- kikkasatsuki
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新入りの案内をはいつも秘書艦の叢雲だった。秋津洲は叢雲の後ろをついていって、無駄なく進む案内を聞いている。叢雲は、サイズもさることながら否応にも目を引く造形の二式大艇に目を落とす。顔に見られているようで、何度か目をやると、あげないよ? と言われる。要らないわよ、と前を向いた。
2015-06-14 22:15:13曙は曳的艦をすると、まれに指示に対して不規則に動くことがある。実戦に即した訓練に近くあるべきだという独断で、訓練相手はそれにしばしば振り回されていた。臨時で訓練隊長を務めていた五十鈴は曙の意図を汲んだ上で、自分が当てて見せたら以後やめるようにもちかけた。
2015-06-25 16:51:27二つ返事で決まった演習で、曙はまさに変幻自在の軌道で当てさせる隙を作らない。しかし、五十鈴は見事に当ててみせた。曳航している的は曙ほど上手く動いてはくれないのをよく狙った結果だった。本人に当てろっていうなら大変だったと思うわ、と五十鈴は最大級の賛辞を送って手を差し出した。
2015-06-25 16:51:34五十鈴は名取を訓練や出撃に連れ出す。改装して体格が良くなってからは首根っこを掴んで引っ張っていくことも増えた。そのままでは危ないと心配されつつ厳しい訓練になんとかいつも付いて行っていた。習慣になると、少しつついただけで、名取はごめんなさい!気合入れます!と言うようになっていた。
2015-06-25 16:51:43那珂と五十鈴は対潜が得意な者同士、コンビを組まされることも少なくない。五十鈴は度々、真剣にしているようには見えない那珂に辟易することもある。それでも怪我をすると人一倍心配してくれるのも那珂だった。バカね、すぐ治るわよ、と病室から追い出しながら、見舞に来てくれるのは嫌ではなかった。
2015-06-25 20:26:09ちっくしょー!と涼風の悔しがる声があがる。向かい側では谷風が、手にしていた花札を畳に置いて、これで谷風さんの勝ち越しだね、と鼻を鳴らす。もう一回!とくってかかられると、よしきた!と谷風は半袖を捲る。賑やかさに酒の入った軽空母も寄ってきて、どちらが勝つかの賭けになっていった。
2015-07-03 08:05:06功労艦に認定されても顔色ひとつ変えず、喜びもしない磯風の頭を谷風はぐしゃぐしゃと撫でる。よくやったな!と今度は頭を軽く叩く。どういうつもりだ、電探がずれてしまう、と磯風は不満しきりだが、谷風は気がすむまで撫で続けて、次とるのは谷風さんだよ!と握り飯を頬張った。
2015-07-03 08:09:28