小説【HARD MIRACLE ~私が彼の3日間~】

増田貴久メイン。 三文小説みたいな、あり得ない奇跡が運んだもの―それは…?! 2015.6.29~2015.7.4 続きを読む
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はんな□♡▽○妄想投下気味 @hanna_secret

【HARD MIRACLE ~私が彼の3日間~】 大切な試験の朝、私に降って来たのは、 ベタ過ぎるけど、在り得ない奇跡?! これは、私と彼のハード過ぎる3日間と、 ―そして、未来の物語。 まっすーメイン、全162話です。 #HM3D #にゅーすで妄想 #NEWSで妄想

2015-06-29 07:25:32
はんな□♡▽○妄想投下気味 @hanna_secret

#HM3D 001/162 履歴書、エントリー受付票、筆記用具、学生証…。 …昨夜から、何度目の確認だろ。 朝食にパンを齧りながら、再確認。 やっぱり本命企業は気合が入る、当然。 小さい頃から、ずっと夢を売る仕事が大好きで。 私が志望したのは、小さな映像制作会社。

2015-06-29 07:25:43
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#HM3D 002/162 中学生の頃にネットで見たショートフィルムが、 衝撃的で忘れられなかった。 声で歌う和服の少女と、踊るピエロ。 極色彩なのに、妙な恐怖も感じる。 脳みその奥にずしんと沈む感じ―。 いつか私も、こんな映像を作りたい。 その想いを、ぶつける時が来た。

2015-06-29 07:25:49
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#HM3D 003/162 ふと、真っ白なシゲのポスターと目が合う。 「…行ってきます。」 自分に気合を入れる意味も込めて、小さく呟いた。 アパートの下の駐輪場、 お気に入りのグリーンの自転車。 ふわり跨り、軽やかに最初のペダルを踏み込む。 初夏の風が、束ねた髪を揺らす。

2015-06-29 07:25:56
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#HM3D 004/162 最初のカーブを曲がると、目の前に大きなビルが現れる。 大手テレビ局も利用するらしい撮影スタジオ。 …いつか私も、あんなビルで仕事、したいなぁ。 どうぞよろしくお願いします! 気持ちだけ、一礼する。 あぁ、あの窓のどっかにシゲがいたら…おっと邪念!

2015-06-29 07:26:03
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#HM3D 005/162 次のカーブ、左。 風を切りながら体重を移動する。 と。 ふわっと目の前に現れた人影。 白銀の髪、スカルプリントのTシャツ、揺れるピアス―。 ―へ?! ランニング中の彼の姿に、動揺してハンドルを切り損ねた。 気付いて、びくっと立ち止まる彼。

2015-06-29 07:26:08
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#HM3D 006/162 ガッシャーン!!! 凄まじい音と衝撃、ひっくり返る世界。 どうしよ…私今、手越くんと衝突…した?! はっと我に返って身体を起こす。 幸い、どこも痛まない。 「大丈夫ですか?!」 振れる喉に、違和感。 そして、目の前の光景に、更に違和感―。

2015-06-29 09:54:15
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#HM3D 007/162 自転車のタイヤが、僅か歪んでカラカラ廻っている。 その向こうに倒れてるのは、白銀の髪 ―ではなく、地味に束ねた黒髪の、スーツ姿の女性。 「っ痛ぇ…」 彼女が身体を起こす。 ストッキングが派手に破れて、膝から血が垂れている。 「あの…」

2015-06-29 09:54:26
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#HM3D 008/162 「大丈夫ですか?」 振れる喉に、更に違和感。 喉の深いところから、胸の方に響く、低音。 「大丈夫っす…ごめんなさ」 彼女が私の顔を見て、一時停止。 「「えっ」」 目の前でぽかんとこちらを見上げるのは、 先程鏡の前でメイクしていた…自分の顔。

2015-06-29 09:54:36
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#HM3D 009/162 …そうか、この喉の違和感は… 「えっ、と…」 鼓膜に届くのは、少し籠っているけれど、 いつも聴いてる―手越くんの声だ。 「俺…?」 そして多分、目の前に倒れてる“私”は…。 「手越くん…ですよね?」 「…だ、と…思うんすけど…?!」

2015-06-29 11:18:05
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#HM3D 010/162 自転車を道の端に寄せる。 朝早いせいか、辺りの会社や店は静まり返っている。 「膝、大丈夫?」 目の前の“私”が言う。 「や…痛いのは手越さんだと…」 「痛、い。」 謎の会話と、謎の空気。 「あぁっ!」 と、突然“私”が声を上げる。

2015-06-29 11:18:11
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#HM3D 011/162 「俺っ!今から撮影で、30分で戻るって約束して…」 「撮影?」 「NEWSで歌番組の収録…あそこで。」 …そか、本当にシゲいたんだ、あのビルに。 「急いで戻って貰えます?」 「はぁ…え、ええっ?!私が?!」 「だって、今はお姉さんが俺な訳だし…」

2015-06-29 11:18:17
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#HM3D 012/162 「や、そんな冷静に…」 「俺、仕事に穴開けたくないし。」 「そ、そりゃそうですけど…」 「お姉さん、携帯貸してっ。」 言われる侭に携帯を差し出す。 …あぁっ!! 「えっ」 待ち受け…フェルメールのシゲ…! 「…なーんだ、話早いじゃん♡」

2015-06-29 11:18:24
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#HM3D 013/162 「もしもしシゲ?今すぐ来て欲しいんだけど…  えっ?や、俺!あ、俺の携帯そこに置いて来たから…  はぁ?俺だって!手越じゃんっ!いやいや!」 そりゃそうだ…私の声だもんね。 一度深呼吸して、携帯電話を奪い取る。 「もしも、し?」 『…え?』

2015-06-29 14:43:22
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#HM3D 014/162 『んだよ、手越…今の誰?』 「あの…さっきのが手越くんで…」 『は?何言ってんのお前…』 「私は入社試験に向かってたただの女子大生で…」 「えっ、入社試験?大変じゃん!!」 手越くんが驚く。 『わっかんないっ!何のゲームだよ、もー朝からっ!』

2015-06-29 14:43:29
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#HM3D 015/162 手越くんが携帯を奪う。 「とにかくっ!すぐ来い!…だから俺が手越!!  信じられないなら言おうか?!  シゲん家の本棚の奥に隠してあるDVDのタイトル…  分かればよろしい。いい?すぐ来てよっ!!」 …ん、DVDが気になる程度に冷静になってきた。

2015-06-29 14:43:35
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#HM3D 016/162 数分後、一台の車が目の前で停まる。 「…ったく何だよ、リハ始まっぞ。」 運転席の男性が、サングラスをずらしてこちらを見る。 わ…本物だ… 「…手越?」 「…♡」 「て、ごし…?」 「はいはい手越はこちらですよ。」 手越さんが私と車の間に入り込む。

2015-06-29 16:10:26
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#HM3D 017/162 「え、だ、から…へ?」 「だからっ!この子が自転車でがーっと来て、  俺がえっ?て立ち止まったらそのままずどーん!と…」 「わっかんないんすけど…!」 「だから!この女の子がこっちで、俺はこの子の中でっ!」 「…“転校生”みたいな事言いたい訳?」

2015-06-29 16:10:34
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#HM3D 018/162 「ちげーよ!何で学校の話になんだよっ!あーもう!!」 「や、違くて!映画の話だよ!」 「映画じゃない!シゲ、これ現実!」 「分かってるわそんな事!」 「だからっ!言う?!DVDの…」 「ったぁぁぁぁっ!!//…分かったよっ!」 何だこの会話…。

2015-06-29 16:10:40
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#HM3D 019/162 「俺手越以外に、こんな面倒臭ぇやつ知らないからっ!」 車は、スタジオに向かう。 いつも見上げてたビルがぐんぐん近付いて、 やがてその裏口で停車する。 「入れるかな…」 シゲが呟く。 「ですよね、降りますっ!」 「や!お姉さん降りちゃダメっ!」

2015-06-29 16:10:46
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#HM3D 020/162 「でも部外者は…」 「今あなた、思い切り部“内”者ですから!」 そうか、私が手越祐也…なのか。 「俺降りるよ。」 「でもっ…」 「大丈夫…シゲ、この子のことフォローしてくれる?」 「ん。」 「慶ちゃんもまっすーも、絶対味方になってくれるから。」

2015-06-29 16:10:52
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#HM3D 021/162 「それに、お姉さん…入社試験なんだよね?」 そうだ、忘れてた…。 「俺、代わりに行って来るから。」 「ええっ?!」 「ダメモトにはなっちゃうかもしれないけど…」 「でもっ」 「ダメ、1回挑むって決めたことから逃げちゃ。  …俺が代わりに行く。」

2015-06-29 18:22:43
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#HM3D 022/162 私の姿の手越さんは、私の鞄をガサガサ漁ると、 エントリー受付票を取り出した。 「OK、場所と時間、これね。」 「やっぱり…」 「任せて!…その代わり、」 手越さんがぴょんと車を降りる。 「俺の代役、ちゃんとお願いします、“村瀬七菜”さん。」

2015-06-29 18:22:49
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#HM3D 023/162 履歴書の名前を見ながら、手越さんが悪戯に笑う。 不思議だ…私、こんな可愛い顔で笑えるんだ…。 「さ、行きますか…七菜ちゃん。」 「え…は、はい…。」 手を振る手越さんを置いて発車する。 そのまま車は、憧れてた建物の地下駐車場に滑り込んだ。

2015-06-29 18:22:54
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#HM3D 024/162 「手越っ!」 控室に入ると、ドスっ!と後ろから肩を抱かれた。 「お前何勝手に走りに行って、勝手にシゲ呼んでんだよ!」 「あ、あのっ…」 私は慌てて振り返る。 そこに立ってたのは、小山さん。 …て…タオル1枚…は、だか… この前ドームで見たやつだ…

2015-06-29 19:56:46
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