みんなで繋げたクリスマス夜話。
ではリレーツイノベです。順番は、そばつゆ→@wacpreさん → @k_you_nagiさん → @xsheeenaxさん → @naomofさんでお願いします。
2010-12-24 20:06:39クリスマスの夜、とあるマンションの屋上に幼い女の子が立っていた。彼女はここで、ある人が現れるのを待っているのだ。しかし屋上は冷たい風が吹き付け、思っていたよりうんと寒い。一度コートを取りに戻ろうと屋上の扉に手を掛けた途端、彼女の顔が強張った。扉が開かないのだ。 #twnovel
2010-12-24 20:07:38引いたり押したり、何度も試しても開く気配がないようだ。『誰か開けてー!』どれだけ大きな声で叫んだとしても、今夜はクリスマス。パーティをしているみんなには聞こえない。諦めたのか、手に息を吹きかけたり、足踏みしたりして温まろうとしている。ガタガタ。扉が音を立てた。 #twnovel
2010-12-24 20:21:40#twnovel ほんの少しだけ、扉が開いた。ひょこっと銀のドレスを着た親指ほどの小さな女の子が現れた。「ゴメンなさい、魔法……間違えちゃった。一緒に待ってもいい?」二人の女の子は冷たい風の中、揃って空を見上げる。ふわり、真っ白な雪が花びらのように彼女達のところへ舞い降りてきた。
2010-12-24 20:35:44小さな女の子を包んだ手の冷たさも忘れるくらい綺麗なそれはほっぺたに触れては溶けてゆく。女の子はぼんやりと空を見つめていた。胸の前で祈るように捧げるようにしていた指の間から銀色の妖精がひょっこり顔を出し小さな小さな指で遠くを指した。「来たよ!」「え?」目を凝らす。 #twnovel
2010-12-24 20:50:41その時、びゅっと風が巻き上がり、女の子は思わず悲鳴をあげて目を潰った。「みっけ!」甲高い声に恐る恐る目を開けると。「主さま!」ぴょんと妖精が抱きつく、黒い服で箒に跨がるその姿は、「…魔女?」「そ」しれっと頷き、魔女はさて、と妖精に尋ねた。「どう?この子は合格?」 #twnovel
2010-12-24 21:39:44「願いの強さは充分。根性もある。なにより主さまより若い!ごうかーく!」妖精が得意気に宣言する。女の子は何が何やら分からずに、目を白黒させるばかり。魔女はそんな女の子に優しく声をかけた。「怖がらないで。実は君に力を貸して欲しいんだ。消えかけたあの人を助ける為に」 #twnovel
2010-12-24 22:01:59#twnovel 「世界は変わる。何もしなければ悪い方向へ、転がるようにいくらでも。あの人に必要なのはその存在を信じる君の気持ち。わかるね?あの人だけでは世界を良い方向へ変えることはできない。でも」女の子は魔女の言葉の途中で力強く頷いた。自分にできる事があるなら何でもしたかった。
2010-12-24 22:25:47「……わたしも」寒さのせいか目の前の出来事のせいか、震えた声が零れた。世界のこととか、難しいことはわからないけれど。「わたしも、待ってる、から」黒の魔女と銀の妖精からまっすぐ目を離さずに女の子は言った。すると魔女はとびきりの笑顔を見せる。妖精も。「ね、主さま!」 #twnovel
2010-12-24 22:35:37女の子は待った。待ち続けた。しんしんと積もる雪は小さな体から容赦なく体温を奪ってゆく。寒い――眠い。いやだめ、眠ってはだめ、あの人がきっともうすぐやって来るんだから……ぐらりと世界が闇に落ちる。揺らぐ視界、その端をふと、暖かい赤が過ったような気がした。 #twnovel
2010-12-24 22:58:38マンションの屋上で願う女の子と、同じ様に世界のあちこちで願う子供達の祈りを汲み上げて、魔女が歌い、妖精が踊る。夜空に奇跡が満ち溢れ、そして弾けた!一瞬の間を置き、何処からか鈴の音が聞こえ始める。その音に安心したのか、女の子はその場にくたりと倒れこんでしまった。 #twnovel
2010-12-24 23:25:54#twnovel 遠く優しい鈴の音が微かに聞こえ、淡く消えていく。女の子が気がつくとベッドの中にいた。まだ部屋は暗く、でも窓の外は夜明けの色に染まり始めている。開けっ放しの窓に驚いて彼女はベッドを降り、駆け寄った。雪が降ることすら稀なこの街で育った少女は初めて銀世界を目にした。
2010-12-24 23:44:36女の子は感嘆の声を上げる。昨夜の夢のような出来事を思い出しながら。そして白々と明けていく空から溢れる光が部屋の中まで照らし始めた頃に彼女はふと枕元に置かれていた赤い包みに気がついた。開封をためらうくらい丁寧にラッピングされたそれのリボンに挟まれたカードの名前は。 #twnovel
2010-12-24 23:58:03「ママ!」階段を駆け降り、母親に包みを差し出す。「どうしたの?」「見てこのカード!」「まあ」そこには女の子の名前と、もう一つ。『もうすぐやってくる君の妹へ』 女の子は母親の大きなお腹に頬をくっつけてふふ、と笑った。さあ早くおいで。素晴らしい世界が、君を待ってる。 #twnovel
2010-12-25 00:30:12三周!三周!綺麗に三周! QT @naomof チラッ RT @sobatoyou: 素晴らしい。これで終わりでもいいけど、次あたりで〆かな?チラッRT @k_you_nagi: @xsheeenax @naomof @sobatoyou なんとか書けたー♪
2010-12-24 23:54:11@k_you_nagi @xsheeenax @naomof なお先生が最後に〆てくれましたので、クリスマスリレーツイノベこれにて終了です。ありがとうございました。ステキなクリスマスプレゼントになりました!
2010-12-25 00:34:00@sobatoyou @k_you_nagi @xsheeenax @naomof すげえええ、私には絶対出来ねぇオチだ! なおさんありがとう!そして皆お疲れ様っしたー!
2010-12-25 00:36:55みなさま、素敵なお話をありがとうございました!本当、素敵なクリスマスプレゼントです♪ みなさまと、お話の中の女の子に、Happy Christmas☆彡☆彡 @sobatoyou @k_you_nagi @xsheeenax @naomof @wacpre
2010-12-25 00:37:29@xsheeenax @sobatoyou @naomof @wacpre お疲れさまでした~♪予想外の三周に驚きつつw楽しく緊張&集中して書くことができました。ありがとーございました♪また機会がありましたら、ぜひ☆
2010-12-25 00:40:39クリスマスリレーツイノベお疲れ様です。覗かせていただいておりましたが、皆さんで順々に紡がれていく話、読むのも待っているのも楽しかったです。 @sobatoyou @k_you_nagi @xsheeenax @naomof @wacpre
2010-12-25 00:42:02