ニンジャスレイヤー二次創作【クイーンビー・ダイビング・トゥ・ペイルファイア】後編 （原文のみ）

鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「アバッ」フェネクスが血を吐く。ガラハッドが嘲笑を浮かべる。キサキは叫ぼうとした。しかし！「ア……イ、」「何？」ガラハッドが訝しむ。今のは致命傷だ。なぜこの爆発四散せぬ？朦朧としたフェネクスの瞳が輝く！「イヤーッ！」カラテ・シャウト！その体が燃え上がる！65 #4215tk

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「グワーッ！？」カトンに包まれたガラハッドが悲鳴を上げ、墜落。メドゥーサを引きずり、クイーンビーは慌てて退避。フェネクスのカトンは使い手の全身を包み、やがて灰へと変えた。灰は風もないのに舞い上がり、カラテでマッドハニーを追い詰めるサイレンの頭上へ。66 #4215tk

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サイレンが異常に気づき、『それ』を見上げる。その視線の先で灰は結集し、人型となり……無傷のフェネクスへとなる！「なんだと！？」「イヤーッ！」「グワーッ！？」動揺するサイレンをフェネクスが蹴り飛ばす！その間にマッドハニーはクイーンビーの元へ！67 #4215tk

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ケリの反動でフェネクスは宙を舞い、クイーンビーの前へ着地。「オハヨ、キサキ＝サン」目を丸くするキサキの前で、フェネクスは微笑む。「……オハヨ、アカネ＝サン」唖然としていたクイーンビーがぼんやりと返す。すぐに彼女は正気に返った。「だ、ダイジョブなの！？」68 #4215tk

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「平気。毒も焼けたみたいだ」自由になった脚をぶらぶらと振り、フェネクスが言う。その顔が申し訳なさそうに歪む。「けどゴメン。これ以上のイクサは無理。疲れるんだよ、これ」「ええい、奇妙なジツを……！」各所に焦げ跡を残したガラハッドが唸る。その横にサイレンが復帰。69 #4215tk

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「だが戦況は今だ我らが有利。そうだな、ガラハッド＝サン？」「無論よ！ザイバツマスターとその一歩手前のアデプトの力を甘く見るな、下郎ども！」「……いちいち一言多いやつだ」サイレンが苦笑し、再びカラテを構える。両陣営は睨み合う。そのとき両者の間に黒い粒が落ちた。70 #4215tk

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「なんだ？」ガラハッドが頭上を仰ぐ。彼は見た。豪雨めいて降り注ぐ『それ』を。クイーンビーは知っている。『それ』の正体を。アリの群れだ！「なんだとォーッ！？」異常を察知したガラハッドがバック転退避！サイレンもそれに続く！その間にもアリは大量に落ちてくる！71 #4215tk

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ガラハッドの視界から敵ニンジャたちが消えた。無数のアリに阻まれ、見えぬのだ。「ヌゥーッ！これはいったい！」「私のジツです」答えは頭上から返ってきた。振り仰いだ先、自分たちが突入した天井の穴から顔を覗かせる、黒い軽装鎧のニンジャ。「ドーモ、メジャーアントです」72 #4215tk

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「ドーモ、メジャーアント＝サン。ガラハッドです」「サイレンです。お前のことは知っている。ヨゴレニンジャ」サイレンが目を細める。「なんの真似だ」「援護です」メジャーアントが答える。「手こずっておられたようなので」「余計な真似を……！」ガラハッドが唸った。73 #4215tk

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彼らが話す間に、無数のアリの姿はどこかへと消えていく。フシギ！……その跡には人影一つない。「しかし私のアンブッシュ成功もお二方のカラテあってこそ。これは実際キンボシなのでは？」「たかが野良ニンジャの討伐がキンボシになるか！」ガラハッドは怒声を飛ばす。74 #4215tk

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「それよりも、貴様のジツ！本当に彼奴等を仕留めたのだろうな！？ エエッ！？」「無論です」メジャーアントがあっさりと答える。「私のアリどもは確実に獲物を喰らいます。爆発四散もさせないほどに」サイレンが猜疑の目を向ける。メジャーアントはそれを真っ向から受けた。75 #4215tk

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……根負けしたのはサイレンだ。「わかった。お前のワザマエはギルドでも評判だ。信じよう」「ありがたき幸せ」「後の処理はザイバツが引き受ける。それでよいな、ガラハッド＝サン？」「……フン」彼は面白くなさそうに鼻を鳴らす。メジャーアントはオジギし、姿を消した。76 #4215tk

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その夜。アンダーガイオン最上層の一角にて。78 #4215tk

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観光客で賑わう通りを、風めいて駆け抜ける影あり。メジャーアントだ。彼女は周囲を警戒しながらも、ある地点を目指して移動し続ける。……間も無く到達。打ち捨てられたバー。そこに滑り込んだメジャーアントは、周囲を見渡してから屈み込んだ。そして床板を剥がす。79 #4215tk

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「だから！キサキ＝サンから！離れろって！言ってるだろ！」剥がすと同時に下から響いた怒声に、メジャーアントは顔をしかめる。覗き込むと、そこにいたのはフェネクス。その対面にはキサキにまとわりついた二人の脱獄犯ニンジャたちの姿があった。「そんな怒らないでよぉ」80 #4215tk

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甘ったるい声でメドゥーサが言う。キサキの右腕に絡みつき、その頬を指で撫でながら。反対側にはマッドハニー。その泥めいたサイバネ腕に、キサキの左腕を埋め込んでしまっている。「そうそう。カワイイな顔が台無しだ」「ダマラッシェー！」フェネクスが顔を赤くして怒鳴る！81 #4215tk

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「ハーアア」溜息をつき、メジャーアントは回転ジャンプで両者の間に着地した。「ドーモ。無事私の隠れ家に辿り着けたようでなによりだ」「メジャーアント＝サン！」困りきっていたキサキが顔を輝かせる。「アリガト、おかげで助かったよ」「これくらいはお安い御用だ」82 #4215tk

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メジャーアントが胸を張る。が、彼女はすぐに呆れた眼差しを脱獄犯ニンジャたちに向けた。「しかし、私の状況判断が正しかったか心配になるな。見捨てておくべきだったか、そいつら」「そ、そんなことはない！」キサキが勢いよく首を横に振る！「実際助けてくれたし！」83 #4215tk

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「そりゃもう。クイーンビー＝サンのためだもの」マッドハニーが身を寄せた。ほぼ同時にメドゥーサも姉の真似をする。「これからの親交を深めるためにネンゴロしようって言ったら、フェネクス＝サンが邪魔するの。ひどいと思わない？」メジャーアントが肩を竦める。84 #4215tk

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「あんたもちょっとは止めろよ！」フェネクスが怒りの矛先をメジャーアントへと変えた。「キサキ＝サン嫌がってるだろ！」「嫌がっているのは事実だが」メジャーアントが困ったように返す。「あいつら、お前をからかっているだけだと思うぞ」「……エ？」85 #4215tk

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「少しは考えろ。こいつらのワザマエなら、その気になればキサキ＝サンをさらって逃げれば済む話だ」フェネクスはあんぐりと口を開け、キサキを捕らえた二人を見やる。彼女らはニヤニヤと笑っていた。「アーハーハー。怒らせると年相応だ」「でしょ？そういうとこがカワイイ」86 #4215tk

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「イ……」ふるふると震えたフェネクスが、カラテを構える！「イヤーッ！」「グワーッ！？」トビゲリ！マッドハニーが吹き飛ばされる！その手からキサキが解放された。「カラテ？なら混ぜてよ。イヤーッ！」メドゥーサもキサキから離れ、取っ組み合いを始めた二人の方へ！87 #4215tk

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「イヤーッ！」「イヤーッ！」「イヤーッ！」「……バカどもが」溜息をついたメジャーアントが、へたり込んだキサキに手を貸し立たせる。「大丈夫か、キサキ＝サン」「ああ、うん」「あのバカども、ここに隠しておくのも一苦労だぞ」「……うん」キサキがぼんやりと答えた。88 #4215tk

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「……本当に大丈夫か？」「うん……あのね、メジャーアント＝サン。私思ったんだけど」「ウン？」「キョートから夜逃げしようと思う」「……すまん。今なんと？」メジャーアントは己の耳を疑った。だがキサキの顔はいたって真剣である。「キョートはアブナイもの」89 #4215tk