渋谷すばる　５

りえこ @eighter_rieko83

渋谷すばる １ 丸山「信ちゃん、 何真剣に読んでんのぉ？」 村上「んー、情報誌？なんや 通っとった歯医者が移転する ゆーて、遠なるから、どっか えぇとこないかなって。」

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渋谷すばる ２ 丸山「そんな情報誌あんの？！」 村上「たまたま特集みたいなん あってん。“都内の歯医者さん 最先端”やって。」 丸山「へぇー！」 錦戸「たっだいまぁ！」 バタンっ！と大きな音出して亮が入って来た。

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渋谷すばる ３ 安田「おかえりぃ、亮。 早かったなぁ？」 錦戸「おん♪向こうが忙しくてさ！」 大倉「そのわりに亮ちゃん、 めっちゃご機嫌やん(笑)」 錦戸「へへ、これもらってん♪」 大倉「あーバレンタインかぁ！」

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渋谷すばる ４ 横山「えっ？テレビ局でもらうって、 どっくんの彼女、芸能人？！」 ちゃう、スタッフさんや。 この前恥ずかしそうに、でも嬉しそうに約束やったからって、亮が教えてくれた。 多分言いたかっただけやけど(笑) 俺らがお世話になったあの子。

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渋谷すばる ５ 錦戸「横山くんには教えへんて！」 横山「なんやねん！えぇやんけ！… あれ？！すばる知ってんの？」 渋谷「おー知ってんで？」 横山「えっ！！ヒナは？」 村上「俺わかった！」 丸山「俺は～亮ちゃんに聞いた♪」

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渋谷すばる ６ 横山「そんなら、ほんまに 俺だけやん、知らんの！」 ヨコがひとしきりワーワー言うて、拗ねたように大人しくなった頃、ヒナと一緒に雑誌見てたマルが急に大きな声。 丸山「あれぇっ？！これ… △△ちゃんやない？！」

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渋谷すばる ７ 突然聞こえた彼女の名前。 みんなが雑誌の周りに集まる。 大倉「あー！ホンマやぁ！」 安田「わーホンマぁ…あ、そういえば 歯科助手？なったって 〇〇言うてたなぁ！」 俺も雑誌をのぞき込む。

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渋谷すばる ８ 確かに…彼女。 なんや…若いイケメンの医者らしき男が両脇に、歯科助手かー歯科衛生士かー分からんけど女抱えて笑っとる。 そのイケメンの右腕で肩を抱かれとるんが、俺の彼女や。 錦戸「うわっ！やっぱ美人！」 大倉「これも彼女やない？」

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渋谷すばる ９ 他の治療中の様子の写真にも写っとる。 こんなん…全然聞いてへんかったなぁ…。 雑誌載るくらい教えてもえぇんちゃうの？ 肩抱かれとるんが、あかんとか思ったんか？ 俺、これくらいで嫉妬するとか、そんな小さないで？ どうせ、やらされとるだけやし。

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渋谷すばる １０ まぁ、ちょっと若いイケメンの歯医者やったんは予想外やったけど。 丸山「えぇなぁー白衣♡」 錦戸「歯科助手…えぇなぁ♡あは！」 そういえば、白衣姿、俺も初めて見たなぁ。 うん…まぁ…それはもー…えぇなぁ♡(笑) 今度家でも着てもらおかな？

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渋谷すばる １１ ヒナは「この病院行ってみるわ！」とかニヤリとしたが、まぁほっといて、この日もいつも通り仕事をこなし、帰宅したのは22時を過ぎた頃。 部屋には電気もついてへん…まだ帰っとらんのか…。 と思ったら、彼女からの電話が鳴る。 出ると騒がしい彼女の周り。

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渋谷すばる １２ △△『ごめん、すばる！』 “もしもし”も言わんといきなり謝ってくる。 その声の周りの騒がしさ…居酒屋とか、そんなとこ？ 渋谷「飲んでんの？」 △△『そうなの！医院長が急に、』 あのイケメン歯医者か。 今日バレンタインやろ、そんなもん断れや。

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渋谷すばる １３ 別にそういうイベント事を大事にしとるわけやないけど、さすがに…ちょっと腹たってきた。 △△『なるべく早く帰るか…きゃっ！ ちょ！医院長！』 電話の向こうで酔っ払った男が彼女を呼ぶ声が聞こえた。 このボケ！彼女に触ったりしとるやろ！

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渋谷すばる １４ 見えもせーへん電話の向こうを想像して、だんだんとイライラが増す。 △△『すばる、ホントごめん！ なるべく早く帰…、』 渋谷「別えぇで？楽しんできたら？」 △△『なっ…今日バレンタインだし、 急いで、』

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渋谷すばる １５ 渋谷「えぇって、別にバレンタイン なんか関係あらへんし。」 △△『…そ、…でも、あたし、』 渋谷「毎日顔見てるんやし、ゆっくり 遊んで来たらえぇやん。」 △△『・・・・ばか！』 電話が切れた。

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渋谷すばる １６ あー…さすがに言い過ぎたか…。 ちょっとだけ反省しつつ風呂に入った。 上がって時計見たら、23時…バレンタインてやつも、終わってまうな…。 ビールでも飲も…。 冷蔵庫開けたら、見慣れん箱が見えた。 なんやコレ…。 冷蔵庫から出して中身を確認。

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渋谷すばる １７ ハート型のチョコケーキ…。 どう見ても手作りやんな…。 いつの間にこんなん作っててん？ あーどうしよー？ そういえば、喧嘩らしい喧嘩したことなかったなぁ…。 まぁ、付き合いはそんな長ないけど、毎日一緒におんのに、な。 あいつ、どんなんしたら機嫌なおるんや…。

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渋谷すばる １８ そんなことも知らん…。 そぉや…一緒に住んでても、たぶんまだまだ知らんことばっかりやねん…。 さっき…素直に早よ帰ってこいって言えば良かってん…。 ほんまアホやな、俺…。 とりあえず…チョコケーキを冷蔵庫に押し戻して、ソファーに座る。

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渋谷すばる １９ そして…気が付けば、深夜の１時を回った。 さすがに…本格的に心配するわ…。 彼女に電話してみるけど、出ん…メールにも反応ない…。 めっちゃ迷ったけど、たぶん迷惑な頃合やろうけど、ヤスに電話してみる。 安田『もしもしぃ～？しぶやぁ～ん？』

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渋谷すばる ２０ 能天気な…まぁちょっとホッとする声が聞こえた。 渋谷「ごめんな、こんな時間に。」 安田『ううんー？どしたぁーん？』 渋谷「おまえ…今〇〇ん家？」 安田『あはぁ♡まぁなぁ♡だって 今日バレンタインやでぇ？』

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渋谷すばる ２１ てことは、まぁ…２人っきりっちゅーことやなぁ？ もしかして、親友の〇〇ん家に行ってるか思ったけど…。 渋谷「おん、そぉやな？すまんな 邪魔してもぉーて。 ほな、切るな？」

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渋谷すばる ２２ 安田『えっ？！ちょ？！なんか あったんちゃうの？？』 渋谷「や…別にえぇねん…。」 安田『えぇことない…あ！△△ ちゃん？なんかあったん？』 渋谷「…あー…喧嘩しただけやから。」

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渋谷すばる ２３ 安田『喧嘩て…せやけど…俺に 電話て事は、 まだ帰ってへんて事ぉ？』 渋谷「まぁ…せやねん…。」 安田『電話も出らんの？』 渋谷「おん…。」 すると、電話の奥で〇〇が“あたし電話してみる！”て声。

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渋谷すばる ２４ しばらくしてヤスが『あかん出らんみたい…』と言った。 渋谷「えぇねん、ホンマ すまんかったなぁ？」 安田『心配やなぁ…連絡あったら、 こっちにも連絡してや？』 渋谷「あーそーするわ…じゃ…。」

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渋谷すばる ２５ 親友からの電話にも出らんって…もしかして、あのイケメンと…どうにかなっとんちゃうやろなぁ…？ あーくそっ…、 「ビールまずいわぁ…。」 なんて、ひとりごと…。 ―――――― 「ぇへぇっくしょん！」 自分のくしゃみで目が冷める。