小説【絶対妄想アカウント】
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023/187 #絶妄垢 「え…」 今…凄いナチュラルに核心突きました? 「ん…と、さっき目合っちゃったし、 バレてます、よね//」 彼が、私の手首に付いた、 緑色の10th魂のラバーバンドに触れる。 ってか、今ちょっと、 腕に、指、当たった…。 だめだ、心臓止まる。
2015-06-07 16:05:19024/187 #絶妄垢 「寝ちゃったお詫びに。 女の子が喜ぶようなもん、他に持ってねーし…。」 「そ、そんな…。」 「っ、でも…こんなくしゃくしゃのヤツ、 いらない…っすよね…。」 気まずそうにシゲは、 そのキャンディーをギュッと握り直した。
2015-06-07 16:05:26025/187 #絶妄垢 いらない訳ない! いらない理由がこの世にあるなら、 私にも理解できるように、 説明しろ、このやろっ!ばかばかっ!! 「く、くださいっっ!!」 思ったより大きな声が出る。 ダメだ、全然自分を制御出来ない、今// ふっ、と、シゲが赤い頬で笑う。
2015-06-07 16:05:33026/187 #絶妄垢 「じゃあ…はい、どうぞ//」 どうにか広げた掌の上、 ぽとん、と置かれたくしゃくしゃのキャンディーは、 何か、シゲの温度で温かい。 「この飴はお詫びで…」 そう言いながらシゲが、キャンディを指差す。 …あわわ、また指が…マトモに手に触った…。
2015-06-07 16:05:39027/187 #絶妄垢 と、今度は、 自分の手首の細いミサンガを解き始める。 シゲの右手を外れたそれは、 しゅるっ、と私の左手に巻かれた。 「これは…っと…あの、口止めで。」 「…え?」 「電車で寝てたとか、飴くれたとか… ネットに拡散したり、しない、とは…思うけどっ」
2015-06-07 18:17:23028/187 #絶妄垢 「2人の内緒で…おねがいします//」 な、ないしょ…ふた、りの…ないしょ…// 「あとそれ、切れそうだし。」 またシゲが、私の腕のラバーバンドをつつく。 毎日ほぼ24時間着けてるせいで、 白い文字は汚れて消えて、 頼りなく光沢を失っている。
2015-06-07 18:18:39029/187 #絶妄垢 「切れる前に、後の3本と一緒に保管してやって下さい。 …で、これ、その代わりで…あ、緑じゃねーけど//」 《間もなく~…》 車内アナウンスの声。 「俺次なんで…」 すっと立ち上がる。 座ってる時には意識しなかった、 しゅっとしたスタイル。
2015-06-07 18:19:58030/187 #絶妄垢 「じゃ…また//」 「は、はい、また…」 また…? また、会えるんですか?! ホームに出て、もう一度こちらを振り向くシゲ。 私と目が合うと、一瞬小さく俯いて、 照れ隠しの様に、鼻を触る。 思わず手を振ると、 少し赤い顔で、振り返してくれた―。
2015-06-07 18:20:45031/187 #絶妄垢 普段と何も変わらない車内。 うそ…。 うそ…でしょ? まだエラー状態の頭の中で、 『2人の内緒で…』 柔らかい声が再生される。 最寄駅なんて、とっくの昔に過ぎてたけど、 そんなことお構いなしで、 私は暫く、ミサンガとキャンディーを見つめていた。
2015-06-07 18:21:39032/187 #絶妄垢 「りある、もーそー…」 シャワーの後、濡れた髪のまま、 携帯の画面を眺めている。 絶対妄想アカウント…。 何が“絶対”なんだろう…。 【こちら、カタチになるまで、 3日程お時間くださいm(_ _)m】 カタチになる…って、 実現する、ってこと…?
2015-06-07 19:58:30033/187 #絶妄垢 「いやいやいやぁ! 有り得ん有り得んっ! ねぇシゲっ!!」 思わず頭上のポスターに同意を求める。 ふんわり微笑むシゲの顔に、 至近距離で見た、赤い横顔が重なる。 『確認してみれば?』 「えっ?」 シゲの幻想が、手首のミサンガを摘んで言った。
2015-06-07 19:58:39034/187 #絶妄垢 [みーはー(∵)しげパーナ]@miharun711 @real_moso1107 りあるさん! (って呼んでいいですか?) 先日は素敵妄想ありがとうございました☆ ぜひ次は、 シゲ×疲れてる夜に添い寝してくれる同棲中の彼氏 でお願いします!
2015-06-07 19:58:47035/187 #絶妄垢 どうだ! “同棲中の彼氏”なんて設定、 そんな簡単に実現なんてできないだろっ!! …いや、待てよ?せっかくなら、 実現しやすい妄想の方がよかったのか…? 「んあぁぁぁー…」 失敗したかな、失敗したのかな私。 と、通知音が鳴る。
2015-06-07 19:58:55036/187 #絶妄垢 [絶対妄想アカウント]@real_moso1107 @miharun711 みはるさん、こんにちは。 好きに呼んで構いませんよ。 【加藤シゲアキ×同棲・添い寝】 承りました。 こちら、カタチになるまで、 2週間程お時間くださいm(_ _)m
2015-06-07 19:59:05037/187 #絶妄垢 [絶対妄想アカウント]@real_moso1107 #NEWSで妄想 ○1 疲れて深夜に帰宅 『おかえり』 「ただいま…ごめん、疲れてるからすぐ寝るね」 そのまま寝室へ パジャマに着替えてバタンと横になる と、不意に暖かくなる背中
2015-06-07 22:25:56038/187 #絶妄垢 [絶対妄想アカウント]@real_moso1107 #NEWSで妄想 ○2 「え?!」 『大丈夫、何もしねーよ//』 「…シゲ?」 『そろそろ信用しろよ、俺のこと。 お前の為だけに存在してるの、俺は… 明日の朝まで、充電しといてやっから//』
2015-06-07 22:26:18039/187 #絶妄垢 「いや、うちワンルーム。」 ベッドはあるけど、 ちゃんとした“寝室”なんてない。 「やっぱり、天文学的な奇跡だったんだ。」 そうだよ。 だって、妄想にはミサンガのことなんて、 全然出てこなかった訳だし。 今はその奇跡の喜びだけ、 噛みしめてよう―。
2015-06-07 22:26:36040/187 #絶妄垢 昨晩はあんな事があって、 疲れなんて吹っ飛んでしまってたけど、 何だかんだ、今日で9連勤…。 明日は、ようやく休みーっ☆ 久々の休日、ヲタク友達呼び出して、 この奇跡の話をしようかとも思ったけど、 『2人の内緒で…』 あの言葉が嬉しくて、やめた。
2015-06-07 23:15:36041/187 #絶妄垢 よし、今日は間に合うから、 久々にイッテQ見よう♪ ドアを開ける瞬間、 ふわっと、いつもの妄想が過る。 このドアを開けたら、 「あ、おかえりみはる。」 そんな風に微笑んでくれて、 「今日早ぇじゃん。 晩飯、魚焼いてっから、ちょっと待ってろ。」
2015-06-07 23:15:45042/187 #絶妄垢 「…え」 「…ん?」 「えっ、と…」 「何だよ?…早く入って着替えれば?」 「あ、の…」 「…えっ、ごめん、魚って気分じゃない?」 「いや、そうじゃ…」 「…んだよ、何か不満?」 「…」 「…みはる?」 「…」 遂にこの世の終わりでも来ますか神様…
2015-06-07 23:15:58043/187 #絶妄垢 「あぁっ!」 「?!」 「お前んち、ビールねぇんだ!」 「あ、え」 「やっべ…ちょっと買って来る。 待ってな、お前も飲むっしょ?」 「…」 「…ったく、どんだけ疲れてんだよ。」 彼は笑いながら私の頭をくしゃくしゃ撫でて、 そのまま階段を下りて行った。
2015-06-07 23:16:06044/187 #絶妄垢 「そっか!私部屋間違えたんだ☆」 お隣さんが、なんとNEWSの加藤シゲアキと付き合ってて、 私と同じ顔の、これまた同じ“みはる”って名前で、 シゲも見た瞬間、間違っちゃったんだね☆ …な訳あるかいな。 「…イッテQ見よ。」 よし、一旦落ち着こう。
2015-06-08 08:19:07045/187 #絶妄垢 数分後、チャイムが鳴る。 ドアの覗き穴を覗く―。 「みーはるー…ばか、何で鍵閉めてんだよ…」 「…」 「開けろって。」 「…」 「…ごめん、疲れてる…よな…。」 違います…最早自分が疲れてるのか、 生きてるのか死んでるのかも分からない状況です…
2015-06-08 08:19:20046/187 #絶妄垢 「…分かった、今日は帰るわ…中にある荷物、 次来る時まで預かってな、悪ぃ。」 「ちちち違いますっ!!」 慌てて鍵を開ける。 ドアノブに手を掛けた瞬間、 一番最初に正気を取り戻したのは― 今までいたことにすら気付かなかった、 小さな悪魔だった。
2015-06-08 08:19:27047/187 #絶妄垢 「?!」 ドアを開けてそのまま、 顔も見ずに彼に抱きつく。 「み、はる?」 「ごめん、ちょっと意地悪したくなった…」 こんなこと、現実で起こる筈なんてない。 これはあくまで、ただの妄想…でしょ? それなら―楽しまない手は無いじゃないか、みはる。
2015-06-08 11:04:50