二日目、交流 - 今様に落つる怪奇譚

2015/04/08から2015/04/11までの、人間とあやかしの語らいの様子です。
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不老 蓮 @Lotus_frow

ふと、目が覚めた。冷え冷えとした詰めたい空気が喉の奥を冷やして熱を奪う。まどろんでいた目を何度かしばたいて目をこする。僕は横になって眠っていたはずだけど。 ……気付いたら寺の内部。最後に調査した扉に寄りかかって眠っていた。 「あれ……」 あれれ……。

2015-04-08 23:11:14
不老 蓮 @Lotus_frow

今様に連れてこられた、言い知れない雰囲気をまとう境内。何度目をこすってもその事実は変わらなかった。外に出てもまた、ここに連れ戻されるとでも言うのだろうか。 僕は良く分からなくなってかぶりを振る。 座った体勢で眠っていたから節々が痛くなりそうなものを、不思議と疲労も痛みもなかった。

2015-04-08 23:15:13
白堀之水藤 @sirafji

「あふ…」 手で口許を隠しつつも大欠伸。 気が付けば朝露滴る森の中にいた。 確かに共に眠ったはずの人間はそこにいない。 いつもと同じように一人で、いつもと同じように薄暗い場所。 随分リアルだったが…夢だったのだろうか。 それもそうだろう、人間に触れるなど夢物語。

2015-04-09 00:14:24
白堀之水藤 @sirafji

貌でも洗うかと少し歩んだ瞬間、視界に見覚えのある寺が入り込んできた。 「まさか…ねぇ」 ゆっくりと近づき年季の入った壁へ触れる。 あれ、夢じゃないのか。…昨夜のことも。全部。 …。 ゴツンと壁に頭をぶつけた。 …出逢ったばかりの人間に何てものを語ってしまったのだろう。

2015-04-09 00:14:32
白堀之水藤 @sirafji

それこそ夢物語と忘れていてくれたらいいのだけれど。 大きく溜息をついて、昨日と同じように寺の脇から其れはずぅるりと貌を出す。

2015-04-09 00:14:36
不老 蓮 @Lotus_frow

……。 僕は服装を整えて外へと出た。朝の空気は非常に冷たい。深く息を吸い込むと、都会に慣れしたんだ空気と入れ替わり循環する。肩を竦めながらあくびをした。 居住区らしき場所から出て、外へと散策しようとする、と。

2015-04-09 01:08:26
不老 蓮 @Lotus_frow

見覚えのある姿と香りを察知した。 「……白堀さん?」 きょとんと首を傾げる。脇から見えてきた明らかな人ならざるもの。蛇の体を持つ神(予定)と自称するあやかし。

2015-04-09 01:09:40
白堀之水藤 @sirafji

昨夜よく聴いた声を耳にし其方へ貌を向ける。 少し眠たげな焔がその姿を確認すると、 「…ああ、おはようさん」 と微笑を向ける。 …うーん、やはりいたか。 この様子だと他の人間やあやかし達も寺より移動した者は此処に戻されただろう。 「…どうも日の光は苦手でな」 目を細め昇光を見遣る。

2015-04-09 02:20:23
白堀之水藤 @sirafji

本来まだ眠る…いや、これから眠る時間。 本領たる丑三つ時に眠ってしまったのだから、こんな時間に目覚めるのは当たり前のこと。 空へ向けた目は再び蓮に向けることはなく前へと。 そして手水舎に向かい、そこで腰を落ち着かせる。 日の光を遮られるし水もあるしちょうどいい。

2015-04-09 02:23:45
遊灯華 @youtouka

人間の少女である火野夕奈と手をつないだまま、本堂に続く大扉を引き開けた、はずだった。 気づけば、遊灯花はまた、花盛りの庭に立っていた。見おろす手のひらは、誰とも繋がっていない。 「……お腹、すいた」  つぶやいて、辺りの花を摘んでは燃やす。

2015-04-09 07:45:04
遊灯華 @youtouka

撫子、桔梗、菫に水仙。最後に秋桜と朝顔を一輪ずつつまんで、あやかしの少女は庭の異様さについて考える。かつて棲んだ坊主の庵にも庭はあった。けれど、花は季節とともに順々咲いては散り、咲いては散るものであったはずだ。こうまで狂い咲くものではない。 「……今様」

2015-04-09 07:49:01
遊灯華 @youtouka

結論めいたものを口にして、遊灯花は門へと続く石畳を辿った。人間の少女を見つけてやらねばならない気がした。

2015-04-09 07:50:06
遊灯華 @youtouka

門の手前、手水舎のほとりに、かき消えていたはずの気配が一つ。見れば、あやかしがずるりとくだをまいていた。 「……おかえりなさい?」 問いかけたのは、彼女ほどのあやかしであれば自らの意志で気配を消すこともできないこともなかろうと、どこかで知っていたからだった。

2015-04-09 07:53:48
赫滑ねぶる @akanameneburu

「参ったなあ」 ぽりぽりと、後ろ頭を掻きながら。 晩飯の支度をするため、少女の家を出て、ちょいと行ったところに24時間営業のスーパーを見つけて、一通りの調味料と、野菜に舞茸、豆腐、挽肉、生姜にゴボウ、味噌に豆乳……まあ、俗に言う豆乳鍋の材料を買い込んだ。そこまでは良かった。

2015-04-09 08:21:10
赫滑ねぶる @akanameneburu

ごっそり買い込んだ食材で膨れたビニール袋を下げ、いざ家へ戻ろうとすれば、道がわからない。 自分はそこまで方向音痴ではないし、そもそも、迷うほどの距離は無かったはずだ。 そうこう彷徨ううちに、空は朝焼けに染まり始める。 明るくなり、自分が同じ場所をぐるぐる回っていたことに気付く。

2015-04-09 08:21:14
赫滑ねぶる @akanameneburu

「あぁ、こりゃあ……ははぁん」 濁った灰色の目をジトーっと細め、左手を振り返れば、そこには、何処かで見たような石積み階段が。 「なんでぇ、今様も人が悪い、いや、あやかしが悪いぜぇ」 観念したように肩を落として、導かれるままに、寺へと向かう。

2015-04-09 08:21:17
赫滑ねぶる @akanameneburu

階段を登り切れば、ひらけた庭に、幾つかの見知った顔を見つけ。 「よぉ、おはようさん」 陽気にひらりと手のひらを振る。

2015-04-09 08:21:21
白堀之水藤 @sirafji

只、水聲を拾い集める耳に混じった別の響。 ちらと其方へ焔を向ければ、実に昨日振りの姿を見つけた。 「ん…ただいま」 ひらりひらりと手を振ってやる。確か遊灯華といったか。 お前さんも無事で何よりーーー…そう申そうと口を開いたが、別の声にそれは中断される。

2015-04-09 15:00:28
白堀之水藤 @sirafji

音源を見れば、あのひょろ長い垢嘗め…いやいや、座敷童とやらが、やたら大層な荷物を手に持ち現れた。 何だろうあれ。炊き出しでもするつもりなのだろうか。 「…おはよう」 ぽつりと、それだけ答えて目を伏せる。 機嫌が悪い訳でも調子が悪いわけでもない。 ただひたすらに、眠い。

2015-04-09 15:01:05
不老 蓮 @Lotus_frow

「おはようございます」 深々頭を下げた。眠そうな雰囲気を醸し出す白堀さんは眠る直前まで一緒にいたから気になるところだった。生活サイクルがあわなんだか、僕のせいか。 続々と集まるあやかしら。彼らはぶじなようだった。

2015-04-09 16:36:04
不老 蓮 @Lotus_frow

遊び火、座敷童。彼らは変わりない様子だったが、 「ねぶるさんの、それ」 気になる点をいえば、座敷童の持つ鍋の具材。すぐそこのスーパーで買ってきましたといわんばかり。ナマモノが見えるし。 いっそ遊び火に焼いてもらうのも手かもしれない。あるいは探せば住居区の冷蔵庫は失敬できるやも、

2015-04-09 16:41:44
遊灯華 @youtouka

おかえりなさい、と言えば、ただいまと返される。おまけに、おはようございます、もついてきて、遊灯花は久方ぶりのやりとりをどこか懐かしい気分で受けいれた。 「……おはよう、ございます」 三々五々集まってきた人間とあやかしにぺこりと頭も下げてみる。言葉も、だいぶぎこちなさが抜けてきた

2015-04-09 17:57:31
遊灯華 @youtouka

ついで、舌の長いあやかしが持っている白い袋からネギがのぞいていることに気づいて、ぽん、と手を打った。 「火種になる?」 なにしろ、坊主と暮らしていたときはいつも、そうしていたもので。

2015-04-09 17:59:18
染井 恭子 @Swamp_swap

「重い」 鍋の底を頭の天辺に乗せたまま少女は言う。 鍋を手で支えることなく奇跡的ななバランスを保ったまま。 彼女は寺の本堂前の段差に腰かけて、皆を見ていた。 「重い」 主張を、重ねて。

2015-04-09 18:07:01
赫滑ねぶる @akanameneburu

「んぁ?」 そこに集った者たちの視線が、自分の持つ袋へ注がれていることに気がついて。 さらに、遊灯華と名乗った遊び火からの気の利いた提案に、ああ、と合点がいって。 「そりゃあ名案だ。石で窯でもこさえりゃ、ちょっとしたモンなら食わせてやれるぜ!」 袋を持ち上げ、ニィと笑う。

2015-04-09 19:08:58
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