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バンドパロ~東堂編~ 東堂がギターをはじめたきっかけは、某有名動画サイトで見たひとつの動画だった。 自分と年の変わらない少年の奏でる音楽に魅了されたのだ。 その動画を見た次の日には、家の物置から父親の使っていたアコースティックギターを引っ張り出して、練習を始めた。
2015-03-31 00:32:11エレキギターを買うために今まで以上に家の手伝いをし、空いた時間には練習をした。 始めのうちは指先の皮が破れ、それこそ血の滲むような努力をした。 そのうちに指先は硬くなり、弦を押さえることが容易になった。 ひとつひとつ丁寧にコードを覚えては練習し、彼に近づけるよう努力した。
2015-03-31 00:37:24中学三年の夏、ようやくエレキギターを買うことができた。 買ったのは楽器屋で一目惚れした黒のストラトキャスターで、この日から東堂の相棒となった。 やはり、アコースティックギターとエレキギターでは勝手が違い、慣れる頃には夏休みは終わろうとしていた。
2015-03-31 00:46:23憧れた彼は、ほんの少しだけ遠い存在になっていた。 それでも、彼の紡ぐ音は東堂の心を揺さぶった。 彼を見習い、作曲も始めた。 分からないことは多かったが、楽しかった。 受験勉強の合間に、練習と作曲を行った。 憧れた彼は、ネット上から姿を消していた。
2015-03-31 00:52:15高校に入り、すぐに軽音楽部へと入部した。 そこで出会った福富と新開とバンドを組んだ。 初めて誰かと一緒に演奏して、その楽しさの虜となった。 しばらくして、福富が一人の男を連れてきた。 正直驚いた。 憧れた彼が、姿を消した彼が、自分の目の前にいることに興奮した。
2015-03-31 00:56:37彼は他者と音楽を奏でることに臆病になっていたが、福富と新開と三人で彼に楽しさを思い出してもらえるよう頑張った。 高校一年の文化祭、彼は共に音楽を奏でたいと言ってくれた。 それが、何より嬉しかった。 彼の作る音楽に自分がいることが嬉しかった。 彼の紡ぐ音に、自分が言葉を乗せ歌うだ。
2015-03-31 01:00:55憧れの彼は、今隣りに立って自分たちと音楽を奏でている 音楽の女神がいるのなら感謝したい 自分が彼の音楽に出会ったこと、福富や新開、荒北と出会ったこと、彼らとバンドを組んだこと、皆で笑いあえること、その全てが東堂の宝物なのだ。
2015-03-31 01:05:03「東堂、何ニヤついてんのォ」 「いや、お前には感謝せねばと思ってな。お前がいなければ俺はギターをしていなかっただろうからな」 「意味わっかんねェ。オラ、とっとと準備しろ!」 「ああ、今行く」
2015-03-31 01:07:53