2015年3月30日

囚人【多分最終話】

囚人と(ry
0
二次小説創作ぶどー。 @uminosati

大きな鉄扉の前に立たされる。その大きさと立派さに、少しだけ驚く。 「ふ、副看守長!」 扉から視線を滑らし横を見る。見知った二人が、そこにいた。 「……何の用」 自分でも驚くほどの冷たい声が出る。 「副看守長だから、囚人の処刑は見届ける義務がある」 いつもの冷たい声で返事を返した。

2015-03-30 16:45:53
二次小説創作ぶどー。 @uminosati

……よく見ると、1人は黒い眼帯をしていて、1人は左頬に傷を負っている。 「……お前にやられた傷だ。俺はこんな傷が残り、リョウは右目を失明した」 「へえ、それはよかった」 その瞬間、そいつが胸倉に掴みかかってきた。 「お前……!」 「ソウタ」 それを制したのは、失明した白髪の人。

2015-03-30 16:50:02
二次小説創作ぶどー。 @uminosati

「りょ、リョウ!」 「……ソウタ」 じっ、と。白髪の人はそいつの目を見つめていた。まるで何かを訴えるかのように。 「……っ」 悔しそうな、悲しそうな表情をしてそいつは僕の胸倉から振り払うように手を離した。僕はそのまま尻もちをつく。 「立て!ほら、早く中入れ!」

2015-03-30 16:53:11
二次小説創作ぶどー。 @uminosati

そう言い鉄の扉を開け、僕を投げるようにして無理やり部屋の中へ入れさせる。 「……副看守長」 「ああ。ソウタ、閉めるぞ」 「……分かった」 そして、どんどん扉は閉まっていく。部屋はどんどん闇に包まれていく。 ……もう、死んでも未練はない。生きていても意味はないから。

2015-03-30 16:57:35
二次小説創作ぶどー。 @uminosati

何もかもを諦め、冷たく硬い床に倒れ込んだその時。 カサッ 紙の音が聞こえた。その音は、僕の服の中から聞こえたような…… その場所へ手をやると、確かに紙の感触がした。そして、思い出す……あの日の事を。

2015-03-30 16:59:38
二次小説創作ぶどー。 @uminosati

「そうだ……あの日、僕、1枚だけ守って……」 ……そう。手紙を破かれたあの日。実は、1枚だけさっと服の中にいれて、破かれるのを逃れていたのだ。 ……彼女の、手紙。それが、今ここにある。 読もうとする。が、部屋は既に暗闇に包まれようとしている寸前だった。 「待って!開けて!」

2015-03-30 17:02:05
二次小説創作ぶどー。 @uminosati

そんな声も虚しく……扉は完全に閉められてしまった。何も見えない。 「ねえ、開けて!彼女の手紙があるんだ!それを読みたいんだ!開けて!」 扉を叩く。……けど、返ってきたのは…… シューッという音がする。胸が突然苦しくなる。 それは、毒ガスだった。そして、その場に膝から崩れ落ちる。

2015-03-30 17:05:01
二次小説創作ぶどー。 @uminosati

「う、あ、がっ……」 胸のあたりを手でおさえる。苦しい。息が出来ない。 そのまま扉に背をつき、手紙を胸へ抱きしめた。少しだけ安心する。 だけど、息苦しいのに変わりはない。 「あ"……だっ……」 助けを求めるように手を伸ばす。だけど、それは空気を掴むばかり。

2015-03-30 17:08:04
二次小説創作ぶどー。 @uminosati

口を大きく開き、空気を吸おうとする。だけど、出来ない。当たり前に出来ていた事が、出来ない。見開いた目からは涙がボロボロこぼれ落ちていた。 「いぎ、だい"……」 必死に声を出す。 「あの"子に……あい"だい"っ……」 それは、僕の本心からの言葉だった。

2015-03-30 17:10:45
二次小説創作ぶどー。 @uminosati

「う……ぐ、が……あ……」 そして、そんな言葉も発せられなくなる。口を開いても、呻き声しか出てこなくなった。 ……どんどんと息苦しくなり、どんどんと意識が遠ざかっていく。 これが、「死」…… 最後に、君に会いたかった。それが、僕の最期の願いだった。

2015-03-30 17:13:46
二次小説創作ぶどー。 @uminosati

【囚人】最終話 中性的な顔立ちをした男が、小さな墓に向かって問いかける。 「君は、生きていて幸せだった?」 返事は何も返ってこない。 その男は墓に小さく可愛い白い花を手向けた。それは、アメリカイヌホオズキ。前、目の前で静かに眠っている少年にあげた花と同じものだった。

2015-03-30 17:20:03
二次小説創作ぶどー。 @uminosati

「……アメリカイヌホオズキ。花言葉は『男への死への贈り物』……君は、私にこれを渡された時点で……こうなると、決められていたんだよ」 その言葉に、反応は何もない。当たり前だが。 そして、その男は白衣を風に靡かせながらその場を去った。 「君と、もっと過ごしていたかったよ」

2015-03-30 17:23:12

コメント

コメントがまだありません。感想を最初に伝えてみませんか?