壊れた童謡長谷部くん(完結済み)

かたなのスズトの省エネモード @10dance_suzuto

@TOS 「酷い雨だね。長谷部くん達の出陣先は同じ時代だったっけ。大丈夫かな」「世界線が違うだろう」「でも梅雨時だよ？」「微妙なところでしょうね」「太郎太刀、甘やかすな」「仕事は仕事さ……さあ、門が開くよ」

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@TOS 「第三部隊帰還致しました」「臨時のですがね」「騒がしいな」「何か、何かあったのかな…………血の、におい？」「あ、しょ、燭台切光忠さん！……ッ、うわああああん」「ど、どうしたの、乱ちゃん、落ち着いて」「乱！部屋に居なさいと……燭台切、殿」「一期くん。ねぇ、何が、あったの」

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@TOS 「……」「第二部隊に、何があったの」「……落ち着いて聞いてください」「長谷部くんに、何が」「第二部隊が壊滅的被害を受けました。幸い、刀剣破壊者は出ておりません。が、五虎退、平野藤四郎の両名が重症。へし切長谷部は……重症の後に本体が現出しました」「は」「瀕死の重傷です」

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@TOS 「光忠、行け！」「倶利伽羅」「後のことは俺達に任せて良い」「燭台切、今行かなければ後悔するのは、あなたです」「……っ、ごめん。一期くん、地下湖への立ち入りは」「禁じられております。ですが札が用意されておりましたから、すぐに地上へ戻されるかと」

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@TOS 「なら、和泉守くんか薬研くんは、どこだい？」「薬研は二振りの付き添いで手入れ部屋に。和泉守殿は、長谷部殿を運び込んだ後……皆の勧めで浴場へ。ですが……」「なら」「あれから、ずっと、出てこないのです」

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@TOS ザアアアアアアアアアアアアアアアアアア

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@TOS 「ごめんなさい、燭台切さん……兼さん、相当ショックだったみたいで、今は、その……」「彼は何か言っていたかい」「……いくら洗っても血のにおいが落ちないって。長谷部さんの血のにおいが、こびりついて、とれないって」「長谷部くんの容態を見たのは」「兼さんと薬研さんだけです」

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@TOS 「そうか……ありがとう、薬研くんの所に……行ってみるよ」「はい、ごめんなさい。お時間とらせてしまって」「ううん」

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@TOS 「打撲多数、裂傷多数、ここまでは、まぁよくある話だが、ここからだな。内臓破裂、左腕切断、骨折数箇所、そして頭蓋骨陥没。だが何よりいけねぇのは、ニアイコールダミーが折れた」「は」「どこが原因かはわかんねぇけど本体の現出の決め手であるのは確かだな」「本体は」

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@TOS 「あぁ、そっちは大丈夫だ。間一髪で和泉守が間に合ったからな」「長谷部くんは、今は」「それでも肉体の損傷箇所が多すぎるってんで、札を使ってもまだ時間がかかるらしい。多分、兄弟の方が先に目を覚ますかもしれねぇな」「そうか……二人は無事だったのかい」

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@TOS 「あぁ、重症状態ではあるがダミーも無事なら本体も収まったままだ」「良かった……ごめん、心配が遅れて。隊長職、失格だ」「いや、現出するレベルの重症なんだ、そりゃ心配するだろ」「薬研くんは冷静だね」「取り乱してる奴が居ると冷静になっちまうんだ。今頃になって震えてきやがった」

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@TOS 「薬研くん」「はは……はは……死ぬかと、長谷部が」「薬研くん」「っ、くう、……長谷部の頭が、つぶれてて」「やげん、くん」「くそ、くそっ、俺が判断をミスったから、くそお、畜生……っ！！」

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@TOS 「酷ぇもんだった、左腕が落ちてたから何かと思ったら、五虎退を庇って身動きも取れねぇで、敵に囲まれて。好きなように痛めつけられて。また、どうせ、いらねぇ挑発でもしたんだろうよ隊長は。あの人、血を見ると興奮すっからなあ。いよいよ蹴り飛ばされてさ。

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@TOS 五虎退って叫んだつもりだったんだろうな。でも血が詰まって、溺れたみてぇな声しか聞こえなくて。むき出しになった隊長の腹に、敵の刀が貫通して地面に縫い止めてさ、頭を、思いっきり蹴り飛ばしやがって。鈍い音がして。そしたら、隊長の胸から剣が生えたんだ。胸糞悪ぃ戦場で

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@TOS 信じらんねぇくらい、銀色にきらきら光ってて、あ、あれが、隊長の本体だって理解した瞬間にぶつんって記憶が途切れててさ。気が付いたら隊長が腕の中に居んのよ。俺のこれ、羽織を頭から被ってさ。あんなに背中がでっかく見えてたのに、腕の中に居っとさ、すっげー軽いのよ。

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@TOS でも、やっぱ、胸突き破って切っ先が生えててさ。ああ、これ、夢じゃないんだって。血と土と雨と内臓と、隊長のさ、藤のにおいがしてさ、頭おかしくなるんじゃないかって。武士の時代じゃ、こんなのは、よくある話の筈なのになあ？それでも、まだ、この腕の中に隊長が居るような、気がして」

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@TOS 長谷部くんが再び目を覚ましたのは、この日から三ヵ月後だった。各々の傷にかさぶたが出来る頃、優しい春の調べに乗って目が覚めた彼は、第二部隊隊長へし切長谷部ではなく、何も知らないただの子供に成り果てていた。■雨編

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ちくっと猟奇的編…でも本音言えば楽しかった…そして僕は兼さんにどれだけ重いものを背負わせるというのだ…(鈴は兼さんが好きです)

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「はつこーいの、いたみー、をー。とおくーとおくー。おもいーいずーるー」 #壊れた童謡長谷部くん

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@10dance_suzuto 「…………んあ……？」「……」「あえ……みつただ」「……」「おねむ？」「……」「ふふ」「……」「ひさしぶりだー、みつただのおねむ」「……」「かあいい」「……」「ねー、みつただ」「……」「はせべねー、みつただがすきだよ」「……」

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@10dance_suzuto 「みつただといるとねー、むねがぎゅってするの」「……」「みつただがわらうと、うれしいし」「……」「みつただがかなしーと、ほんとはね、かなしーんだよ」「……」「あとね、しゅつじんしてねー、みつただがぎらぎらしてるのも、すき」「……」

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@10dance_suzuto 「はせべにもぎらぎらしてるのもねー、うんとすき」「……」「みつただとおふろはいるのもすき」「……」「みつただとごはんつくるのもすき」「……」「みつただとしゅーかくや、うまとーばんするのも、すき」「……」「みつただといっしょにいるの、すきだよ」

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@10dance_suzuto 「……」「へへへ、いっちゃったあいっちゃったあ。ないしょだったのに、いっちゃったあ」「……」「あのね、みつただ」「……」「はせべは、みつただのすきなはせべだったら、よかったなあ」「……」「はせべがはせべじゃないから、みつただはかなしーんだね」

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@10dance_suzuto 「……」「みつただのかなしーは、かなしーなあ」「……」「だけどはせべは、はせべのかなしーは、いーの」「……」「かなしーは、いとしいなんだって」「……」「なんかね、ちょっとね、わかったきがする」「……」「みつただ、はせべはみつただがすきだよ」「……」