ハロウィン

全∞ @all_zen_bu

ハロウィン赤 1 ｢trick or treat??｣ 玄関で出迎える。 黒い三角帽に、黒いマント。紫のレースの縁取り。オレンジ色のカボチャを帽子に飾った。魔女っぽい杖も持って。 玄関を入ってすぐのすばるが冷ややか～な目でこっちを見る。 ｢しょーもな。お前なに人やねん。｣

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2 私の横を素通りして、部屋に入る。 (予想通りの反応…) ｢日本人だよーだ!!｣ すばるの後ろ姿にあかんべして、帽子もマントも杖もソファに放り投げた。 気を取り直してキッチンから声を掛ける。 ｢ねぇ、カボチャのスープにしたよ♪｣ 数少ないレパートリーの中で、すばるが好きな料理。

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3 ｢お♪｣ ちょっと弾んだ声が聞こえた。 他の料理も温めて、テーブルに並べにダイニングに出た。 ｢!?!?｣ ソファの上で仁王立ちしてるすばる。 さっき放り投げた帽子とマントを身につけて、杖振りかざして。 ｢お菓子くれな、イタズラするぞ!!｣ 思わずお皿を落としそうになった。

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4 お皿をテーブルに置いてから、ジーっと無精髭の怪しい魔法使いを見る。 ｢あげない♡｣ 言うと、ソファから飛び降りた。 ｢……ほな、イタズラやな。｣ 持ってた杖で、スカートをめくろうと引っ掛ける。 ｢ばか♡ご飯のあとね♡｣ ｢イタズラにあとでなんかあるかいな。すぐや、すぐ!!｣

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5 ｢ご飯温めちゃったもん。｣ ｢そんなん、俺が魔法で温め直したるわ。だからイタズラさせえ。｣ 杖で身体を突っつきながら、ジワジワ迫ってくる。 魔法なんかきっと使えない、怪しい魔法使い。 仕方ないから掛かってあげる。 私にしか効かない魔法に。 おしまい。

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ハロウィン紫 1 ｢trick or treat??｣ 玄関で出迎える。 黒い猫耳に黒いしっぽ。紫の首輪代わりのリボンに、オレンジの鈴飾り。 ちーちゃんを腕に抱いて。 ｢おーっ!!なんやなんや、ビックリしたわ!!｣ ｢どっち??｣ ｢どっち!?｣ ｢お菓子かイタズラ♡｣

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2 ｢そんなもん、決まってるやろ。｣ 私の格好には大してリアクションせずに、ガサゴソとポケットを探りながら部屋に入ってくる。 (なーんだ、用意してあるんだ。) 背中を追いかけながら、リビングに行く。 信五はアレ??と言いながらあちこちのポケットを探してる。 ｢おい。｣

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3 あ、見つかったのかな?? ｢ん??｣ ｢お菓子無いから、イタズラせぇ。｣ ソファにふんぞり返りながら、のたまう。 ｢……っ｣ 言葉を失う。 ｢無いんやもん、しゃーないやろ。｣ 大袈裟に両手を広げて見せる。 ｢ほら、イタズラ。｣ ｢え、と…｣ 自分の顔が赤くなるのが分かった。

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4 ｢なんもせーへんのか??｣ いざそう言われると、モジモジしてしまう。 ｢ニャーとか言うてみ??｣ ｢……バカ。｣ 信五の前で動けずにいると、仕方なさそうに手を出す。 引っ張られるのかと思ったら、テーブルに手を伸ばした。 ｢ほれ、遊んだるわ。｣ ちーちゃん用の猫じゃらし。

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5 ふざけてユラユラ揺らすから、乗り気じゃない感じでオモチャを軽く叩いた。 ｢この猫、可愛いないなぁ…。｣ ｢どーせ、可愛くないもん…。｣ 膨れっ面したら、猫じゃらし放り投げていきなり抱きついた。 お腹に顔うずめて、腰に手を回す。 ｢もぉ…お前その格好は反則やで??｣

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6 ｢……玄関で素通りしたくせに。｣ ｢そんなん!!ビックリするやろ、普通!!｣ 言いながら上向いた信五の唇に、そっと触れた。 ｢イタズラ♡｣ ｢…ったく、心臓に悪いわ…｣ ねぇ、信五。 そのポケットに本当はお菓子入ってるの、知ってるよ?? お互い、知らんぷり。 おしまい。

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ハロウィン橙 1 ｢trick or treat??｣ 自前の簡単ゾンビメイク。昨日の彼の真似。 と、思ったら。 ｢trick or treat??｣ 玄関に入ってきた丸ちゃんは、昨日と似たようなゾンビメイクして帰ってきた。 ｢キャァっ!!｣ ｢きゃあ、て。昨日も見たやん(笑)｣

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2 ｢だって今日もしてくると思わなかったんだもん。ビックリした!!｣ ｢なぁ、trick or treat??どっちやねん??｣ ゾンビが部屋に上がって来て、笑いながらまた聞いてくる。 私は用意してあった、大きいお菓子の詰め合わせを渡した。 ｢イタズラやだもん。｣

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3 ｢ねぇ、trick or treat??丸ちゃんは??｣ 聞くと背中に隠していた物を差し出す。 ｢じゃーん。｣ ｢わぁ!!｣ 顔の描いてある、オレンジのバケツいっぱいのマーブルチョコ(笑) ｢イタズラは無しやな。｣ ｢ね、写真撮ろう♪｣ ｢よっしゃ、いっぱい撮ろうや!!｣

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4 ｢食べ切るのにどのくらい掛かるかなぁ??｣ ｢そのメイクおうちで外せる??｣ 他愛ない話で盛り上がったあと、ふと真顔で見つめられる。 ｢あ、ゴメンね。疲れてた??｣ ｢ううん。……なぁ??｣ ｢ん??｣ ｢ハロウィン終わったらイタズラするで??｣ 時計を見ると、23時50分。

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5 ｢ゾンビのまま??｣ ちょっと吹き出して聞くと、丸ちゃんは真剣な顔して答える。 ｢やって、我慢でけへんもん。｣ 言ったあと、血糊のついた顔でキスをした。 ゾンビメイク二人で落としながら、 そのままお風呂でイタズラしあおう?? おしまい。

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ハロウィン青 1 ｢trick or treat??｣ 日付が変わってから夜中にそーっと帰ってきた章ちゃんに声を掛ける。 ｢ぅわ、ビックリした!!｣ 寝室からちょっとだけ顔を出して出迎えたら、飛び上がって驚く。 ｢なんや、寝てへんかったん??｣ ｢ん。布団入ったけど眠れなくて…｣

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2 舞台の東京公演千穐楽を迎えて、打ち上げがあった。 遅くなると連絡はあったけど、なんとなく寝付けなくて。 章ちゃんが部屋着に着替えてる。 寝室からそっと出て、リビングのソファに座った。 ｢ぅわ!!｣ また章ちゃんが声をあげた。 ｢お、前……何してんねん……｣

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3 私の格好を見て、崩れ落ちる。 通販で買ったウサギの耳の付いたつなぎ。 ｢お前それどこで買うたん??前にお揃いしよ、言うたら断固拒否したやつやん!!｣ ｢通販。｣ ｢はぁ、通～販!?｣ 自分で言うのもなんだけど、キャラクター物とか可愛い物、興味ないし持たない主義。

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4 ｢やっぱ似合うてる。はぁ…結構疲れて帰ってきたのにテンション上がってもーたやん!!｣ ｢大袈裟。こんな服くらいで……｣ 言ったら急に怖い顔して。 ｢分からん??こんな服で、火が点くねんで…??｣ そのままソファに押し倒される。 ｢trick or treat??やっけ??｣

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5 ｢う、ん…｣ ｢どっちがええの??ウサギさん??｣ 首筋に鼻を押し当てながら、章ちゃんが聞く。私が聞いたはずなのに…言わされる。 ｢ん、お菓子、持ってない……｣ ｢覚悟しとき。｣ 狼みたいに歯を立てて、鎖骨を甘噛みされた。 背中を這い上がるような刺激に思わず声が漏れる。

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6 ｢ん…｣ ｢お望み通り、イタズラしたるから。｣ その目は仮装もしてないのに狼そのもの。 ちょっと驚かそうと思っただけなのに、私は観念するしかなかった。 軽い気持ちで火を点けちゃったみたい。 どこかでこうなることを期待してたことは、狼には秘密。 おしまい。

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ハロウィン緑 1 ｢trick or treat??｣ 出迎えた玄関で、忠義が口開けて硬直してる。 思った以上の反応に、私は笑ってしまった。 ｢おかえり～。ねぇ、お菓子は無いの??｣ ｢……なにやってんのー!!｣ ｢何って、仮装??ハロウィン的な??｣ ｢ただのコスプレやん!!｣

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2 友達とノリで買った巫女さんのコスチューム。 ｢ハロウィンて収穫祭とか魔除けとかの意味やで??全然関係ないやんw｣ ｢……嫌だった??｣ ｢いや??…嫌!?嫌なわけないやん!!あぁぁ、明日番宣で朝早いって言うたやん～もぉどないしよ～。｣ 1人で頭抱えながら悶絶してる…。

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3 ｢は!!迷うてる時間もったいないな。とりあえずこうか!!｣ 言ってお姫さま抱っこで持ち上げられる。 ｢ちょ…と!!｣ ｢なぁ??｣ はしゃいでたさっきまでの声から一転。 低い声で囁かれる。 ｢せっかくやから、和室行く??｣ 誘うような甘い声が鼓膜を震わせる。 耳元に掛かる息。