天城組十津川助の半生。

猥(ミダリ)@midax893の創作893自己満まとめ。
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猥@893 @midax893

顔ぶれから預かった鍵で部屋へ入る、暗い廊下を歩いてゆけば窓から差し込む明かりに照らされた小さな人影がある。「桃子…も、」駆け寄ろうとした助の目に映ったのは、切断された四肢に包帯を巻かれ虚ろな目をした桃子だった。

2015-05-06 20:24:12

誤字訂正「顔ぶれ」→「馨」

猥@893 @midax893

美しかった黒髪は艶を失い、天城が着せてあげたのだろう白いワンピースを纏う身体は極限まで窶れていた。その時、助は父親に暴力を受けていた母親の言葉を思い出す。「助って名前はな、なにも会う人みんなを助けろって名前ちゃうんよ。あんたが好きんなった女の子だけでええの。…助、助けたってね」

2015-05-06 20:26:31
猥@893 @midax893

手を繋いで歩いた桜の下、桃子の言葉を思い出す。「助ってええ名前やね、すっごい頼りになりそう!ふふ、正義のヒーロー助!ジャーン!みたいに、あはは…っみんなみたいに馬鹿にしとるわけちゃうよ?私、…助くんのこと…あ、あーこれはまた会った時でええかな!またね!助くん!!」

2015-05-06 20:30:10
猥@893 @midax893

「桃子、なぁ、僕や、助やで…会うの遅うなったな、な?…ごめんな、僕、助け、られへん、かった」美しかった思い出がいま脳の中で硝子のように砕け突き刺さり、助を壊した。「はぁッ、はは、ひ、ッヒヒ…あはははははは!!!!!!あーーーーひゃはははははははッ!!!!!!」

2015-05-06 20:35:27
猥@893 @midax893

男の狂笑が静かな部屋に響く、天城組の狂犬の名が893たちの耳に届く前の話。彼もまた人の子であった頃の話。 十津川助編、終。

2015-05-06 20:37:38