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ツイッター小説 お気に入りセレクト 2010/12/15

今日読んだついのべの中から独断と偏見で味のある作品をセレクトしてみました。 ついのべ #twnovel とは140文字以内で書かれた短い物語です。
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日向日影🍊📖@文化系物書きVtuber(HUB) @hyuugahikage

#twnovel #twnvday 彼は読書家だ。大人になっても、彼は独り世界の理を求め本を読み続けた。読み続け読み続け、ついに極めたと考えた彼は本から得た全てを一冊の本にした。それを読んだ人々は衝撃を受け、妄想にとりつかれている彼を病院に入れた。そこで彼は本を読んでいる。

2010-12-15 00:00:04
@K_Ichida

#twnovel デパートの屋上に行くと、ねじを巻かれる、という意味不明の噂が広がった。試しに行ってみると、黒服の紳士に押さえつけられ、口の中にねじを差し込まれて巻かれた。きりきりと頭の中で音がして、頭脳明晰になった。「だから、あたしの口にも指を入れたいっていうの?」

2010-12-15 00:22:38
コーヒー豆 @C_beans379

#twnovel アラームをセットしながら、起きたくないな、と思った。ずっと寝ていたい。学校にも行きたくない。何もせず、ただ永遠と夢の中で戯れていたい……。随分と長い夢。起き上がった時、世界は終わりを迎えていた。私は微笑んだ。これでやっと夢の中に閉じこもらなくてすむのだ。

2010-12-15 00:36:59
ジュン @jun50r

#twnovel 正月、親戚の女の子に「今年はお年玉いりません。もう5才ですから」と言われた。そう言われるとあげたくなる。「いいから。これ少ないけど」「いりません。子供あつかいしないでください」「ほらぁ。お金あげるからさぁ」「いらないです!やめてぇ!」逮捕されました。

2010-12-15 00:38:48
Masahiro Shinozaki @m_shinozaki

そこには、脂肪のたくさん付いた肌色の肉片が、無造作に積まれていました。私の数分間の躊躇をあざ笑うように…。あのメタボのダックスフンドは、ここから、肉片をくわえ出すことを日常にしていたのです。揚げたてのコロッケの匂いが漂う、店の裏手から、毎日、人知れず。 #twnovel

2010-12-15 00:47:01
miminari_ @miminari_

停電。手探りで配電盤を開け、ブレーカーを上げた瞬間、町の方でキノコ雲が立ち昇った。その6歳の記憶をずっと隠し続けている。 #twnovel

2010-12-15 01:00:21
ショートショート @shortxshort

「お巡りさん、喧嘩です!」少年が派出所に飛び込んできた。赴任早々事件とは本当ついていない。現場では確かに二人の男が殴り合っている。私は電話ボックスに飛び込んだ。「お巡りさん。何をしてるの?」少年が不思議がるので答えてやった。「何って、110番に決まってるだろ!」 #twnovel

2010-12-15 01:12:35
ジュン @jun50r

#twnovel 夜空に輝く星は、何年も何十年も前の光だ。その光は、どこかの星の知的生命体のどこかのカップルが、星空を見上げる姿を届けているのかも知れない。彼らは「今」どうしているだろう。存命で、二人仲良く暮らしているだろうか。僕のように、たった独りになっていないといいな。

2010-12-15 01:25:44
҉A҉ a.k.a ҉A҉ @4x1h170fh41vlvl

20XX年、某国は規制の闇に包まれた。バイオレンスは消え、エロティシズムは枯れ、全ての娯楽が消滅したかのように見えた。だが、作家は死滅していなかった。折しも赤穂浪士が吉良邸に討ち入りし夜より数百年。規制に囚われた嫁達を解放すべく都庁前に47人の作家達が集まった。 #twnovel

2010-12-15 01:45:24
しーな@GO2完走 @xsheeenax

そんなことは天文台や気象庁に訊きなよー、と不思議な魔女は億劫そうだ。流星群観測のベストポジションを占えという依頼が立て続けに入る。いや、いいんだけどさ。どうもこの若い子たちは私が使う、年季の入った天球儀や星座板を見たいだけなんじゃないかと思ったり思わなかったり。 #twnovel

2010-12-15 01:50:23
しーな@GO2完走 @xsheeenax

呼ぶと「なぁに?」と返してくれるあなたがとても好きだ。いつもより甘くて優しくて、それだけであたしは蕩けてしまいそうになる。だからそれだけを聞きたくて、掠れた声であなたの名前を呼ぶ。「なぁに?」何でも、ないよ。これを聞きたいだけなんて言ったら、笑われるだろうから。 #twnovel

2010-12-15 03:27:28
とおる6th @windcreator

流星が墜ちるまでわずか0.2秒。願い事を叶える為には長くとも0.5秒に満たない僅かな時間で「三度」唱えなければならない。それが何を意味するかわかるか。そうだ、流れ星を利用した願いの成就には早口言葉が必須なのだ。お前はのんびり屋だ。流れ星に頼らず、堅実に努力しろ。 #twnovel

2010-12-15 04:34:14
泥辺五郎 @dorobe56u

#twnovel 知らない人に抱かれながら親しい人の顔を思い出している。愛している人とは言えないよくわからない。あの人の腕には毛がなかったとか煙草の臭いはしなかったとか早かったとかぐるぐる思い出す。いつの間にか果てていた知らない人にもう一回お願いしますと言ったら泣かれてしまった。

2010-12-15 06:56:50
@sobatoyou

彼はずっと一人だった。覚えているのはここで待てと言ったあの人の言葉だけ。彼は流星に願う。もう一度あの人に逢いたいと。霞む視界の向こう、人影を見た彼は一声鳴いた。温かいをありがとう。美味しいをありがとう。大好きでした。心の丈を込めた声は、深い雪に吸われて消えた。 #twnovel

2010-12-15 07:36:51
明宏訊 @aliceizer

#twnovel 起床して階下に降りてみると、朝刊がくしゃくしゃになってテーブルの上に固まっていた。何事かと、キッチンを見回してみた。すると、妻が惚けたようになって戸棚にもたれ掛かって座り込んでいる。両手には、それぞれフライパンとフライパン返しが握られていた。

2010-12-15 08:53:05
とおる6th @windcreator

お前にたった一つだけ真実を教えよう。言ってみよ。私の気が変わらぬうちに。どうした。学無きお前には疑問すらもないか。この世の全てを知るお前の主が、千年に一度の気まぐれで言っておるのだぞ。「ならば主様。貴女のお名前をお教えください。貴女をお名前でお呼びしたいのです」 #twnovel

2010-12-15 10:45:08
未知数 @31Harmony

#twnovel「月ガキレイデスネ」日本語を教えていた留学生が突然言った。無知で若かった私が、それが夏目漱石の"I love you"を和訳したものだとは知ったのは彼が帰国してからだった。罪なもので、綺麗な月を見るたび彼を思い出す。結婚し、子供にも恵まれ、夫を愛している、今でも。

2010-12-15 11:33:57
いつ @en_eo

#twnovel 世界の果てにたどり着いたのだ。すぐ目の前は甘く濃い白色の重い霧が立っていて、一歩踏み出せば、世界の果ての次の世界。僕は立ち止まっている。降り積もった新雪に初めの足跡をつけるのを躊躇う気持ちに似ている。一歩踏み出せばそこは新雪ではなく、新世界でもなくなる。さあ。

2010-12-15 11:59:57
ておまさお @teomasao

とある小説家の男は盗作を疑われている。数年前に亡くなった文豪の作品に酷似していたのだ。「参ったよ……」。釈明会見を終えた男が呟く。「もう少しうまくやってもらわないと」。 #twnovel 男が話しかけたのは亡くなったはずの文豪だ。黙々とキーボードを打つ彼に足はなかった。

2010-12-15 12:00:05
140字物語 @shortshortshot

心の鞄がだいぶ重くなってきたので整理する事にした。三つ前の彼氏の思い出なんていらないよね。駅前で思いっきり転んだ事も忘れちゃおう。あと、古いドラマの内容も。ん?これは小学生の時友達と大ゲンカした記憶か。だめだ。これは捨てられない。私はそっと鞄の奥へしまいこんだ。 #twnovel

2010-12-15 15:21:59
@cool_in_open

夢の船を造り夢の国に到着した。そこは何の苦労も無い世界。みんな幸せそうだった。が、一月程経つと誰もが退屈になり愚痴りだした。ある日1人が食事の時、昔の苦労話をすると我も我もと皆が苦労自慢をし出した。誰もが食事の時間だけがこの世界で唯一幸せを感じるようになった #twnovel

2010-12-15 17:31:25
ぼろいねこ讃 @nekoboro

彼は一人で本を読む。古本屋で買った、書き込みがされた本。その書き込みが途中からぱったりと無くなったので、前の持ち主はこのページで挫折をしたのだなと、赤く印をうった。そして、それは本棚へ。(彼の本棚にあるのは同じタイトルばかり、彼が人生で唯一書いた本、そればかり) #twnovel

2010-12-15 18:13:03
矢菱虎犇 @torabishi

子どものほしい物が何でも見える男がいた。男は一年に一度、それを世界中の子どもに配っている。だがそれが見えない子が一人いた。配り終えた男はその子に尋ねる。「おまえのほしいものを教えてくれるかい?」子どもは男に飛びつき白髭に頬ずりした。「サンタさんに会うこと!」 #twnovel

2010-12-15 18:20:08
八本正幸 @nekogamihakase

人間豹は飢えていた。街はクリスマスの電飾に輝いている。ひときわまばゆい電飾の陰から長身のサンタクロースが現れた。「会いたかったよ人間豹君」髭を取ったその顔は新聞で見憶えのある私立探偵だった。「どうやら僕たちは同類のようだね」言って探偵はニヤリと笑った。 #twnovel

2010-12-15 18:41:57
ゆず @nanakoro8

#twnovel 「無関心」だったものが「好きかも」を経て「好きです」になり「好きだ」に変わり「好きだった」へと変容し「好きだったのに」と修飾語が付き「好きでも嫌いでもない」へと移ろい「無関心」へと舞い戻る。そしてまた今日も誰かがどこかで「好きかも」

2010-12-15 19:17:19