天城組十津川助の半生。

猥(ミダリ)@midax893の創作893自己満まとめ。
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猥@893 @midax893

ギャング時代の助は下っ端だったからさぞや虐められてたんだろうな。それでも仕返しする相手はこんな上辺だけのクズじゃないから耐えて耐えて身体鍛えてたんだろうな。この頃はすっごい短髪だと嬉しい。

2015-05-06 18:55:04
猥@893 @midax893

幼少時代はどうだったんだろう、恐らく普通の家庭を模したガラクタのような家庭か。桃子は年上の先輩がいいな、綺麗な黒髪ですらっと伸びた手足で誰からも愛されるような助が見上げても総てを見ることができないほど高いところに咲いた花。

2015-05-06 19:00:11

ここからスイッチが入りマジ語りSTART.

猥@893 @midax893

それなのに桃子はその高嶺から下りて助の元に来てくれた。右手を引っ張る柔らかくて白い掌が嬉しくて恥ずかしくて顔を真っ赤にする助だけど、下りてきた先にいるのは助だけじゃない。掃き溜めには磨けば輝くはず石だけじゃなくどうしようもないゴミも居たから。二人は夢から覚めなきゃいけない。

2015-05-06 19:04:03
猥@893 @midax893

桃子が性的暴力を受ける現場を目の当たりにして高嶺には訪れることはなかった深い闇と肌に纏わりつく濃い霧に囚われる、指の先まで冷えて血の通わぬ感覚は人であることをやめるという覚悟となって犯人を襲う。しかし非力な助では世間一般でいう最低の悪行を成すことはできなかった。

2015-05-06 19:09:39
猥@893 @midax893

そのまま少年院送りにされ家族とは絶縁をされ、魂の抜けた人で無しとして刑期を終え出所した助。数年間、彼の脳裏にあることはクズを殺すという二文字のみ。地元に戻り情報を得ると幸か不幸か桃子とクズも引っ越し上京したとのことで単身東京へ行きギャングとなる。

2015-05-06 19:13:44
猥@893 @midax893

助とは違い人の心はあってもそれを考える脳のない馬鹿どもの虐めを受けながらも口を一文字に噤み、身体を鍛えながら二人を捜すもなんの情報を得ることもできないまま過ぎる歳月。雨の降る夜の路地裏、諦めることなどできはしないのにこのまま泥人形のように溶けてしまいたいと願う。泣くこともできず。

2015-05-06 19:20:15
猥@893 @midax893

そこに現れた二人の男。「ここが最近うちのシマを荒らしてる若者の溜まり場ですね…しかし貴方が直々に来る必要あったんですか?」「事件は事務所やのうて現場で起きとるんやぞ、徹」「は、はぁまぁそうですが」「………ん?なんや、捨て犬か?」「ギャングの一人でしょう…おい、君。……大丈夫か?」

2015-05-06 19:25:55
猥@893 @midax893

尋常ではない男の目に顔を顰める徹。上地は物怖じすることはなく口端を上げる。「…ほほう…お前はこないな場所で生きていられるもんとちゃうな。…どんな捨て犬でも拾う男が居るんや。俺が紹介したる」「……」「おい、テツ。あいつに連絡しとけや。タオルとあったかいミルク用意しとけってな」

2015-05-06 19:31:24
猥@893 @midax893

「こんばんは、上地くん…で?この子…やろうな、捨て犬言うんは」「おう、なんやったら動物病院にも連れてたってくれや。まぁこいつが行きたい場所はそないなとこちゃうやろうけどな…ほな、後は頼んだで。俺とテツはこれから三上と酒飲みに行くねん」「えっ?」「はいはい、行ってらっしゃい」

2015-05-06 19:33:49
猥@893 @midax893

「いつまでそうしてるん?濡れてもかまへんから座りぃな」突っ立ったまま動かない助の背を押してソファに座らせる馨がタオルを差し出すも受け取らない。「もう…噛み付かんといてや?」困ったように笑うと滴の垂れる髪を優しく拭いてやりながら「…なあ、僕になんでも話してみい?」

2015-05-06 19:37:13
猥@893 @midax893

「…話すって」「?」「…なにを…どこから…話せば…」「…一番…一番君を苦しめてることや」部屋の暖房を強めて向かい合うように座る馨。「出してみ、僕が楽にしたるから」「……殺す」ポツリと呟くと堰を切ったように溢れる言葉「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺すころすコロス殺す殺す殺す」

2015-05-06 19:40:27
猥@893 @midax893

「あいつを殺す!竹沢樹を殺す!!殺す!!絶対に!!絶対に殺す!!!」そう叫ぶと頭を抱えて小さく震え始める助。「……たけざわいつき、…ああ…うん、わかった」ゆっくりと携帯を手に立ち上がり部屋を出る馨「…もしもしぃ、三上くん。あんなぁちょっと…」

2015-05-06 19:43:31
猥@893 @midax893

「………」馨に頼まれて渋々毛布をかけてやる周にも気付かぬままブツブツと呟く助。見下ろす周。「……(こんな狂ったのを拾うつもりなのか、親父は)」そこに戻ってきた天城。「見つかったよー」「!!?」「えっと…名前聞いてへんけどそれは後でええわ。これ持っていき」

2015-05-06 19:46:24
猥@893 @midax893

差し出されたのは漆塗りの美しい短刀。「……」「僕、使わへんからあげる」「親父、貴女こいつになにを」「ええからええから…周くん、この子を××埠頭まで連れてったげて。そこに1個だけ黒いコンテナあるから」「…はあ、…分かりました」

2015-05-06 19:50:21
猥@893 @midax893

自分が捜していた男が一夜のうちに?にわかに信じられぬまま周の運転する車に乗せられ辿りついた埠頭、黒いコンテナの前に待っていた三上「おう、秋崎。お疲れさん」「…お疲れ様です、三上さん」「こん中に突っ込んであるからな。…ほな帰るわ、上地に高い酒奢ってもらわなあかんからな」

2015-05-06 19:53:03
猥@893 @midax893

助を一瞥する三上「…見つけたんが俺やのうて上地でよかったな、捨て犬」……そしてゆっくりとコンテナを開けるとそこには手足を縛られた男の姿。外見からしてまともな道を歩いてきた男だ左手の薬指には指輪もつけている。桃子を犯した、あの男が、逃げ切って、日の下を歩いて、結婚もしている、って。

2015-05-06 19:56:05
猥@893 @midax893

助は馨から譲り受けた短刀の鞘を抜き歩み寄る。「お前、助か?そうだよな?なんだよこれ、お前まだ桃子のこと恨んでんのか?お前あいつのなんだってんだよ!付き合ってもなかった女の為に人殺しなんてすんのか?おい、やめろって今ならまだ“間に合う”だろ?おい!!」

2015-05-06 19:59:04
猥@893 @midax893

「…お前…子どもおんのか」「ああ居るよ!まだ2歳なんだ!俺には妻も子も」「そうかぁ間に合ったなぁ」「は、はあ?」「お前が落ちぶれてから殺しても意味ないんじゃ…おどれが幸せやないと…お前が死んで哀しむボケがおらな意味ないんじゃ竹沢ァッ!!!!!」

2015-05-06 20:01:55
猥@893 @midax893

そして血塗れになって出てくる助。電話している周。「ええ、終わったみたいです。この始末は三上さんがしてくれるんですね、分かりました。…男は…そうですね、海で服と身体洗った方がいいかもしれませんね」「………」

2015-05-06 20:04:47
猥@893 @midax893

男を殺した、けれど助の心に日の光はさすことはない。上地の言う通り自身を拾ってくれた天城に今度は桃子を捜していることを打ち明けると天城は快くそれに協力してくれた。珍しく捜索は難航し、見つかったのは1ヶ月後。「お待たせぇ、助くん。桃子ちゃん見つかったで」

2015-05-06 20:08:23
猥@893 @midax893

「!!ほんまですか、馨兄ィ!」「うん、…今回は中国のマフィアさんが絡んでて大変だったんやで。綺麗な女の子を攫って売り飛ばしてるみたいや」「…ほな桃子も…まさか…」「いや、彼女は間に合ったで。あの人ら金が貰えたらそれでええみたいやから…でもな、助くん。…諦められへんかな?」

2015-05-06 20:10:44
猥@893 @midax893

「なに言うてるんですか、兄ィ!ここまで来て諦めろって…!!」「…助くん。君は確かに分かれ道も逃げ道もない真っ暗な道ぃ歩いてきたやろうけど、…見えてへんだけで崖に続いとる道は確かにあるんや。…君はいまその道に行こうとしてる。そこに落ちたら戻れへんよ。ええんやね?」

2015-05-06 20:13:46
猥@893 @midax893

「…覚悟してますよ、兄ィ。ワシはもう人間でおることもやめた男なんですから」助をそっと抱きしめる馨。「馨兄ィ、」「…組ん中でも君の過去知っとんのは僕だけや、君が落ちたあと、人が君を気味悪いお化けみたいな目で見るかもしぃひん。せやけど、僕にとって君は人間や…立派に生きとる人の子やで」

2015-05-06 20:17:35
猥@893 @midax893

「…ありがとうございます、馨兄ィ」「…うん、ほな行っておいで。助くん。マフィアさんらとはもう話ついてる。引き取った桃子ちゃんは××マンションの×階に居るから。…これからはそこで君も住んだらええわ」そうして事務所を出て××マンションへと走る助。漸く逢える、桃子にようやく。

2015-05-06 20:21:08