gotshuさんによるフランス語情報構造論 #gengo

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(。ぅ_-̀。) @gotshu

Larousse の言語学事典に C’est Pierre que j’ai vu hier. の Pierre が thème だってあるのだけど、そんな馬鹿な。

2010-12-27 13:52:45
(。ぅ_-̀。) @gotshu

thème/rhème, thème/propos, thème/commentaire, topique/commentaire, donné/nouveau, etc. この辺の使い分けは、だいたい共通しているけれど、細かいところで違うので困る。

2010-12-27 14:05:35
(。ぅ_-̀。) @gotshu

とりあえずそこの定義ではまりたくないので、 thème : ce dont on parle, rhème : ce qu’on parle くらいのゆるい枠でとらえておきたい。

2010-12-27 14:07:25
(。ぅ_-̀。) @gotshu

で、thème というのは文脈に現れているもの、質問文に既に含まれているもの、rhème は thème についての新情報、質問で訊かれてる部分、と大体説明できる。

2010-12-27 14:09:33
(。ぅ_-̀。) @gotshu

Est-ce que tu as vu Pierre ? — Pierre, je l’ai vu hier. であれば、答える側の Pierre, は thème と言える。

2010-12-27 14:12:18
(。ぅ_-̀。) @gotshu

しかし、C’est Pierre que j’ai vu hier. が答えになると想定される質問文は Qui as-tu vu hier ? であって、avoir vu hier が donné すなわち thème で、Pierre は rhème になるはず。

2010-12-27 14:14:51
(。ぅ_-̀。) @gotshu

Tu as vu Pierre ? に C’est Pierre que j’ai vu hier. と答えることはできるけど、その場合も、相手が J’ai vu hier quelqu’un ということは知ってないと言えない。その Quelqu’un = Pierre が新情報

2010-12-27 14:17:23
(。ぅ_-̀。) @gotshu

という解釈なのだけど、例えば英語で It’s Peter that I met yesterday. という文の topic は Peter です、というのは受け入れられるのだろうか。

2010-12-27 14:19:01
(。ぅ_-̀。) @gotshu

普通は thème → rhème の語順が一般的とされるけれど、いわゆる強調構文だと C’est Rhème que Thème ということになる。しかし、仏語においては V の前が thème、 V の後ろが rhème ととらえればすっきりする。

2010-12-27 14:27:37
(。ぅ_-̀。) @gotshu

C’est… que においては Ce が統辞的に thème の位置にたち que 以下を先取りしている。est の後が rhème の領域であり、que がその領域の限界を示している。

2010-12-27 14:29:34
(。ぅ_-̀。) @gotshu

Il n’y a que toi qui puisse le faire. の qui も似たような役割を持っていて、日本語訳「それができるのは、君しかいない」が示すように、この文では qui 以下が thème になっている。統辞的な切れ目と、意味的な切れ目はずれることがある。

2010-12-27 14:31:34
(。ぅ_-̀。) @gotshu

Il n’y a que toi qui puisse le faire. を「それができる君しかいない」と訳すとおかしいのは、日本語話者なら直観的にわかるけれど、仏語話者にとって qui 以下が thème で、そこに意味の切れ目があるという直観はなかなか難しいらしい。

2010-12-27 15:43:32
(。ぅ_-̀。) @gotshu

「日本語ではこうだから」というのは説明にならないけれど、メタ言語としての日本語を持っている利点を利用した、外国語研究の糸口はあるはずで、それが非ネイティブ研究者としての役割というか、強みというか。

2010-12-27 15:46:27