【メモ用】芝村さんの虫除けその2(現代編と平安(相模)編+別番組)
ーーそうだよ。あと、今日も虫を触ってたでしょ。匂いする。 ーー鼻が効くな。 憲尊は涼やかに笑って、握り飯を受け取りました。猿は猿のように座り込み、憲尊が飯を食う様を眺めました。 ーーなんで笑うの。今日も、いっぱい死んでる。敵も、味方も。大将だって何日も寝ていない。 16
2015-03-29 23:55:10ーーだから、楽しいことを思い出すのだ。下で妻を歌う者たちと俺は、いくらも変わらぬ。不思議なことなど、なにもなかろう。 猿は考えた後、憲尊にそっと声を掛けました。 ーー大将にも楽しいことあるの。 ーーあった。だからもう、それでよい。今より出陣をする! 17
2015-03-29 23:56:10今、ひとしきり大きな天狗が地に落ちました。空が明るくなり木之子のような煙が不気味に照らされました。赤黒い煙を背に身の丈十丈ほどの鬼が三体、前進するのが見えました。 猿が三日月から降りるのと、導索が引き抜かれるのは同時でした。 18
2015-03-29 23:57:09甲を交換した三日月の操者の間の戸が閉まり、ゆるりと立ち上がるのが見えました。一本の鉞を持ち上げ歩くその様は、猿の目から見ても鬼と余り変わりがないようにも見えました。 19 Aの魔法陣 Ver5
2015-03-29 23:57:44今は昔、都でも評判の美しい姫君がおり、毎夜太刀を抱いて寝ると人の噂に上がっておりました。 夜這いに行った多くの貴族は、寝そべる太刀を見て逃げ出しては、笑い者になる。そういう話です。内裏はその噂で持ちきりであり、終いには帝もその話に心動かされたか。
2015-05-27 01:59:33一方の姫はそんな様子など気にもせず、太刀を抱いて見事な三日月を見上げておりました。 ーー天の海に雲の波立ち月の船星の林に漕ぎ隠る見ゆ そんな言葉を呟いていると、庭の矢竹のあたりから一人、女物の着物を被ったおのこが音もなく近づいてくるのでした。
2015-05-27 02:00:03”見事な太刀ですね。名を、なんと?” ”望月と言います。” ”美しい名だ” 姫は太刀を抱きしめ、おのこを見ました。おのこは女物の着物の下から美々しい顔を見せました。 ”私は誰の夫(つま)にもなりませぬ” ”そりゃ結構。正直、女には困ってない”
2015-05-27 02:00:58おのこは突然言葉を崩すと、顔を近づけて言いました。 ”俺は盗人なんだ。茨木ってな。最近噂だそうで。で、その太刀、俺にくれないか” 姫は太刀をぎゅっと抱きしめて、これだけが残るものなのだと態度で示しました。
2015-05-27 02:01:323/12別番組:蛮族の娘キラリ
蛮族の娘、キラリは草の灰と小便、獣の脂で皮を洗うのが常だった。これを繰り返す内に皮は革になり、馬具になり、鎧になり、服にもなった。 1
2015-04-12 22:57:13皮洗いは女神の時代から女の仕事。だから特に気にしたこともなかったし、少々臭いが身体に染み付いたとて、不便も無かった。腕前も良く、その内部族一番の革職人になるだろうと婆さまが目を細めてなめした革に触れながら言った時には嬉しくて、草原の上をごろごろしていた。 2
2015-04-12 22:59:26嬉しい。それで寝転がって青空を見ていたら空飛ぶ竜と目が合ってしまった。 竜が笑っているように見えたのは気のせいか。キラリは慌てて立ち上がって村に走り戻りはじめた。しかしその時にはとっくに大惨事で村は騒然としていた。 3
2015-04-12 23:01:10翌々日になるとキラリは街に出る事になった。自らの身を売るためである。食い扶持を減らし、金も得る。村としては苦渋の選択だったが他に手立てがあるでもなかった。 キラリは売られる女として、最初に選ばれた。牛がいない村の見習い革職人に仕事はない。 5
2015-04-12 23:04:123/28:「憲尊」は何と読むか
@siva_yuri こんばんはー 虫が好きなお姫様の話は確かあったなーあっちは男の人が女装してたなーとかよんでたら最後に叫び声をあげました(笑
2015-03-28 01:29:00