殺、し殺される戦争国家づくりのための安全保障法制の整備

昨年7月の「集団的自衛権容認閣議決定」、同10月の日米ガイドライン改訂のための日米防衛協力小委員会の中間報告を受けて、2月13日以来、安保法制整備に関する与党協議会が行われてきた。殺し、殺される戦争国家づくりが着々と進んでいる。国民は、もっと注視し、批判の声をあげなければ、満州事変以後の「悲劇」の歴史を、今度は「喜劇と」してくりかえすことになる。
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深草 徹 @tofuka01

昨年7月1日の集団的自衛権容認閣議決定を実施するために法案作成のための与党協議が続いています。これまでの成り行きを見ると、事態は極めて憂慮すべき状況になっているように思われます。自衛隊の海外派兵と活動の範囲、武器使用が、7.1閣議決定さえも逸脱して拡大されようとしているのです。

2015-03-17 00:43:53
深草 徹 @tofuka01

3月11日朝日新聞は、「恒久法 後方支援に限定」「安保法制 政府、公明に配慮」との見出しのもとに、政府・自民党が、「自衛隊の海外派遣を定める恒久法(一般法)の対象を他国軍への後方支援に限る方針を固めた」とし、これがあたかも公明党に配慮した政府・自民党の譲歩である如く報じました。

2015-03-17 00:44:34
深草 徹 @tofuka01

自衛隊の海外派遣を定める恒久法(一般法)とは、7.1閣議決定中、第2項「国際社会の平和と安全への一層の貢献」の(1)で、海外での戦争において他国軍隊の後方支援活動のために、現に戦闘が行われていない場所であれば前線であっても派遣できるようにするという文脈から浮上してきたものです。

2015-03-17 00:46:02
深草 徹 @tofuka01

自衛隊の海外派遣を定める恒久法(一般法)は、テロ対策特措法やイラク特措法などのようなアド・ホックな立法によって、他国軍隊の後方支援活動のための自衛隊派遣を認めるではなく、あらかじめ包括的に決めてしまうものです。しかし、そのようなことは、7.1閣議決定には書かれておらず、逸脱です。

2015-03-17 00:46:53
深草 徹 @tofuka01

7.1閣議決定からは、今度、他国軍隊の後方支援活動のための自衛隊派遣をするための特別措置法を制定するときには、非戦闘地域(後方地域)ではなく現に戦闘が行われていない場所への派遣を可とするということだけです。勿論、それにより自衛隊が戦闘に巻き込まれる危険性は画然と高まるでしょうが。

2015-03-17 00:48:19
深草 徹 @tofuka01

自衛隊海外派遣の恒久法(一般法)が「後方支援」に限定などというのはチャンチャラおかしいと言わねばなりません。問題は「恒久法(一般法)」か特措法かにあるのであって、「後方支援」だけかどうかではないのです。しかも、後方地域ではないところでの「後方支援」は兵站活動であって武力行使です。

2015-03-17 00:49:22
深草 徹 @tofuka01

朝日新聞には、7.1閣議決定に至る段階から、誤解を招く報道が度々あり、50年来の愛読者たる私はその都度ブログやツィッターで問題点を指摘してきました。今次の「安保法制の整備」は憲法の平和主義を根底から覆すものになるおそれが大です。読者たる私たちも批判的に読み解く必要があります。

2015-03-17 00:50:47
深草 徹 @tofuka01

「安保法制整備に関する与党協議」では、「7.1閣議決定」さえも大きく逸脱することが話し合われています。その梃子となっているのは、「積極的平和主義」と「切れ目のない対応を可能とする」なる二つの言葉です。これら二つの言葉は、安倍政権の戦争国家希求の情念を迸らせ、猛威を振るっています。

2015-03-18 10:08:59
深草 徹 @tofuka01

「7.1閣議決定」では、「積極的平和主義」という言葉は、3箇所で、「切れ目のない対応を可能とする」という言葉も3箇所で、用いられています。これらの言葉は、これらが使い始められた当初の文脈を超えて、特殊な意味合いで用いられています。言葉は、使う者の立場で意味を変えてしまうのです。

2015-03-18 10:09:29
深草 徹 @tofuka01

「積極的平和主義」とはノルウェーの政治学者ヨハン・ガルトゥングに由来する言葉です。彼は、平和を単に戦争のない状態の「消極的平和」に加えて貧困、抑圧、差別などの構造的暴力がない状態と定義しました。これを「積極的平和」と表現したのです。「積極的平和主義」は、本来、軍事力とは無縁です。

2015-03-18 10:10:03
深草 徹 @tofuka01

「7.1閣議決定」の用いる「積極的平和主義」とは、本来のものとは全く異なり、軍事力を積極的に用い、軍事力によって他国や民族、政治的勢力の反抗を押さえこみ、あるいは武力紛争を抑止しようという考え方です。世界各地に武力介入するアメリカが手本です。言い換えれば「積極的軍事主義」です。

2015-03-18 10:10:41
深草 徹 @tofuka01

「切れ目のない対応を可能とする」という言葉は、民主党政権の「平成23年度以降に係る防衛計画の大綱」で用いられた「各種事態の発生に際しては、事態の推移に応じてシームレスに対応する」に由来しています。シームレスは縫い目なしですが、安倍首相は短い舌で「切れ目のない」と連呼しています。

2015-03-18 10:11:40
深草 徹 @tofuka01

2010年防衛大綱は、あくまでも本来の「専守防衛」の枠内、即ちわが国への攻撃を排除する限度で自衛隊を用いるという前提のもとに、自衛隊を平時から有事までのすべての段階を通じて、間隙なく対応するという意味で、「シームレス」という言葉が用いられていました。言葉の魔力はありません。

2015-03-18 10:12:16
深草 徹 @tofuka01

「7.1閣議決定」や安倍首相の用いる「切れ目のない対応」は、「積極的平和主義」と合体し、自衛隊を、世界のどこにでも、いかなる事態にも、間髪をいれず出動させることができるようにすることを意味しています。ですから「7.1閣議決定」は、当初から逸脱されることが予定されていたのです。

2015-03-18 10:12:55
深草 徹 @tofuka01

①「国際の平和のために戦う」外国軍隊に対する兵站活動のため自衛隊をいつでも海外派遣できる包括法を制定する、②同盟国とみなす外国軍隊の戦闘に対する兵站活動のためにどこにでも自衛隊を派遣する、③いつでもどこでも外国艦船を防御する、これらは「7.1閣議決定」逸脱の手始めに過ぎません。

2015-03-18 10:14:09
深草 徹 @tofuka01

安保法制整備に関する与党協議会はひとまず合意に達したという。これから政府において法案要綱を策定するという。2月13日に始まった協議の経過を見ると、筋書きがどこかで作られ、素人役者がそれに従いけなげに演じてきたという印象だ。これから突入する統一地方選の前の一場の田舎芝居だった。

2015-03-22 00:51:12
深草 徹 @tofuka01

2月13日以来、政府・自民党が次から次へと自衛隊の海外派兵・積極的運用のためのボールを投げ込み続けた。ひと言で言えば、いつでも、どこでも、どんな事態にも自衛隊を派兵し・出動させる、銃火を交えること厭わず、というもので、「7.1閣議決定」の拡大解釈も「極まれり」という状況である。

2015-03-22 00:52:04
深草 徹 @tofuka01

公明党は、政府・自民党の投げ込むボールに手を出すこともできず、完封されたといってよい。そこで、このままでは統一地方選に利あらずと見たのか、今月4日、①国際法上の正当性、②国会の関与など民主的統制の確保、③自衛隊員の安全確保の3条件を提起し、「歯止め」論議をクローズアップさせた。

2015-03-22 00:53:00
深草 徹 @tofuka01

公明党が提起した3条件は「歯止め」にはならない。一番目の「国際法上の正当性」について。公明党は「国連決議のある場合に限定する」と言っているのではない。「国際法上の正当性」と言っているに過ぎない。米国は、アフガン戦争もイラク戦争も国際法上正当だと主張していることを想起されたい。

2015-03-22 00:54:23
深草 徹 @tofuka01

公明党が提起した3条件の二番目は「国会の関与など民主的統制」だが、これはちょっとおかしい。何故「国会の事前承認」とのみ限定しないのか。これでは最初から事後承認に道を開いているようなものだ。仮に事前承認としても、軍事・外交情報は秘匿され、国会で野党がチェックすることは不可能だ。

2015-03-22 00:55:26
深草 徹 @tofuka01

公明党が提起した3条件の三番目は、「自衛隊員の安全の確保」だ。だが他国軍隊の支援において非戦闘地域の限定をはずし、国際貢献活動において武器使用できるケースを大幅に拡大したから、戦闘に巻き込まれることは不可避だ。また集団的自衛権の行使を認めて「自衛隊員の安全の確保」などナンセンス。

2015-03-22 00:59:32
深草 徹 @tofuka01

政府と両与党は、うまく立ち回ったつもりでいるのだろう。前半で高飛車な態度に出て強硬策を次々と打ち出し、後半には、公明党が出番を得て、ブレーキ役を演じ、それを政府・自民党が一定程度受け入れたかのようなポーズをとり、なんとなくまーるくおさめた。これで統一地方選が戦えるというわけだ。

2015-03-22 01:00:40
深草 徹 @tofuka01

2月13日以来の経過をつぶさに見れば、政府・両与党の演じたものは、ドサまわりの田舎芝居であったことは一目瞭然だ。私たちは、こんなものに騙されてはならない。統一地方選挙で彼らを痛い目にあわせなければ、このどうしようもない戦争国家づくりの安保法制制定の目論みを成就させることになる。

2015-03-22 01:01:21