【第四部-九】情欲が溶かしてくれるもの #見つめる時雨

時雨×龍鳳 ※R-15
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誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

『書庫で興味深いものを見つけたんです。時雨に見て欲しいので、今から来てくれませんか』 スマートフォンの画面に映る、龍鳳からのメッセージ。大規模作戦も終わったばかりだというのに、龍鳳は書庫で何をやっているんだろう。興味深いもの…あそこには戦闘諜報とかあるけど…

2015-04-30 00:00:24
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…ああ、それにしてもあまり気分が良くない。きっと深海棲艦の泊地まで攻め込んだ影響だろう。今まで幾度となく経験したこの感覚。誰に教えられずとも、いい加減察してきた。…廊下の窓に映る自分の目から、ゆらゆらした青い光が零れている気がした。

2015-04-30 00:05:15
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書庫の扉を開ける。部屋の中の電気は全て点いていたのだけれど、天井まで埋め尽くされた本の山に灯りが遮られて薄暗い。 「龍鳳?」 僕をここへ呼び出した彼女を探す。…ここにいるんだよね?

2015-04-30 00:10:14
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突然背後でガチャリと鍵が締まる音がした。 「え?」 僕は後ろを振り向くと、そこには龍鳳がいた。…今、部屋の鍵を締めた? 何のために…。 「…ごめんね、時雨。いきなり呼び出しちゃって」 「え…あ、うん…。それで、興味深いものって…」

2015-04-30 00:15:14
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龍鳳は入口の扉を遮るように立っていた。視線は床の方を向いていて、表情はよくわからない。でも、何だか少し呼吸が早いように見えた。 「…ありません」 「え?」 「そんなの、ないです」

2015-04-30 00:20:14
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「…あれ?」 …気づいたら僕は床に押し倒され、僕の上に龍鳳が跨っていた。 「…ごめんなさい、ごめんなさい時雨…。でも…私、苦しいんです…助けて下さい…」 息苦しそうにそう言う龍鳳の瞳から、赤い光がゆらめいて溢れていた。

2015-04-30 00:25:13
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「あっ…! んっ…ふぁ…ぁ」 強引に唇が奪われる。龍鳳の舌が僕のそれを求めて口の中を這い回った。あまりに唐突な深い口づけに僕は息継ぎの機会を逃し、ただ苦しかった。 「…あ…待っ…龍…んんっ…!」 僕と龍鳳の唾液が絡み合う音が、耳に届く。

2015-04-30 00:30:14
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「はっ…ぁ…はぁ…」 意識が落ちる寸前で、僕はようやく息を吸うことができた。でも、もう身体には力が入らず、口から溢れた唾液を拭う気力もなかった。こんなになってしまう程に、長く、長くキスをされていた。 「りゅ…龍…鳳…」 「あ…は…時雨…」

2015-04-30 00:35:12
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駄目…身体の芯が熱い…。その熱はもうすでに体外に溢れ、僕の下着を湿らせていることに気づいた。ああ、さっきまで何とか我慢していたのに。口の中に流れ込んできた龍鳳の味が、火に油を注ぐがごとく、僕の情欲を燃やしていた。

2015-04-30 00:40:13
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「はぁ…ぁ…?! しぐ…んんっ!!」 僕は目の前で息を荒げていた龍鳳を勢いよく抱き寄せ、唇を奪った。仕返しと言わんばかりに僕は龍鳳の舌を絡め取り、口の中を蹂躙した。

2015-04-30 00:45:13
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龍鳳が僕から身体を離そうとする。おそらく息が苦しいのだろう。さっきの僕と同じ状態だ。でも僕は彼女のネクタイを掴み、それを許さなかった。酷く乱暴な行為なのは自覚していた。けれど、身体が勝手に動いた。僕は獣のように龍鳳を貪った。

2015-04-30 00:50:13
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一度外れてしまった理性の枷は、この場でもう一度抑えることは困難だった。口だけで我慢出来なくなった情欲が龍鳳の身体を求めたのはもはや必然だった。同時に、彼女もまた僕の身体を求めた。布地が、破れる音がした。

2015-04-30 00:55:14
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もっと深く、もっと、もっと。…龍鳳の瞳から零れる光が、溶けて流れて落ちていく。…そうか。瞳から溢れる光は、彼女達の呪い。僕達はこうすることで、その呪いを溶かし合えるんだ。僕は身体に流れ込んでくる止めどない快楽の中で、それを悟った。

2015-04-30 01:00:18
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「んっ…! あっ…ふぁぁ!!」 龍鳳が背筋を仰け反らせる。僕は彼女の腰を抱き、既に露わになっていた豊かな双丘を唇で吸い上げ、そして歯を立てた。 「やぁ…!? あっ、駄目、止まらな…ああぁ!!」 僕のスカートが、彼女から溢れたもので水浸しになっていった。

2015-04-30 01:05:13
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龍鳳は脱力して僕の方に倒れ込んできた。再び彼女が僕に覆い被さる。龍鳳が乱れた呼吸を少しずつ整える。…少しして、やんわりとしたキスが僕に触れた。 「時雨…しぐれ…」 そのキスは、先程に比べて穏やかさを取り戻しつつあった。僕自身も、少しずつ落ち着いていくのを感じていた。

2015-04-30 01:10:14
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龍鳳の綺麗な赤い瞳が、僕を映し出していた。呪いの光は全て溶け出し、彼女本来の輝きが戻っていた。 「ごめんなさい…私…時雨…」 「いいよ。苦しかったんだもんね。…落ち着いた?」 龍鳳が僕の肩に顔を埋める。彼女はそこで、大きく深呼吸をした。 「…うん、ありがとう…」

2015-04-30 01:15:13
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「それに、僕も助かったから…お互い様…だよ」 …龍鳳が僕に身体を摺り寄せ、首にキスをしてきた。僕は龍鳳の頭に手を置き、やんわりと撫でてあげた。 「…ねぇ、もう少ししたら戻ろうよ。…着替えたいんだ」 腰から下が、気化熱でスースーしてしょうがなかった…。

2015-04-30 01:20:13
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…龍鳳が僕の首を甘噛む。聞いてるの? もう…。でも、このまま龍鳳の感触に包まれながら横になるのも悪くない。…背中はちょっと痛いけど。 「…ん」 息を大きく吸い込むと、龍鳳の匂いが鼻孔いっぱいに広がっていった。むせそうなくらい、甘い香り。

2015-04-30 01:25:14
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

「…すぅ…すぅ…」 「…あ、あれ? 龍鳳?」 気づいたら、龍鳳の肩が規則正しく上下していた。ね…寝ちゃってる。…しょうがない、運んで行ってあげよう…。僕は体を起こし、龍鳳の脚を支えてお姫様抱っこにして持ち上げた。…あ、服が…。そうだ、羽織で隠そう…。

2015-04-30 01:30:15
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

龍鳳を抱えたまま書庫の扉を開けた時、僕は固まった。 「…あ、もういいかしら?」 「…て、提督…」 提督が、文庫本を片手に椅子に座っていた。 「もしかして、書庫に用があったのかい…?」 「ええ」 提督は立ち上がり、僕の横を通り抜けていった。

2015-04-30 01:35:13
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

「…換気した方が良さそうね…」 …提督の小さなぼやきは僕の耳に届いていた。僕は顔が火が出そうなくらい熱くなった…。ごめん、ごめんなさい…こんなところで…。 「…ほら、貴女達は早く部屋に戻りなさい。何も見なかったことにしてあげるから、ね?」 「う、うん…ありがとう、提督…」

2015-04-30 01:40:15
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

「んん…しぐれぇ…」 龍鳳が僕の腕の中で寝言のようなものを零す。はぁ…このお姫様は僕の苦労も知らないで…。僕はすやすやと眠る龍鳳の額に唇をそっと落とすと、音を立てないようにしながらゆっくりと彼女の部屋へ向かった――

2015-04-30 01:45:13
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

時雨「あ、山城。おはよう」 山城「…首、痕が思いっきりついてるわよ」 時雨「え…ええ!? う、うわぁ…」 山城「…鏡でちゃんと確認くらいしなさいよ、恥ずかしい…」 時雨「……」 山城「…な、何よ…何見てんのよ。…痕は残ってないはず…」 時雨「…え」 山城「…あ、いや…」

2015-04-30 10:42:47