誰もいない海岸で、まるで散歩のようにふらふらと他愛もない会話をしながら歩く。 ふとこれが最後の会話になるのかと考える。木兎さんはクルクルと表情を変えながら、楽しそうに笑いかけてくる。 「あ、ここ、眺めが綺麗ですね。」 「お~ほんとだ!キレ―!」
2015-07-04 23:12:13足を止めて、地平線を見つめる。どこまでも遠くて吸い込まれそうだ。世界はゆっくりと夜が近づいていて、空の紺色と海の深い青が地平線を滲ませて混ざり合っていく。空には一足先に金星が輝いている。それは、木兎さんの目と同じ色をしていた。
2015-07-04 23:18:39「…赤葦、いいか?」 まるで、いつもトスを呼ぶ時のような、まっすぐな瞳。 でも声は甘く、優しくて、心地よく鼓膜に染みこんでいく。 「…はい、いつでも。」 「あはは、こんな時、なんて声かけたらいいかわかんないな。」 「そうですね。」 「うんでも、まぁ、シンプルにひとつ。」
2015-07-04 23:30:37「赤葦、--------」 その言葉を聞き終えて、俺は噛みしめるようにゆっくりと目を閉じた。 胸の奥が熱い。溶けてしまいそうだ。 それから一歩、足を踏み出す。 ドボン。 頬を流れる涙と海の水が愛しく溶け合って海の底に消えていった。 「木兎さん、------」
2015-07-04 23:39:35声にできなかった言葉は泡となって二人を包んでいった。 ゴボゴボと流れる海の中、木兎さんは嬉しそうに手を握り返す。 俺は彼に優しく微笑んで、意識を手放した。 ---------------------------------------- 『うみにしずむぼくあか』 -終-
2015-07-04 23:46:22的な「うみにしずむぼくあか」を描いている~!!ボクアカシンジュウ…;///; 私の絵は何かしらの形で使ってもらえるそうなので、またおって紹介させてください^///^アンソロ並んで買いたいくらい私が楽しみじゃ…( ´ /// ` ) pic.twitter.com/FiRSPW6ksd
2015-07-05 00:07:20