もついろ2

いろいろかいたログ
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よくたべるこ・学ぱろ

もつはムキムキ @2883sg

@sousakuTL #学もつ 「しかしよく食べるな」友人の言葉に反論しようと顔を上げた蜜雨は、しかしそれを全面的に肯定するに留まった。『そりゃ、お前と比べれば誰だって大食いにもなるさ』パックジュース一つで昼飯を済ませてしまうカーネリオとはまた対極の存在。それがバランフォーレだ。

2015-07-08 18:11:23
もつはムキムキ @2883sg

@sousakuTL #学もつ 重箱を思わせるような弁当箱の中身をもぐもぐと口に運び続ける様は一見ハムスターにも似て微笑ましいが、その量を思えば熊に例えてもなお不足であるような気さえする。カーネリオとは逆に『あいつと比べれば誰だって少食にもなる』とでも言うべきか。

2015-07-08 18:14:25
もつはムキムキ @2883sg

@sousakuTL #学もつ 二人の視線を受けていたことに気づいたのか、箸の先から視線をこちらへ向けてにこにこと微笑んでいる――常ならば若干の戸惑いを含むそれも、こと食事の時間となれば複雑さを失い、『ご飯が美味しいです』の意思一色に染まっている。よかったね。と、思う。心から。

2015-07-08 18:16:41
もつはムキムキ @2883sg

@sousakuTL #学もつ きっと、食事を終えれば律儀な彼は――大した話もしていない蜜雨たちのもとへ、用があったのかどうか聞きにくるに違いない(もっとも、彼の本来の席を蜜雨が占領している限りは、その意思がなくとも彼はこちらへ来ることになるのだが)。「おやつ用意してやろうな…」

2015-07-08 18:21:30
もつはムキムキ @2883sg

@sousakuTL #学もつ 蜜雨はなんだか、教室でふくふくとした毛皮の犬を飼っているような、たまらなく不憫な気持ちに襲われて顔を覆った。――なんでさっきから人間に見てやれないんだろう。 「お前、案外あいつのこと気に入ってるよな」 カーネリオがぽつりと呟いた。そりゃまあ。

2015-07-08 18:24:54
もつはムキムキ @2883sg

@sousakuTL #学もつ けれどもさすがになんだか不憫が極まりないもので、「金の匂いがする男と動物はどっちも好きだからな」という言葉は、そっと胸に秘めておく。 ずず、とカーネリオの啜るストローが、いかにもどうでもよさそうに適当な音を響かせた。

2015-07-08 18:28:22

図書館のあるじ・学ぱろ

もつはムキムキ @2883sg

@sousakuTL #学もつ 怪談だとか七不思議だとかが増える原因の一つが彼だと紹介されれば10人のうち11人くらいが納得するのが病葉という生徒だ。増えた1人はたぶん幽霊本人ですら敵わないという意味である。だってほら微妙な造形の幽霊がその辺立ってても変質者かな?って感じだし。

2015-07-09 18:06:00
もつはムキムキ @2883sg

@sousakuTL #学もつ その点病葉は完璧だった。冷たい表情を保つ綺麗な顔といい、血の通ってなさそうな指先まで真っ白な肌といい、綻び一つない鴉の濡羽色の髪といい、その人形のような印象をもってすれば、数年後に七不思議が八不思議になっている方に賭けるのが安泰というものである。

2015-07-09 18:08:47
もつはムキムキ @2883sg

@sousakuTL #学もつ 題して「図書館の角の席」だ。 「笑えばモテそうなのに」「モテたくないです」 宙を舞う蝿を叩き落とすよりなお無感動に蜜雨の戯言を冷たく打ち払う病葉の視線は、よくわからない題名の本から離れることはない。ほぼ彼の指定席となっているらしい図書館の隅の日陰、

2015-07-09 18:11:22
もつはムキムキ @2883sg

@sousakuTL #学もつ 人嫌いを名乗り憚らない彼の前にあって睨まれずにあるのは、別に蜜雨が彼にとって特別だとかそういうことではない。いちごミルクの飴を偶然に持ち合わせていたからだ。 過去形。袋ごと持っていかれた。そのため、一袋ぶんくらいにはヒマを潰させてもらう算段である。

2015-07-09 18:13:43
もつはムキムキ @2883sg

@sousakuTL #学もつ どこまで怒らないかな、蜜雨は悪戯心を堪えきれず机の向こうへ手を伸ばした。 「ちょっと。読みにくいんですけど」「まあまあ。飴あげたじゃん」 手を伸ばした先、本を支える白い手をふにふに弄びながら答えると、病葉は思い出したかのように

2015-07-09 18:17:27
もつはムキムキ @2883sg

@sousakuTL #学もつ 残された片手で器用に飴の包み紙を開け、口に運んだ。途端、かれの不機嫌による重々しく湿った空気がやわらかに晴れる。少なくともそのいちごミルクの味が溶けきるまでは、彼は読書に関わる不都合を忘却しているだろう。幸せなやつだ。少なくとも今は。

2015-07-09 18:21:05
もつはムキムキ @2883sg

@sousakuTL #学もつ 蜜雨は視界の端に映る物言いたげな図書委員の顔を敢えて気にしないことにした。図書館は、飲食禁止。しかしお前はこいつの無駄な迫力に逆らえるか? 幸せはいつも誰かの不都合で出来ている。暇潰しのため一袋のいちごミルクを捧げた自分に免じて、見逃して頂こう。

2015-07-09 18:24:01