1 めっちゃ早よ着いてもうた ひと眠りしたろかな まだ人気のない校舎の裏を抜け 生物室へ向かう 体育館の前で自転車を停めるヒナ 毎朝こんな早よから来てんのか なんやニヤニヤして わっかりやすいやっちゃな
2015-02-21 21:42:472 "なんなん、えらい早いやん" 「そのマフラー、もろたん?」 "せやねんバイトしてくれてな… この手袋もやねーん~" 「ほんで初めても、もろた…と」 "いや、やっぱり生徒に手は… 俺まだまだっすわ、師匠!" 八重歯むき出して 笑いながら歩いて行く
2015-02-21 21:43:023 なんか勘違いして 師匠呼ばわりされてるんやけど 俺かてまだ…やからな やーっとチューしただけなんやから つーかヒナみたいに 外で会うたことないし ま、学校でそんなことするんも どうかと思うけど あれはクリスマスイブの日…
2015-02-21 21:43:164 放課後の生物室 無事大学に合格した後も あいつは相変わらずここへ来て 学会の準備で 忙しくなった俺のかわりに ハーブティーを作ってる 離れたとこに座って 宿題したり本読んだり 何を話すでもないけど 視界の中におってくれて…
2015-02-21 21:43:285 なんや熟年夫婦みたいやな こいつはこれでええんかな よう考えたらこれ付き合うてるん? ちょい不安にもなる 俺の誕生日に ええ雰囲気になったけど チューはおあずけくらったまま 明日からは冬休み… しばらく会えへんのかな 柄にもなく考える
2015-02-21 21:43:396 「今日こんなとこ来とってええん?」 『どうして?』 「クリスマスイブやん」 『先生と祝いたくって』 「笑てもうてるやん」 『先生こそ家で誰か待ってないの?』 「誰がやねん…あ、あのなぁ…」 『…電話』 「お、おぉ」
2015-02-21 21:44:067 内線が鳴り俺に来客を伝える 「教材の業者来てんねんて… 職員室行くけど、待っとけるか?」 『うん』 「おし…すぐ戻ってくる」 それらしく白衣だけ引っ掛けて 職員室へ走る
2015-02-21 21:44:258 担当者が替わるとやらで その挨拶に来たんが またよう喋るおっさんで やっと帰ってくれた時には 1時間近く経っとった ほんっまええかげんにせえよ あいつもう帰ってもうたかな 夕闇が濃くなる渡り廊下を 急ぎ足で戻る
2015-02-21 21:44:349 うゎ…電気ついてない もう帰ってもうたかぁ イブ、先生と過ごしたい… て言うてくれたのにな 落胆してドアを開けると あれ…ぬくい エアコンついてる…? 薄暗い部屋の奥に ぼんやり見える人影 え? そのまま入っていく
2015-02-21 21:44:4710 ぷっ…待っててくれたんか 寝てるけど なんか起こすんもったいないな 電気つけんとそばにしゃがむ なにこれ…ずっと見とけるやつ 自然と頬が緩む こんな間近で 顔見たことなかったな 目ぇ覚めたら キモいって怒られるかな pic.twitter.com/OPZTcf5SKh
2015-02-21 21:45:1012 『…ん…あ、れ…?』 「寝とったで」 『真っ暗…』 「もう帰らな…」 『寝顔…みた?』 「ん?…んまぁ、ちょっとだけ…」 『キモ…』 「…にがやねん」 『きゃー!…わっ』 「おっ…と、暗いからじっとしとけ」
2015-02-23 02:15:0413 ふざけて叩くまねをしたら 慌てて立ち上がったあいつが バランスを崩した 『せんせ…』 「じっとして」 もっかいイスに座らして 顔を両手で包んでキスした 『…んっ…』 「俺の誕生日プレゼント… おあずけされたままやったやろ」
2015-02-23 02:15:1414 『だっ…』 なんか言おうとする口を またふさぐ 「…これはクリスマスプレゼントな」 『ちょっ…』 「ほんで次は俺からの…」 彼女をイスから立ち上がらせて 3回目のキス… やっとおとなしくなった彼女を ぎゅーっとした
2015-02-23 02:15:2015 「これ飲んだら、帰ろ…遅なった」 あいつがブレンドしてくれた ハーブティーを入れる 「そういえばポット… 買うてくれるって言うてたやん」 『え、』 「あ!これか?これやろ~ 俺にクリスマスプレゼント」 『だめー』
2015-02-23 02:15:2716 「なんでぇー」 『さっきもう奪われたもん クリスマスプレゼント…』 「あ…」 明るいとこで顔見合わせたら めっちゃ恥ずかしい 思わず緩む頬をおさえる またキモいって言われんように… pic.twitter.com/EU21YpKA48
2015-02-23 02:15:42