四月の終わり 間と狭間

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狭間 駿 @c_yu_n

@aima0022 狭間】言葉がそれ以上続きそうでもないなら、やがて再びネオンテトラに目を戻すだろう。

2015-05-31 17:53:06
@aima0022

@c_yu_n  じっと見上げていた視線を元に戻した少年を見下ろし、頭をぽんぽん、と優しく叩く。「………さ、……気のすむまで見せてあげたいけど、……そろそろいいかな」

2015-05-31 17:55:30
@aima0022

客の少ない時間とはいえあまり長い時間店を締めきっているわけにもいかない。

2015-05-31 17:56:28
狭間 駿 @c_yu_n

@aima0022 狭間】「…ん、」それで、へら、と表情を崩す。「ダイジョブです、ありがとございます、」開店時間中に、特別に見せてもらった光について礼を述べる。穏やかな夜と錯覚した。

2015-05-31 17:59:55
@aima0022

@c_yu_n  述べられた礼に少しばかり頷いてから、光揺らめく水槽の傍から離れ、店内の照明をつけてから閉じていたカーテンを開けた。昼間の日差しが店内に入る。眩しく、一瞬目を細める。

2015-05-31 18:02:23
狭間 駿 @c_yu_n

狭間】「………、」(ああ、そうか、)かなりの時差をおいて、漠然と思う。照明が戻って、カーテンが開いて、昼下がりの光が戻ってくる。そうか、心配してもらったんじゃないかな、と考えて、理解する。窓からそそぐ光のなかにたたずむ、均整のとれた背の高い全身の姿を、すこし遠目でじっと見て、

2015-05-31 18:06:03
@aima0022

@c_yu_n  外は、明るい。ほんの少しの間創り出した夜の世界は、昼の光に溶けて消えた。自分はそのままレジの席へと戻っていこう。

2015-05-31 18:09:13
狭間 駿 @c_yu_n

@aima0022 狭間】「…それじゃ、」おさまるべき場所に戻っていった姿を目で追って、それを潮に口を開く。「俺も今日は、そろそろおイトマします。…翔流さんにも、よければよろしくお伝えください、」ゆるゆると扉近くまで歩き、切り取られた春の終わりの日射しを背にしてへへ、と笑う。

2015-05-31 18:13:42
@aima0022

@c_yu_n 「ん」その短い一言に了解、の意味を込めてから、レジテーブルの上に視線に向け何か気づいたように「あぁ」と溢してから、机に置いてある小さな袋がたくさんのせられていた木の皿を漁る。

2015-05-31 18:19:05
@aima0022

@c_yu_n その中から親指ほどの一つの小さな袋を掴んで、入口付近にいる彼の元までそれを届けよう。「はい、お土産」

2015-05-31 18:19:55
狭間 駿 @c_yu_n

@aima0022 狭間】「あ、え?」ありがとうございます、という前に、両手で包むようにそれを受けとる。なんだろう、と思って思わず目を落とす。

2015-05-31 18:22:11
@aima0022

@c_yu_n  少年の手に落とした袋の中身は丸い飴玉だった。透明な袋の中で透けて見える。日差しに当たり黄色く輝く、太陽の色。

2015-05-31 18:23:23
@aima0022

皿にのる飴玉を見たときに、(…そういえば、)と目の前にいる少年の大事な相手を思い出した。そのもう一人の少年の髪色が、そういえばこんな色だったなと思ってそれを選んだのだ。

2015-05-31 18:30:53
狭間 駿 @c_yu_n

@aima0022 狭間】「…、」両手のひらの上にころんと、セロファン越しの飴の影が、琥珀色に落ちている。目を瞬いてそれを見てから、「…ありがとございます、」相手の顔を見上げて、へへ、と笑う。目の色を見て、目元を弧に描く。左手にその飴を移して、指をゆっくり畳んで握りしめる。

2015-05-31 18:29:51
@aima0022

@c_yu_n 飴玉が手の中に納まったのを見たことに満足し、「どういたしまして」と言ってからそのまま元いた席へと踵を返す。レジ前まで来て振り返り、今日ここに入ってきたときと同じように入口に佇む少年を見る。「……じゃ、またおいで。」

2015-05-31 18:35:45
狭間 駿 @c_yu_n

@aima0022 狭間】「 、」左手に蜂蜜の色の飴を握りしめて、一瞬口を閉じる。そそぎ込む日射しに照らされて、すこし暗い店の奥を背後に、相手の姿は輪郭が浮き上がるようにくっきりと見えた。「…はい。お邪魔しました、」握った手を胸の前にちょっと置いてから、笑って踵を返す。

2015-05-31 18:41:48
@aima0022

背中を向けて、カランとベルを鳴らしながら扉の先へと歩いて行った少年を見送った。一人になった店内で水の落ちる音を聞きながら、

2015-05-31 18:48:52
@aima0022

読みかけの図鑑に指を滑らせ、ページをめくった。

2015-05-31 18:52:28
狭間 駿 @c_yu_n

狭間】店の敷居を跨いでしまえば、もう外だった。静かな演奏の音も、ポンプのモーター音も、巡る水の音も、すぐにもう聴こえない。あっというまに昼だった。飴玉を左手に握ったまま、通りを歩きだす。

2015-05-31 18:44:46
狭間 駿 @c_yu_n

狭間】ああやっぱり、名前を聞けたらよかったなあ…、と、意味もないのにぼんやり、考えた。

2015-05-31 18:49:11
@aima0022

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2015-05-31 18:53:26
狭間 駿 @c_yu_n

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2015-05-31 18:56:48
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