってて、話せん かったから、お疲れて 言うといてぇ！ガハハハハ！」

りえこ @eighter_rieko83

渋谷すばる ３６ 笑いながら去っていく。 まぁ…要するに…単なる俺の勘違いってゆーか…。 いらんもんやったってゆーか…。 安田「しぶやぁん…、喧嘩の原因 聞いてへんかったけど… 今のちょっと関係あるぅ？」

りえこ @eighter_rieko83

渋谷すばる ３７ 渋谷「…そやなぁ…。」 安田「あんなぁ…実は…俺、 やっぱり隠されへんからぁ… 言うなぁ？」 渋谷「なんや。」 安田「実はきのうの、あの後… △△ちゃんから電話あってん。」

りえこ @eighter_rieko83

渋谷すばる ３８ 渋谷「はぁー？！」 安田「う…ごめん…。」 渋谷「なんで電話 してくれんかってん？」 安田「△△ちゃんに口止めされてん。 ビジネスホテルに泊まるから 心配せんでって。」

りえこ @eighter_rieko83

渋谷すばる ３９ 安田「しぶやんにも連絡しぃって 言うてんけど、話も聞いて くれん人に話すことないて、 頭冷してほしいて…。」 顔色伺うヤスに 「ありがとぉ」て言う 。 まぁ…とにかく反省しかないわ…。

りえこ @eighter_rieko83

渋谷すばる ４０ そのあとはとにかく仕事頑張って、早よ終わらせることに集中。 やのに、思ったより遅なって…急いで帰ってマンション着いたのは23時過ぎ…。 つか、彼女帰ってきとるやろか…？ 結局連絡返ってこんかったし…。 でも、彼女がどこ行くかとかもわからへんし…。

りえこ @eighter_rieko83

渋谷すばる ４１ 鍵を開けて、部屋に入る…。 あかん…真っ暗や。 溜息ひとつ吐いて、電気をつける。 と…、朝にはなかった彼女の荷物。 え？帰って…きとる？ △△「おかえりなさい。」 背後で寝室のドア開いて、彼女の声が聞こえた。 渋谷「た、ただいま…。」

りえこ @eighter_rieko83

渋谷すばる ４２ △△「ちょっと眠くて…寝てた。 オナカすいてる？」 渋谷「え…お、おん…。」 いつもと変わらない穏やかな声の彼女。 △△「あたしもオナカすいた！ 簡単なものでいい？」 渋谷「…おん…。」

りえこ @eighter_rieko83

渋谷すばる ４３ △△「あ、お風呂、 先入ってきたら？」 渋谷「…おん…。」 なんや…怒ってへんのか…？ いや、そんなわけないよなぁ…。 きのう、連絡もせんと帰ってこんかったんやから。 彼女の穏やかな顔を横目で見ながら俺は風呂に入った。

りえこ @eighter_rieko83

渋谷すばる ４４ 風呂を出てリビング行くと、うまそうな料理がテーブルに並んどった。 これが“簡単なもの”？ とてはそんなふうに見えんけど…。 △△「食べよ！はい、ビール！」 渋谷「あ、ありがと…。」 料理はうまかったし、食べ終わったら、パッパッと片付けるのもいつも通り。

りえこ @eighter_rieko83

渋谷すばる ４５ いつも通りやけど…でも、俺は謝らなあかん…。 あまりの“普通”さに戸惑ってまって、謝るタイミング逃してまって、彼女が風呂に入ってる間、ずっとどう切り出そうかソファーで考え込んでた。 △△「すばるー！もー寝よー？」

りえこ @eighter_rieko83

渋谷すばる ４６ いつの間にか風呂出とった彼女の声が、寝室から聞こえた。 黙って寝室入ると、彼女はもうベッドの中。 ベッドの空いてる空間に俺も潜り込む。 今、言わんと…。 渋谷「なぁー。」 彼女の背中に声かける。 背中を向けたまま、彼女は「んー？」って答えた。

りえこ @eighter_rieko83

渋谷すばる ４７ 渋谷「・・・ごめん。」 △△「・・・・・。」 しばらくの沈黙があって、彼女がこちらを向いた。 △△「きのう、 仕事でなんかあったの？」 渋谷「え？なんで？なんもないで？」 △△「じゃあなんであんなにイライラしてたの？」

りえこ @eighter_rieko83

渋谷すばる ４８ 渋谷「…雑誌…、」 △△「見たのっ？！」 渋谷「見た。」 △△「えぇー？あんな…バカと 写ってる写真なんか 見られたくなかったのにぃ！」 渋谷「ば、ばか…？！」 △△「あ、そっか…！」

りえこ @eighter_rieko83

渋谷すばる ４９ △△「村上くん、あれ見て来たんだ もんね？そっかー…すばるも 見てたんだぁ…。」 渋谷「お、おぅ…。」 △△「で？それでなんで イライラしたの？」

りえこ @eighter_rieko83

渋谷すばる ５０ 渋谷「雑誌見た時は別になんも 思わんかったんやけど… その…あれ…やのに…あの イケメンと一緒に飲んどる とか…？」 △△「イケメンて…あのバカ？」