村上先生と放課後の告白（エイトで学園シリーズ）

∞すみれ∞ @magic88word

1 友達には朝練って言ってるけど 毎朝ここで見てる …大好きな人 誰にも言えないのは ほんとに好きだから 叶わない片想いだから

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2 1年の学年末テストの朝 訳あって遅刻した 「走れー！遅刻やぞー」 竹刀片手に校門に立ってる村上先生 「遅刻初めてか…体調悪いんか？」 生徒手帳をペラペラめくりながら言う 『いえ…大丈夫です』 「ん、ほな早よ行け」

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3 数日たった朝 校門で呼び止められた 「これ…おまえのんやろ」 『あ…はい…どうして？』 「やっぱりか…これ貸したった子の お母さんが届けに来はってん ありがとう…てお礼言うてはったで」

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4 遅刻した朝… 電車の中で辛そうな女の子を見つけた 大きなランドセルを背負った小学生 顔真っ赤にしてる もしかして熱？ ごめんねっておでこに手を当てる やっぱり… 次の駅で降りて駅員さんに託す そのときしてたマフラーを その子に巻いてあげたんだ…

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5 『でもどうして私って…』 「駅員さんがうちの学校の生徒やった って、ほんでその女の子がおまえの カバンの…これ、覚えててん」 『あ…』 「そんな事情あったら 言うたらよかったのに… まあ遅刻は遅刻やけどな！ガハハ」

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6 八重歯を出して 大きな声で笑いながら マフラーを巻いてくれた これ…カバンにつけた クジラとペンギンのマスコット 先生覚えててくれたんだ #エイトで妄想

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7 あの日から先生が気になって いつの間にか大好きな人になってた 体育の村上先生… 授業は男子の担当だし 顧問はサッカー部 まったく接点がないから 毎朝校門で挨拶を交わすだけ 遠くから姿を見てるだけ…

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8 少しずつ好きになって 仲のいい友達にも言えないまま 1年が過ぎた 水瓶座のAB型で 自転車通勤… そんなことぐらいしか知らないけど

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9 生徒指導で竹刀バンバンしたあとに ちらっと見せる優しい顔とか サッカー部員に混じって 大人げなくゴール決めたときの 満面の笑顔とか 誰よりも知ってるよ 私のカバンについてるマスコットまで 覚えてるような 繊細なところとか…

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10 でもきっと 誰にも知られないまま このまま卒業して またちょっとずつ 忘れていくんだろうな そう思ったら 涙が出ちゃうときもある この前マネージャーに 見られちゃった…

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11 体育の授業… 着替えて体育館に集まると え、村上先生…⁈ 「○○先生研修でな、今日は俺が代わりに授業する」 "キャー！" "えーっ！" みんな大騒ぎ う、うそー// 嬉しいけど 突然の展開に頭がついていかないよ

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12 軽くストレッチをして 体育館を走らされる 竹刀振り回す先生 "せんせー！もうやめよ" "もー走れなーい…" みんなヘロヘロで文句言う 「よっしゃー、走りは終わりや」 喜んだのも束の間 「ほな腕立て伏せー！」 竹刀バンバン鳴らす

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13 "えーー" 「グズグズ言うなー早よせえ！」 みんなぼやきながら 腕立て伏せを始める 先生がみんなの間を回りながら言う 「おまえ…おまえ、おまえと… おまえもや！今言われたやつ、後で 職員室来いよ」 "えー先生なに？" 「爪長いねん！ マニキュアもしとるやろ」

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14 "ずるーい！腕立て伏せやらせて 爪見てたのー‼︎ありえなーい〜" 「なにがやねん〜高校生がそんな爪で なにすんねん！切ったるからな」 "まーじーでー！" ブーブー文句言ってるけど楽しそう 私は…昨日爪切ったばっかり… いつもこう 優等生ぶってるわけじゃないのに

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15 "もー村上最悪〜ほんとムリ" みんな言ってるけど 結構人気があるのも知ってる バレンタインには本命チョコも たくさんもらうって でも昨年ぐらいから もっと若いやつ見つけろって 受け取ってもらえなくなったって みんな噂してる… 彼女できたのかなって #エイトで妄想

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16 部活が終わって… 駅のそばまで歩いたところで サブバッグを忘れたことに気づく お弁当箱も入ってるし… 友達に先に帰ってもらって 取りに戻ることにする よかった〜まだ開いてて… バッグを取って体育館を出る ふと自転車置き場に目をやると …あ、村上先生…

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17 先生も今帰るところなんだ 忘れ物してよかったな …ドキドキする 近くまでくるとなんか様子がおかしい 自転車の周りをウロウロしてる 『先生…』 「おー今帰りか？」 『なにして…』 「いや、あれ…な」 先生の指差す方を見れば ハンドルに大きなカマキリ 「取ろ…思て」

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18 …虫採り…？ 可愛い// え？脇にあった竹ぼうきの 端っこを持って すっごい離れたところから 突こうとしてる 私はもう一回聞く 『捕まえるんですか？』 「ちゃうちゃう！ どっかいってほしいねん」 『え？』 「嫌いやねん…む、し、」

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19 『…』 村上先生が虫…きらい… 意外過ぎて 脳に到達するまで時間がかかった 「笑うなやー」 『だって//』 「お、おいなにすんねん！」 『これは私たぶん平気です…』 カマキリを後ろからつまんで ほらっ…て先生に見せる 「うわっ‼︎こらっやめろっ！」 のけぞる先生

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20 はずみで尻もちをつく先生 「いったぁー」 『だいじょうぶですかー⁈』 あわててかけ寄って手を伸ばす 私の手を取りかけて叫ぶ 「おまえ！それどっかやってくれー」 とっさのことで カマキリ手に持ったままだった

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21 カマキリを少し離れた花壇の あじさいの葉っぱの上にそっとのせる 「あーえらい目におうたわ〜」 起き上がる村上先生 『すみません//』 「いつまでわろとんねん… …ん、まあええわ おまえの笑うとこ見れたし」 まっすぐな目に見つめられて 動けない…

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22 沈黙が気まずいけど 言葉が見つからない 先生が近づいてくる 『あ…あの』 「おまえのカバンのマスコット…」 『え？』 「クジラとペンギンの… あれ横山がつけてた日あったやろ」 『あ…』

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23 そういえば… 体育館に落としたのを 横山くんが拾ってくれて 次の日届けてくれたことあったっけ "忘れんようにカバンにつけてきた" って言ってたな 「あん時な… 横山のカバンにそれ見つけて 思わず、アレ？って言うてもうて… バレてん、あいつに」 『？』

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24 「おまえのこと好きやって…」 『え⁈』 「横山が言うてくれてん "あいつ片想いしてる人いてるねん めっちゃ悩んでるみたいやで 俺その相手、先生やと思うわー" …って」 「横山って妙に鋭いとこあるし… 自惚れかもしれんけど… おまえも俺を見ててくれたんやろ」

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25 そう言いながらすごくそばに来るから 顔があげられない でもこんなに頬が熱いから きっとわかるよね…先生 「来年の春、おまえが卒業したら もっかい言うからな…待っとけよ」