不知火に落ち度はない　34（第十七駆逐海賊団編　その２）

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

神通会議から少し後。 長門と再び通信を再開し現地との情報のやりとりをした結果、連中は間違いなくセブに居ると判明。 上陸地点となった場所はわからないが、ケータイから抜き取ったGPS信号がここで途絶えたらしい。 #不知火に落ち度はない

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『つわけでだいたい作戦はまとまった』 『そうか神通と夜のデートか。胸が熱くなるな』 ちょっと待てお前。 何しみじみとした文章返してくれやがるんですか。 『しませんよ？』 『飲みに行くんだろう？』 まあ、そうだけどさ。 『勢い任せにやりそうだな』 #不知火に落ち度はない

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『しませんしませんしません』 『おお。面白い発見があったぞ司令。しませんと三回言うだろう？』 『あんだよ急に』 『最後、しましぇんって噛む』 どうでもいいわバカー！！！ 雪風の真似ッ子のつもりかメスゴリラ。 もっと無邪気になって出直せ。 #不知火に落ち度はない

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『なお、夜の間に探すのはあまりよろしくなさそうだな』 『まあ、お休み中だろうしな』 『そういうことだ。寝ておけ』 『ストリップ行きてえ』 『ふーん？ サービスして欲しいのか？』 ……。 やめてよね。YESつったらどうすんのよ。 #不知火に落ち度はない

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『よし待ってろ。良い物を送ってやろう』 『え、マジで』 なんですか。俺興奮させて何がしたいんですかメスゴリラさん。 そしてしばらく後、ぴこーんとスマホがメールを受信する。 添付ファイルは画像ファイルに、動画ファイル。 え、マジなんですか？ #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

『それを見たら寝ろ。楽しいぞ』 『おう、じゃあ遠慮なく』 そうして、俺はやや興奮気味に、動画ファイルを開き。 #不知火に落ち度はない

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その日は大変良い夢を見えた。 夢の内容は、とてもじゃねえが口に出せねえもんだった。 #不知火に落ち度はない

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そうして翌日。 朝飯ついでのブリーフィングで話し合った結果、編成はこうなった。 ・午前中、武器・警察関係に行くときは不知火と組む。 ・午後に、市場関係に行くときは浜風と組む。 理由？ 簡単に言えばだ。 「司令の顔の不味さですね」 うん、そうなの。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

ちゃうねん。そやないねん。 脳内での関西弁担当がツッコミを入れる。 へたくそな関西弁で苛つき度を跳ね上げるがそれは許せ。 俺と不知火のコンビなら、強面の連中でも足下を見られないんだ。 なにせこの眼光鋭いプチドーベルマンは外国でも通じるからな。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

俺単独でもそれは同じだが、それでマーケットいくじゃん？ 誰も寄ってこない上目立つじゃん？ その点浜風のへったくそな英語トーク力と、一般人くさい物腰と溢れる主婦力オーラは俺の存在を隠せるのである。 これには神通も納得した。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

なお、神通と組めば実は両方とも対応可能とは、話してる途中で気づいたが割愛。 そうすると余った不知火・浜風組で編成することとなり、どっちにもちぐはぐなアレが、なんだか問題を起こしそうになるのである。 そこも神通は承知している模様である。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

何でかというと、アレだ。 なんかな。不知火と浜風の座ってる椅子の距離が遠い。 ついでに言うと、浜風の顔に擦り傷があり、プチドーベルマンはすまし顔である。 言うまでも無く何かやった証であろう。 神通も察してるのかこちらに視線を向けていた。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「旨いぞこれ。どうよ神通」 「頂きます」 朝食のゆで卵をパス。 こつこつと殻を割って、一口ぱくりと頂いている。 オーケー、内緒話成立。 神通は浜風の殻を割る。 俺は不知火から事情を聞く。 丸く収めましょうって話だ。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「じゃあ、不知火」 「何でしょうか」 「警察行くから、署長にアポ取り頼む」 「名前は使ってよろしいですか？」 「そこは随意に。麻薬捜査官みたいに笑えるのはナシな」 「大丈夫です。痴漢の現行犯にしますので」 やめて。神通教官が困ってるでしょ、不知火。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

一方不満顔の浜風がいますが、とりあえず放置はよくない。 おーいと手を振っても反応しなかったので、ぽいっとゆで卵パス。 「ほい、浜風」 「え？……きゃああ！？」 ごちん ナイスサウンドとともに、額に卵命中。 おお、見事に当たったもんである。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「何するんですか！！！」 「どうどう。心配なのはわかんだけど、気ィ張りすぎ」 即ムカ着火ファイヤー状態な浜風に、ウインクなどしてみます私め。 「む……でも卵投げないでください！ 卵いくらするか知ってますか！？」 主婦サイドからの反撃を受けました。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「不知火。知ってるか？」 「ダチョウの卵の値段なら。この間道の駅で見ました」 「面白半分なお値段じゃなく、生活が反映されるお値段で話し合ってください！」 ごめん無理。 おじさん、コンビニ温泉卵しか買った事ねえっす。 そういうのはモグリにお任せです。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「じゃあ投げた卵に謝ってください」 「すまん卵」 投げられて激突し、ちょっとヒビ入った卵に深々頭下げておりますなう。 それで少しは浜風の溜飲も下がったらしく、卵の殻をペリペリ剥いてお口に運んでおります。 ん？ 浜風？ #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「えっと、浜風。つかぬ事をお聞きしますぞ？」 「何ですか、私の食べ方になにか？」 「何でマヨネーズをかけてるんだ？」 「？？？ えっ」 いや、ほら。 サラダ備え付けのマヨあんじゃん？ なんでか浜風、卵に付けて食ってるんですけど。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

それには流石に神通も驚いた模様。 思わず視線を浜風の手元にやっていた。 ゆで卵だぞ？ ゆで卵なんだぞ？ マヨネーズが卵でできてるのは知ってるよな？ つまり卵と卵のダブルパンチなんだぜ？ 「ちょっと待ってください。べ、別におかしくないですよね？」 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「神通。お前ゆで卵に何付ける？」 「塩……ですけど」 「だよな、俺も塩だ」 うむ。コモンセンスの確認大事だ。 プチドーベルマンもさらさらと、ゆで卵に白い粉をかけて食っている。 「あ、あの。卵サラダはマヨネーズでしょう？！」 「だが、ゆで卵は塩だろ？」 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「卵サラダは市販品だと確かにそうですが……。でも私達はごまドレッシングが常備品です」 「えっ──」 マジか。ドレッシング派か。 「ちなみに提督は、何をサラダにかけます？」 「マヨついてるポテサラに、醤油かける」 と言った瞬間、さあ、と引く気配。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

あれっ。 あれっ。 待て、その引く気配はなんだ？ ポテサラとかマカロニサラダのマヨってドロドロしてんじゃん？ そこに醤油かけると、ちょうど良くなんじゃん？ 「塩分取りすぎですそれ！」 「あの……私もそう思います……」 えー。マジで？ #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「不知火も、司令はいささか塩分が過ぎると思ってます」 「おい、不知火。説得力ねえぞそれ」 見ると卵に山みたいにかかってる塩がある。 なんだそのピラミッドは。 「これですか？」 うん。その盛り塩どうにかしろよ。 しかし、不知火はパクリと食いついて。 #不知火に落ち度はない