大鯨とわたし・プロローグ(筆者:るー 纏め:ハンク)

大鯨と「不思議なモノ」が見える提督のお話
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るー @kurohebi800

「なんというか、時代は変わるんだね。今は神社よりも海軍の基地が大切なんて」 重機取り壊された神社の神主が、私にそう言った。 巫女であった私であるけど、神主とは違って、あまり感慨深いとかそういうのがない。 「さて、これからどうするか……」 「あの、神主様」 「?」 #大鯨とわたし

2015-06-11 20:58:16
るー @kurohebi800

「私、実は海軍にこんなものを」 「なんだそれは……赤紙?」 「……よく、わからないんですけど。なんでも、私の力が必要とかで、海軍に来てほしいとか」 「何だと……? ……何が狙いだ? まぁいい、私はこのあと引っ越しの手続きがあるから、とりあえず自分のものを纏めて」 #大鯨とわたし

2015-06-11 21:03:56
るー @kurohebi800

「はい」 返事をすると神主は頭を掻きながら、己の車へと乗って、エンジンをかける。 私はその赤紙を見て、改めて思う。 ――なぜ、私なんかが海軍に? よくわからないのはきっと神主もだろう、だけど私はもっとわからない。 #大鯨とわたし

2015-06-11 21:08:15
るー @kurohebi800

「……」 ふと、寒気がした。 よく見えない右目の景色が陽炎のようにぼやけていたのに、何故か今はハッキリと見える。 何かの気配はしたけれど、無視して私は鞄を二つ持って神主の車へと乗る。 「『アレ』はまだいたのか。未練がましい、深海棲艦より怖いものだな、本当」 #大鯨とわたし

2015-06-11 21:12:19
るー @kurohebi800

「です、ね」 遠くのモノより近くのモノ、何モノかもわからないソレの方が私は、深海棲艦等よりも遥かに怖い。 「しかし大丈夫か?」 「はい?」 「その赤紙に書かれた住所だがな」 神主はしばらく躊躇ってからだが、言った。 「そこ、自殺の名所に建てられてるぞ」 「え」 #大鯨とわたし

2015-06-11 21:19:08