新しい教科書で、領土問題について日本政府の見解が、記述として増える。NHKのニュースで藤田英典氏が、そして朝日新聞の社説や天声人語が、「一つの見方を押し付けるのはよくない」というようなことを言ってた。残念ながら説得力がない。
2015-04-08 17:40:30教育というのは予め教えるべき内容というのが決まっており、全く決まっていなければ教科書などつくれない。欧米では教える内容を決めない、カリキュラムも教科書もないような「子供を100%自然に任せる」教育実践もあるが、それは非現実的だ。
2015-04-08 17:40:47私の考えでは、「押し付けがよくない」のではなく、いい押し付けと悪い押し付けがある。算数の公式とか、「暴力を振るってはいけない」ということを押し付けるのはいい。しかし「日本は天皇を父とした神の国」といった押し付けはよくない。
2015-04-08 17:41:57もちろん教育実践としては、上手い教え方の工夫は必要だ。たとえば一部の学習障害の子供は、数の計算が苦手だが、「算数嫌い」が広がっているらしい現状からいって、算数に苦手意識を持たない上手い教え方が求められている。
2015-04-08 17:42:34話を戻すと、左翼的理想を押し付ける日教組のような古き悪しき教育の害悪が明らかになると、リベラルのいう事は「押し付けはよくない」ということになった。一方で一部の保守派から、「教育は押し付けだ」という開き直りが生まれて久しい。
2015-04-08 17:45:28「万学の祖」アリストテレスの議論に、悪名高い奴隷制擁護論がある。アリストテレスは、まず奴隷制はアテネの都市国家を維持する為に、必要であるという。そこに付け加えてアリストテレスは、「先天的に奴隷が向いている人、奴隷であることがいいような人」がいるから、
2015-04-08 17:55:53奴隷労働を強制されても逆らわないような人は奴隷にしていい、と結論付ける。現代では奴隷であることがいいような人、奴隷労働に慶んで従うような「そんなやつはいない」ことが明らかだから、アリストテレスの議論は成立しない。
2015-04-08 17:56:14奴隷制擁護論という、現代から見れば明らかな間違いを犯しながら、アリストテレスの議論が現代でも通用する普遍性を持っているのは、個々の人間の「素質」という要素を考えているからだ。押し付けというのも子供の側に「受け入れられる素質」があってはじめて成立する。
2015-04-08 17:59:40