角の街

無為 @shinogoze_Nai

閉ざされた街である以上血が濃くなっていくのは避けられず、花喰いは少しずつではあるが年々増えている。花を食わないままに病が進むと角が鉱石類に似た質感になり、変化が頭部に至ると死の危険性がある。罹患者は常に生花を纏うか、花蜜の飴を持っていなければならない。（風土病歴史と対策）#角の街

無為 @shinogoze_Nai

街の中心に聳え立つ「寝台」には見張りが置かれている。噂ではその寝台守は寝台が出来た当初からずっと務めている上に角が生え換わらないらしいが、その真相に辿り着く前に角もろとも疑問は抜け落ち、今日も街の平和は保たれている。砂糖漬けの桜桃の夢の限りは、という注釈の上で。 #角の街

無為 @shinogoze_Nai

この街の人々は自分たちが住む街を名付けない。なぜならば彼らが街と呼ぶのは此処だけであり、例えば壁の向こうを描いた書物があったとしても、それはそういう体で街の作家が書いた空想でしかない。有角人は囲いの中でしか存在出来ない、壁の外に一歩出れば角は抜け落ち、人間が産まれる。 #角の街

無為 @shinogoze_Nai

「寝台」ネタはスピリットサークル4巻へのオマージュ。 #角の街

無為 @shinogoze_Nai

今回の（自覚した限りの）元ネタ。断片集的な全体構成はFFTのブレイブストーリー。誰かの見る夢はゼルダの夢を見る島。街の壁は世界の終わりとハードボイルドワンダーランド。糸で作る花はトルコあたりの伝統工芸オヤ。 #角の街

無為 @shinogoze_Nai

自前の角は山羊なので生え換わらないのは俺。メタ。気が済んだので岩塩と檸檬を探しに、ゆめのなかへ。

無為 @shinogoze_Nai

花を食べるのはあまり好きではない。たとえ病の進行を抑えるためであっても、気の進まないことをやる気はしなかった。角の半分ほどが珊瑚に変わっているのを見ても、陸より海の方が好いくらいにしか思わなかった。星誕祭で売る蜂蜜酒の出来と、どれくらい味見が許されるかの方が重要なのだ。 #角の街

無為 @shinogoze_Nai

街の人々には須く角が生えているが、極稀に、長年生きた猫にも角が生えることがある。小ぶりな頭には些か大き過ぎる角が生えても当人（？）は涼しい顔で彼方此方を歩き回る。ジャッカロープ属とは友情とも獲物とも言えぬ関係らしいが、麦酒を貰えばどうでもいいとばかりに喉を鳴らしている。 #角の街

無為 @shinogoze_Nai

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