ヒミツヘイキ小話~カナダ軍の多連装投射兵器

大戦期カナダ軍の不採用兵器のおはなし
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えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

カナダ軍のヒミツヘイキの話とかしてると非常に平和なので、みんなしよう

2015-04-29 14:57:28

多連装PIAT

えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

というわけでカナダ軍のヒミツヘイキのお話を。写真ばかり有名で実際何だったのかよくわからない、PIATを後ろ向きに14挺搭載したユニバーサルキャリアですが、これは実際のカナダ版ネーベルヴェルファー(を目指した物)だったりします pic.twitter.com/SADF8UWYum

2015-04-29 15:25:29
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えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

開発に至った経緯はどうもよく把握しておらんのですが、ナイメーヘンの米第82空挺師団を救いに向かったカナダ軍第三師団がやたらにネーベルヴェルファーに悩まされたとかなんか(ちとあやふや)で、あんな感じの多数ばら撒ける感じの兵器がこっちにも欲しいとかいう話が出ていたようです

2015-04-29 15:28:18
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

ただ、先の写真にあるのは最初に開発された物ではありません。当初は24連装のPIAT発射機が欲しいと考えられていて、しかし如何なる理由かそれは叶わず、さしあたりフォード3トントラックの荷台に18挺(3x6配列)のPIATを搭載した車輛が試作されます

2015-04-29 15:32:54
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

これは木製フレームによってPIATを45度の角度で固定されたもので、それぞれのトリガーは連結され、ほぼ斉射が可能なようになっていました。試射は44年11月19日に行われ、斉射機能、反動による動揺、着発信管の確実性などがほぼ問題ないことが確認されます。18挺の再装填時間は僅か80秒

2015-04-29 15:37:02
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

ただ、この装備には致命的問題がありました。PIATを曲射しても、思いの外射程が伸びないのです。実験では最短280m、最大370mの射程しか得られなかったとされています。非装甲のトラックで標的から300mという至近距離に近付くのは全く実用的でないと考えられ、この方針は放棄されます

2015-04-29 15:41:33
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

射程が不足するのであれば、敵により接近することができる車輛への搭載が必要……との判断から開発されたのが、最初に貼った14連装PIAT搭載ユニバーサルキャリアである訳です。これは12月15日に実験され、射程は(当然)同等であること、ただし斉射時の動揺が激しい事等が確認されました

2015-04-29 15:44:25
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

この後多連装PIATがどうなったのかはよくわかりませんが、採用される事はなかったようです。やはり射程が短すぎる為に、当初欲したようなネーベルヴェルファーのような効果は期待できず、それならPIATは本来の対戦車戦闘に使用する事のほうが好ましいと考えられたとか、そんな話のようです

2015-04-29 15:49:45
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

この多連装PIATが我々に改めて突き付けてくる事は、PIATの装填時間は実際かなり短いという事実です。18挺を80秒でという装填時間は、正しくバネが再圧縮された場合のPIATの装填は迅速に行える事を示します。いちいち架台から外して引きなおしてたらこんなもんじゃ済みません

2015-04-29 16:03:29
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

PIATがバネの再圧縮を正しく行えない確率がどの程度なのか私にはよくわからんですが、少なくとも多連装PIATの実験においては、65射中でPIAT本体に関する問題は一つも起きていないようです。トリガーを連結するロッドが破損するという問題は起こしたようですが、これは砲架側の問題ですし

2015-04-29 16:11:36
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

カナダ軍ヒミツヘイキの話じゃなく英軍装備の話になってきたので、そろそろやめましょ

2015-04-29 16:12:32
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

ランドマットレスの装填って、こんな風に「前装」スタイルでやるんですな。ロケット部より弾頭部が太くて、その上に発射筒はただの筒でなく螺旋レールを内部に備えてるんで、当然ながら「後装」はできないわけだ。ちいと大変そうではある pic.twitter.com/lcGhdOtdx1

2015-04-30 11:25:36
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ロケット弾搭載M3ハーフトラック

えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

カナダ軍のロケット発射機といえば以前紹介したスタッグハウンド装甲車のがありましたが、彼らは他にM3ハーフトラックにもロケット弾装備を試しておったようです。面白いのは、所謂多連装ロケットと聞いて思いつくようなスタイルではなく、独軍の「歩くスツーカ」とほぼ同じ形態であること

2015-04-30 11:34:04
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

カナダのロケット弾搭載M3ハーフトラックで用いられたのは、例によってタイフーンの3インチ60ポンドロケット。これのレールを2本ずつ車体脇に装備する。レールは仰俯が可能。このほか、ロケットの噴射炎から乗員を守るための薄い金属製の天井も追加された

2015-04-30 11:40:26
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

発射機の装備数が少ない事からもわかるように、この改造M3ハーフトラックは所謂MLRS類なのではなく、あくまで直射火力支援を意図したものであったようです。車台が違うだけで、やりたい事はロケット搭載スタッグハウンドと同系みたいです

2015-04-30 11:45:45
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

前線で自分たちの裁量ですぐ使える大威力直射火力が欲しいってのは、多分だいたいどこの軍隊も持っていた要望でしょうし、だからこういうものが生まれてくるんでしょうね

2015-04-30 11:50:46
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

とは言え、このロケット弾搭載M3ハーフトラックは(勘のいい人ならもう気づいてるかも知れませんが)例によって不採用でした。翼安定式航空用ロケットを、航空用の短いレールを使って地上から発射すると、翼に当たる気流が不足するせいで精度が非常に悪くなる……この問題かここでも出た訳です

2015-04-30 11:56:51
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

実験では車両は完全に意図通りに機能したようですが、とにかく精度が悪く、採用に値しないと判定されてしまいます。スタッグハウンドロケットと全く同じ事をやってる気もしますが、開発時期はほぼ同じようなので、失敗を繰り返したのではなく並行していた様子

2015-04-30 12:00:39
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

ロケット搭載スタッグハウンドはこのあと螺旋レール型発射機の実験へと移行する訳ですが、M3ハーフトラックの方はそこまで進まずに中止されたようです。そういう訳で、カナダ版「歩くスツーカ」は結局陽の目を見ませんでした

2015-04-30 12:03:25
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

してみると、28cmロケット弾搭載の独軍ハーフトラックが上手く行ったのは、旋転安定ロケット弾の恩恵である事だなあ。翼安定ロケット弾は、安定翼に十分な気流が当たる速度にロケットが加速できるだけの十分な長さのレールを必要としてしまうんで、ポンと後付けするのがちと厄介であるぞと

2015-04-30 12:09:13
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

してみると、BM-13SNとかランドマットレスみたいな螺旋レール発射機はなんとも妙な物である事だなあ。たぶん、ロケット弾自体に大幅な変更を加える事なく翼安定ロケットを旋転安定とする事が出来るのがメリットなのでしょうが、これは弾薬互換性とかの何らかの縛りがない限り必要がなさそう

2015-04-30 12:19:20
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

とかなんとか適当に言っちゃったものの、実際のところ螺旋レールで弾を旋転させるロケット弾発射機って、ランドマットレスやBM-13SN以外にはどれくらいあるんでしょうね? 他の例があるなら、また違う旨味が期待されてたりするかも知れない

2015-04-30 12:31:31

軽量ロケット発射機