ネオサイタマの重金属酸性雨が降り注ぐ路地裏。ゴミ袋が堆く積まれた一角に1人の少女が倒れていた。死体めいたそれを気に留める者は誰も居ない。ウシミツ・アワーにこのような寂れた場所に赴くような者も居ないだろう。 1
2015-03-24 23:16:07死体めいた少女が呻く。「イタイ……」彼女の記憶は混濁していた、何故自分は倒れているのか、此処は何処なのか。「イタイ……ナンデ」『それはアンタが生きてるからだろ』頭に声が響く「生きてる……ナンデ 」 2
2015-03-24 23:18:33『ナンデって、そりゃ……アー……アタシは説明は苦手なンだよ』「私は……生きている?」徐々に記憶の闇が拭われる。(ニンジャ……)「ニンジャ?ニンジャナンデ……」よろめきながら立ち上がる、もう体は痛まない。まるで突然、力が湧き上がってくるようだった。 3
2015-03-24 23:20:23思い出してきた。ニンジャ。そう、ニンジャだ。馬鹿げた話だ、ニンジャなんて、そんなものはカートゥーンの世界の話だったはずだ。でも、この目で見た。ニンジャを。そして殺された。それなのに、私はこうして生きている。ナンデ?答えは見つからない。 4
2015-03-24 23:22:37「私は……どうなって……!」破壊衝動に任せてゴミ箱を蹴りつけると、それはいとも容易く破裂し、辺りにはゴミが散らばった。「エッ……?ナンデ……?」その小柄な体には、不釣り合いな威力であろう。 5
2015-03-24 23:25:25『そりゃあ、ニンジャになったんだ、当然だろう』「ニンジャに?」『そうだ、ニンジャ』「ニンジャ……貴方は何者?」『アー……ニンジャだ』「ニンジャ……」『おっと、もう時間らしいな。サヨナラ』「エッ……」 6
2015-03-24 23:27:35もう謎の声は聴こえない。しかし、彼女のニンジャ聴力は、重金属酸性雨の降り注ぐ音に混じる、こちらに近づいてくる微かな足音を聴き取った。ソウル反応……ニンジャだ。「ニンジャ……?そんな……でも……いや、今の私なら……」 7
2015-03-24 23:31:01その足音が、止んだ。そして、僅かながら、風を切るような音。だが気がついた時には遅かった、敵は既にワン・インチ距離に着地していた。「エッ!?」「ドーモ、シャークスケイルです。なァに身構えてンだよ!この俺を倒そうってェ?残念だったなァ!ケヒヒィーッ!」 8
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