2015/3/3講義「空母と艤装の変遷」

艦これから提督になったがあまり史実などを知らない、という提督達へ贈る艦娘への理解を深められる講義。分かりやすさを重視しているので間違っている部分はご指摘下さい。
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ローラント提督 @r18_jager

空母の近代改装か…。なら時間も程よいし「空母と艤装の変遷」について講義しようか。

2015-03-03 14:56:58
ローラント提督 @r18_jager

初代空母「鳳翔」から順に見て行こうか。まず鳳翔は全長165m、飛行甲板は168m×23mほどで、そうだな…そこらの小学校のグラウンドの3分の1もないくらいのサイズで、艦載機は大抵複葉機だったんだ。 この飛行甲板の大きさと艦載機の種類は密接に関係していてな。

2015-03-03 15:04:40
ローラント提督 @r18_jager

昔の飛行機はフレームをアルミ合金で作り、その中にエンジンやコックピット、オイルタンクなどを取り付け…木製のカバーで覆うだけのものだった。 中にはフレームそのものも木製の機体も有ったくらい、軽さを求められていたんだな。

2015-03-03 15:09:24
ローラント提督 @r18_jager

飛行機はその重さで空に飛ぶための滑走距離(助走)が違う。鳳翔が造られた頃は機体が軽くて短い距離で空へと飛べたんだ。 とは言ってもな、160mそこそこという距離で陸の滑走路から飛べるわけじゃ無い。しかし空母からは離陸できる。それはなぜか。

2015-03-03 15:13:28
ローラント提督 @r18_jager

空母は艦載機を飛ばす時、必ず向かい風になるよう針路を取る。こうすることで艦載機は正面から強い風を得られるんだ。この風が艦載機の翼に揚力(浮き上がらせる力)を与える。 助走するのもこの揚力を得るためで、向かい風+助走という条件を得るからこそ、短い距離で飛び立てるわけだな。

2015-03-03 15:17:31
ローラント提督 @r18_jager

まぁそんな訳で鳳翔さんは複葉機などの軽い艦載機を飛ばすだけだったので小さくても良かったわけだ。 勿論甲板もそんなに頑丈じゃなくていいから木の板などで軽く、船の安定性は良好、修理も楽だったんだな。

2015-03-03 15:20:43
ローラント提督 @r18_jager

だが艦載機も強くしようと思えば機銃を増やしたり、爆装したりしなきゃならん。重くなったらエンジンも出力を上げる必要が出てくる。 すると艦載機はどんどん重くなり、滑走距離は長くなってしまう。 そうして必要となったのが赤城たち200m以上の飛行甲板を持つ空母だった。

2015-03-03 15:25:17
ローラント提督 @r18_jager

さらにこの空母達に求められたのは「速さ」だ。長い滑走路に、向かい風をさらに強くする空母自身の速度。これを合わせる事で97式艦爆などの爆装した機体を安定して発艦できるように仕立てたわけだな。 こういった理由で発艦命令の時は空母は基本向かい風の方向へ向けて全速力で航行する。

2015-03-03 15:30:30
ローラント提督 @r18_jager

第二世代と呼べる「赤城」「加賀」は戦艦などからの改装だったから、飛行甲板は広く取れたし、主砲を減らす事で軽量化できて、なおかつ機関出力は据え置きだったから足も速かった。 ただ、空母という存在が手探りの状態でな、一時期は三段甲板といういかにも飛びにくそうな状態だったこともある。

2015-03-03 15:35:00
ローラント提督 @r18_jager

97式と99式を間違えたが伝われば気にしないスタイル

2015-03-03 15:35:59
ローラント提督 @r18_jager

第二世代の赤城、加賀をあれこれ改装して運用してる間に色んな問題点が明らかになっていく。 煙突や艦橋を左と右、どっちに装備すれば邪魔にならないか、効率的なエレベーターの数は。そういったノウハウを建造途中に設計に加えられていったのが第三世代「飛龍」「蒼龍」。

2015-03-03 15:39:56
ローラント提督 @r18_jager

蒼龍と飛龍は設計段階から空母として設計された「純空母」と言える存在でな。大きさこそ赤城や加賀より小柄だったが、やはり200mを超える飛行甲板に30ノットの快速を出せる、優秀な空母だった。 ただ…まだ艦橋の位置については議論がまだすごくてな、両艦共に艦橋の位置が違うんだ。

2015-03-03 15:43:29
ローラント提督 @r18_jager

そして蒼龍・飛龍からさらに得たノウハウを詰め込み、魚雷に負けない防御力と最新の艦載機を飛ばせる頑丈で広い飛行甲板、30ノットを越える快速を与えられた第四世代「翔鶴」「瑞鶴」が建造されることになる。 翔鶴型はかなりの防御力を与えられた設計でな、雷撃にはかなり強かったんだが…

2015-03-03 15:47:31
ローラント提督 @r18_jager

ヒューマンエラーなども有って実戦では翔鶴が雷撃を食らったことに気付かず、突如爆発炎上して失われた。 …当時最高の空母と言っても遜色ない性能だったが…クルーの慢心、練度の不足が招いた残念な事件だと言えるな。

2015-03-03 15:50:28
ローラント提督 @r18_jager

そして本土では今までの戦訓を基に徹底した防御力を与えた第五世代が誕生する。それが装甲空母「大鳳」だ。 大鳳は飛行甲板にまで装甲を貼り、爆撃弾の貫通を防ぐというコンセプトで設計され、毒ガス対策もバッチリ施されていたんだ。 …惜しむらくは戦争の流れがもう決まりつつあったことか。

2015-03-03 15:55:28
ローラント提督 @r18_jager

そして同時進行で改装が行われていたのが大和型から転用した空母「信濃」だ。半分完成していた大和型戦艦の船体を流用し、不足する資源の中無理矢理改装が行われた空母でな、めちゃくちゃ大きく防御力も有るとされたが…寄せ集めのパーツで未完成のまま移動中、一隻の潜水艦に撃沈されてしまった。

2015-03-03 16:02:09
ローラント提督 @r18_jager

資源がしっかり有り、艦載機も搭載し、クルーも練度が高ければあるいは戦況の流れを変えたかもしれない超空母・信濃。これ以降、日本で正規空母は建造されていない。計画は有ったらしいがな。 そんな正規空母達のノウハウを活かし、時には実験的に開発されたのが軽空母たちだ。

2015-03-03 16:05:59
ローラント提督 @r18_jager

軽空母は基本的に輸送船団の護衛や水上打撃群の補助を目的として建造されていたから、鳳翔とあまり変わらないサイズで設計されていた。 搭載される機体も正規空母のお下がりとかそういう感じで軽く見られていた感も有るが…実は日本で一番活躍していたかもしれん。

2015-03-03 16:15:08
ローラント提督 @r18_jager

全部挙げるとキリがないが…「龍驤」は船団を護衛中に、見つけた潜水艦へ向けて砲撃し見事撃沈したりしていた。対空兵器をそんな風に使うんじゃない、と言いたいが。 正規空母が全滅した後も艦載機不足に悩まされながら必死に頑張っていたんだ。

2015-03-03 16:19:16
ローラント提督 @r18_jager

さて話が少し逸れたが、第二次世界大戦以降、空母がどのように進化したかを簡単に流れだけつまんでいく。 まず発見されたのが画像のような「アングルドデッキ」と呼ばれる”斜め滑走路”だ。これは着艦時の事故を減らす画期的な発見だった。 pic.twitter.com/x8A13G7V4A

2015-03-03 16:22:57
ローラント提督 @r18_jager

そして艦載機も急速にジェット機化が進み、かなり重量が増して発艦が困難になっていた。 その中で生まれたのが「スチームカタパルト」という、蒸気の圧力で滑走台を動かし艦載機をぶっとばすというシステムだ。運用できるのはアメリカだけなんだがな。 pic.twitter.com/e1e6glQEzp

2015-03-03 16:27:26
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ローラント提督 @r18_jager

原子力空母でしかスチームカタパルトは使えないから、原子力空母を持っていない国は苦心の末、こんなスキージャンプ台のような滑走路を持つ空母を生み出したりした。 今もあちこちで使われている。 pic.twitter.com/rzDaeJunN9

2015-03-03 16:31:15
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ローラント提督 @r18_jager

ちなみに現代空母たちの飛行甲板、何で出来てるか知っているか? 実は大体がそこらの道路に使われているアスファルトを耐熱加工したものでな。 鉄板だと着地時の衝撃で艦載機が壊れてしまうし、衝撃吸収しやすい木はジェットで燃えたり吹き飛んだりするからもう使われていないんだ。

2015-03-03 16:35:00
ローラント提督 @r18_jager

空母の歴史は艦載機の発展と共にあったと言える。 世界で初めての空母は搭載機1機とかいうとんでもないボートみたいなやつだったが、艦載機の進化につれて与えられる任務が偵察から攻撃に変わり、やがて戦争における最重要兵器になった。空母を沢山所有する事はその国の強さとも言えるわけだな。

2015-03-03 16:41:23