- fujitaka0626
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1:ある画家が一枚の絵を書き上げた。画家は、多くの人たちに見てもらいたいと思い、ある美術館に飾ってもらうことにした。美術館のオーナーは、画家の頼みを聞き入れ、館内の一角に画家の絵を飾ることにした。こうして画家の絵は、美術館に訪れた全ての人々に見てもらえることとなった。
2015-05-09 17:53:252:その絵は、素敵な作品と呼ぶには一歩遠いものだったが、見た者の心を幸せにした。 その後、画家は次から次へと作品を生み出していき、いつしか多くの人々を幸せにする絵を描けるようになった。美術館は、画家の噂を聞きつけた人々で溢れかえるようになった。
2015-05-09 17:53:313:そんなある日、美術館のオーナーはひとつの考えを思いついた。画家の絵を見る人から、入館料とは別に見物料を貰うのはどうだろうか、と。オーナーは、画家の新たな絵が飾られる日にそれを実行することにした。 数日後、画家の新たな絵が飾られる日が訪れた。
2015-05-09 17:53:474:美術館には、画家の新たな絵を見るために長蛇の列ができた。絵を見に来た人々は、入館料とは別に見物料が取られることに違和感を覚えたが、画家への寄付だと思い払うことにした。その日、見物料が払えなかった人は、画家の絵を見ることができなかった。
2015-05-09 17:53:585:またある日、美術館のオーナーはひとつの考えを思いついた。画家の絵を見る人を更に限定してみてはどうだろうか、と。絵を見る権利を抽選してみてはどうだろうか、と。オーナーは、画家の新たな絵が飾られる日にそれを実行することにした。 数日後、画家の新たな絵が飾られる日が訪れた。
2015-05-09 17:54:366:美術館には、画家の絵を見るために長蛇の列ができた。画家の絵を見に来た人々は、新たな絵を見る瞬間を今か今かと心待ちにしていた。ところが、美術館のオーナーから絵を見る権利を抽選にするという発表がされると人々は不満の声をあげた。
2015-05-09 17:54:407:怒って帰ってしまう者、オーナーを説得する者、しぶしぶ抽選に参加する者、絵を見る権利を売る者まで出てきた。更には、画家を指差してこう呼ぶ者が出てきた「金を稼ぐために絵を描く卑しい画家」と。 その言葉を聞いた画家は、ただただ目から涙を溢れさせたのであった。
2015-05-09 17:54:54