小説【HARD MIRACLE ～私が彼の３日間～】

はんな□♡▽○妄想投下気味 @hanna_secret

#HM3D　150/162 あれから２週間。 私は日常に戻って、 NEWSは相変わらずアイドルで。 手越さんのハリウッドデビューは、 今朝、発表されて。 「どっちも一緒じゃん！」 「一緒じゃない！」 「もー…間取って、まっすー買いなよ☆」 ズキン、と深いとこが抉れる。

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#HM3D　151/162 「ほら、このまっすー可愛いよー？」 「…買わない。」 「これは？ちょっと黒増じゃない？」 「買わない！」 「あ！このテゴマスいいじゃん！ 　ちょっと手越はにかんでて♡」 「買わ…え？」 それは、歌番組のオフショット。 「これ手越さんじゃない…」

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#HM3D　152/162 「はぁ？どー見ても手越じゃん。」 それは、手越さんの姿をした私とまっすーの、 最初の日に撮られた、ツーショット。 「七菜これ買いなよ☆」 「買わない、っ。」 「買いなよぉ。」 「絶対買わないっ！」 「もー、早く決め…」 「買えよ。」

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#HM3D　153/162 女性だらけの店内に似合わない低音ボイスで、 私の真後ろ、至近距離から囁かれる。 「はぁ？っていうか誰で」 友達がフリーズする。 「買えよそれ。」 「…買わない。」 顔も見ないで答える私。 「素直じゃないの可愛くない。」 「あーそーですか。」

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#HM3D　154/162 「こっち向けって！」 「嫌です。」 「何でそう素直じゃない訳？！」 「素直素直って、増田さんに言われたくな」 「じゃあ素直に言うよっ！ 　手越云々関係無い！俺は七菜のことっ… 　す、好きになった、っ！！///」 嘘だよ…奇跡は終わった筈でしょ？

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#HM3D　155/162 『ね…あれまっすーじゃない？』 『違うよ、いる訳ないじゃん。』 『でも今、手越って言ったよ？！』 周囲がざわめく。 「…七菜、借りますね？」 フリーズしっ放しの友達は、 口を開けた侭、こくっと頷く。 「ちょっ」 「いいから、ほらっ！」

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#HM3D　156/162 まっすーの大きな手が、私の手を包む。 「離してよっ」 「離さない。」 冷たい視線で私を見下ろす。 「…身体が戻ってもちゃんと動き方覚えてるか、 　テストしてあげる。」 ニヤッと悪戯に微笑むと、 まっすーは、ぎゅっと私の手を強く握った。

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#HM3D　157/162 『まっすー！！！』 誰かの声を合図に、 まっすーは私の手を握った侭駆け出す。 「離してよっ！」 「だからやだってば！ 　口動かさずに足動かせ、ばかっ！！」 棚の間を抜け、階段を駆け登る。 たくさんの視線を振り切って、 原宿の街を駆け抜ける―。

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#HM3D　158/162 「もう無理っ！！」 人気のない裏通りで、強引にまっすーの手を解いた。 「どこまで気分屋なんですか！ 　勝手に怒って、勝手に笑って… 　勝手に、こんなっ！」 「―王子様、シゲじゃないと不満？」 そんなの… 「王子様…俺じゃ、不満？」

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#HM3D　159/162 「俺素直に言ったんだから、七菜も言ってよ。」 肩で息をしながら、まっすーは、 じっと私の目を見詰めた。 “キツくなったら言えよ？” “七菜ちゃん笑って。” “名前、ちゃんと呼んで？” “よく頑張りました。” ３日間で、まっすーがくれたもの。

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#HM3D　160/162 冷たい視線と、厳しい対応。 ―そして、たくさんの柔らかな笑顔。 「…七菜っ！」 「うるっさいなぁ。」 「…は？！」 「好きですよっ！私も増田さんが… 　まっすーが好き！これでいい？！」 「…ったくもう、しょーがねーな本当。」

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#HM3D　161/162 三文小説みたいな在り得ない奇跡は―、 「ほら、こっち来て？」 「な、何でっ」 「いーから。」 何にも代えられない、素敵な現実を連れて来た。 「目瞑って？」 「え…//」 「…ふふっ、期待した？」 「え…ちょっと！」

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#HM3D　162/162 「俺の唇、そんな安くねーし。」 少し俯いてまっすーが笑う。 「別にそんなの期待してな」 「でも七菜になら、あげる。」 ふわり、視界が暗くなって―。 初めて触れた唇は、柔らかくて温かい― 奇跡的に、優しくて悪戯な味がした。 -Fin-