さくら

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∞すみれ∞ @magic88word

26 「おかしいか?」 『ううん…でも子どもみたい』 「子どもはこんなことせーへん」 いきなり深いキスをすると そのまま私を押し倒してささやく 「めっちゃしたい…」 『ん、待って…』 「あかん…」 『おふろ…』 「無理…」

2015-04-09 19:17:32
∞すみれ∞ @magic88word

27 言葉は少し乱暴で 絡めた両手を強く抑えて それなのに信ちゃんの瞳は優しくて 泣きそうになる 全身に熱いキスを受けて蕩けた身体を 信ちゃんが激しく求める 「目ぇあけて…」 最後の瞬間に私の名前を呼ぶ 視線にも射抜かれて 頭の中が真っ白になった

2015-04-09 19:17:39
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28 ふと目が覚めた… あれから何度も愛し合って いつのまにかベッドで眠ってた ぐっすり眠る信ちゃんの腕を そっと抜け出す なにかに導かれるように 出窓に置いたハンカチを 月明かりの中で広げると 少し萎れた桜の花を 手のひらに乗せてみた

2015-04-09 19:17:48
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29 微かな気配に振り向くと そこにいたのはリュウ… 肩に置かれる大きな手 リュウがふにゃっと微笑んで そっと唇に触れた その瞬間… ふわりと身体が浮く感覚と 懐かしい香り ここは… 桜吹雪の中 ふたり向き合ってた 私の髪に落ちた花びらを 取ってくれる大きな手

2015-04-09 19:17:57
∞すみれ∞ @magic88word

30 『りゅう…へい…?』 「せやで」 『隆平…!』 「んー?」 この人だった 記憶の底にずっと埋もれてたのは 桜の花が咲くと 胸が痛くなるのは 苦しくて切なくて でも懐かしくて… pic.twitter.com/h64tMskQKU

2015-04-09 19:18:08
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31 『隆平…!』 「おわっ」 胸に飛び込んだ私を ふわりと受け止めて笑う 「もっとよう顔見せて」 『りゅう…』 「ほら、また泣いてる」 『だって…』 「わろといてほしいねん、ずっと」 そう言って涙を拭ってくれる

2015-04-11 00:26:32
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32 「ほら、わろてみ」 頬に触れる大きな手… 屈んで目線を合わせたら ちょっとしゃくれてみせる 『…もう』 思わず吹き出して泣き笑い 「ん、ええ顔…安心した」 『隆平…行かないで…』 「どこも行けへんよ… ずっとそばにおるから」 『ほんと…?』 「ほんま」

2015-04-11 00:26:42
∞すみれ∞ @magic88word

33 花びらが舞い落ちる坂の途中のベンチ 隆平の膝枕に甘える 『ずっとこうしててね』 「うん…安心しておやすみ…」 隆平の膝はふわふわの綿のようで 髪を撫でる手は風みたいで 眠りに落ちる瞬間に聴こえた気がした 「ありがとう…また逢えるから…」

2015-04-11 00:26:54
∞すみれ∞ @magic88word

34 「…おはよ」 信ちゃんに頬をつままれ目が覚めた 「おまえどこで寝てんの? 起きたらおらんから焦ったやん」 え…? ひとりでソファに横たわってた 「俺イビキうるさかったかなあ」 『ううん…覚えてないけどなんでだろ …寝ぼけてたのかな?』

2015-04-11 00:27:13
∞すみれ∞ @magic88word

35 「頼むわもうー…あ、これ…」 桜の花が一輪 昨日の公園の桜 なんでこんなとこ… 「あー今日雨やわ、桜散ってまうな」 信ちゃんがカーテンを 開けながら言う 桜を窓辺に置いて 私も雨粒を見上げた 「今年の桜は見納めかぁ…」 『昨日見に行けてよかったね…』

2015-04-11 00:27:26
∞すみれ∞ @magic88word

36 「あのな…」 少し落ち着かない信ちゃんが 頭をくしゃくしゃしてから 私を抱き寄せる 「来年もふたりで見に行こ…再来年も そんつぎも、これからずーっと」 「ええか…?」 ふわりと風に背中を押されて 信ちゃんの胸に飛び込んだ pic.twitter.com/b5uI92clYL

2015-04-11 00:27:48
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