チェリーニ「おれは人間を超越するッ! メデューサ、おまえの血でだァーーッ!!」

今もフィレンツェはシニョリーア広場に君臨するベンヴェヌート・チェリーニの大作「ペルセウスとメデューサ」に関するちょっと深読みな解釈。
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壺屋めり @cari_meli

@Yonus_Mendox 既知じゃないです>< かいつまんで教えてくださるとうれしい。

2010-12-16 16:32:54
壺屋めり @cari_meli

む、質量-形相の話ならどっかでちと読んだような…。

2010-12-16 16:33:31
よぬす @Yonus_Mendox

@cari_meli 彫りだす前の金属塊は可能的な銅像(可能態/デュナミス)を含み、彫りだされることで現実的な銅像(現実態/エネルゲイア)となる、という例があったと思います。

2010-12-16 16:36:16
壺屋めり @cari_meli

@Yonus_Mendox なるほど。ほんとだよく似ている。っていうか私が読んだ論文がその議論について書いていたのかもしれない。ありがとう。

2010-12-16 16:37:51
よぬす @Yonus_Mendox

@cari_meli 質料 - 形相論は、銅像の制作(ポイエーシス)を例として語られる。質料たる銅に職人が手を加えることで、質料と形相とを備えた銅像が完成するので、単純に考える限りでは、形相は制作行為か職人の心のなかかにある。

2010-12-16 16:43:46
壺屋めり @cari_meli

@Yonus_Mendox なるほどなるほど。お勉強になります。

2010-12-16 16:47:17
よぬす @Yonus_Mendox

@cari_meli ルネサンスは[あったと仮定すれば]ギリシャ哲学を西欧中世とは違うしかたで受容した時代と言われるかもしれません。先程のお話からは『形而上学』と『デ・アニマ』との匂いが濃厚にしました。

2010-12-16 16:52:59
よぬす @Yonus_Mendox

プラトンとネオプラトニスムとの影響も色濃くあるのでしょう。知らないけれども。

2010-12-16 16:55:06
よぬす @Yonus_Mendox

以上、よぬすの「新書程度の知識」でした。

2010-12-16 17:05:42
壺屋めり @cari_meli

チェリーニ自身、自分の金属鋳造技術がなによりもアピールポイントだったみたい。先輩のミケやバンディネッリは大理石で像を作ったけれど、チェリは違う。大理石像はいらない部分を取り除くことで像を見つけ出していく、でもブロンズ像は一気に流し込んで一気に固める。全く違う技術が必要となるのね。

2010-12-16 16:26:57
壺屋めり @cari_meli

ブロンズは大理石よりも丈夫だから、ペルセウスが高々と持ち上げるメデューサの首も支柱がいらない。チェリーニは先人たちの大理石像にあえて倣わずブロンズで像をつくることによって、彼らができなかったことをいとも軽々とやってのけるのね。

2010-12-16 16:30:47
壺屋めり @cari_meli

チェリーニが彫刻家というよりは金細工師であったこともあるだろうけど、きっと同時にライバル心の賜物…w

2010-12-16 16:31:06
壺屋めり @cari_meli

実はペルセウス像のメデューサの頭と血とブーツの翼は別々に鋳造されたんだけど、そこについてはチェリたん自伝ノーコメント。すべてが一度の鋳造でできたかのように装うことで、いかにも「俺、難しいことやってます! 凄いっしょ?」アピールしてる…ww

2010-12-16 16:35:48
壺屋めり @cari_meli

まぁチェリーニの時代、ブロンズ鋳造はまだまだ下請け業者(?)の役割で、芸術家は蝋でモデルを作って「あとよろしく〜」ってな感じだったらしいので、「お前らなぁ! 鋳造ってそんな他人任せにしていいほど小さいことじゃねーぞ!」と主張していると見ることもできますな。

2010-12-16 16:39:34
壺屋めり @cari_meli

ヴァザーリとかが「素描大事! 素描命!」とか言ったから、鋳造とかそういう実際の制作技術が疎かになってしまったのかな…(しみじみ)

2010-12-16 16:40:39
壺屋めり @cari_meli

そういえば、この金属の「液体状の魂・精神・霊が固体の入れ物・コンテナに収容されている」っていう考え方、何かに似てない…? これそのまま、前回の話で触れた「生気の宿る血液と、そのコンテナである体」のアイディアと同じだよね!

2010-12-16 16:44:22
壺屋めり @cari_meli

つまりメデューサの噴き出す血はそのままブロンズのアレゴリーと見ることもできるのである。ブロンズ鋳造は神の所行にも似た行為。つまり創造。彼女の血が流れることで芸術が誕生することになったという後々の物語にも繋がってくるね!

2010-12-16 16:49:43
壺屋めり @cari_meli

血液と金属を同一視…とまではいかないけれど似たもの同士と見る風潮は確かにあって、それは金属が地中に広がる「血管」から生じると形容されたことからも分かる。動物や人間の体のすみずみまで血管が通っているように、地中には金属の脈が通っている…という認識だったのね。

2010-12-16 16:59:47
壺屋めり @cari_meli

さて、今までペルセウスとメデューサばっかり見てきたけれど、この像、それだけじゃないよね。ええ、下の土台もチェリーニの作品でございますよ。 http://bit.ly/eotae1

2010-12-16 17:04:29
壺屋めり @cari_meli

台にもちっちゃいブロンズ像が配置してあって、それもメルクリウス( http://bit.ly/fCYq22 )、ミネルヴァ( http://bit.ly/ghspE6 )、ダナエ( http://bit.ly/ghspE6 )と豪華な面々。

2010-12-16 17:11:59
壺屋めり @cari_meli

あれ、ユピテル像もあるのかな…ググっても出てこないお…。

2010-12-16 17:14:03
壺屋めり @cari_meli

どうもこの土台も重要な意味合いがあるらしくて、「これはただの台ではなく、神々へ捧げる祭壇なのではないか」説が提唱されてる。もちろん祭壇に描かれている(=像が設置されている)神々に捧げるのだよ。

2010-12-16 17:16:39
壺屋めり @cari_meli

レオナルドやギルランダイオの時代から古代のサルコファガスやら建築やらをルネサンスの絵画、建築、彫刻にあてはめる例は尽きないし、とても有りうる話なのですよね。しかも、オウィディウス語るところによると、ペルセウスはメデューサを退治した後、3人の神々に捧げる祭壇を作ることになっている。

2010-12-16 17:18:28
壺屋めり @cari_meli

その3人の神々というのが、メルクリウス、ミネルヴァ、そしてユピテル。しっかりその3人がペルセウスの台に刻み込まれている。こ、これは…。

2010-12-16 17:19:38
壺屋めり @cari_meli

これが祭壇だと仮定すると、メデューサの流す血がまた別の意味合いを帯びてくる。祈りには生け贄がつきものですからねフフフ。メデューサはただ退治されたのではなく、ペルセウスによって神々に捧げられているという読み方が可能になるわけなのですよ!

2010-12-16 17:21:28
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