10月の雨
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「時雨さんのおにぎり=あの時雨さんが手袋を外して素手で握った可能性」という真理の植木鉢が通りがかったアパートの三階から落ちてきた
2014-10-09 00:03:27「降りそぼる陰鬱な時雨は、紅葉の持つ終末の華やぎに、暗い雰囲気、死の予感を演出する。」 当方もこういうフレーズが書けるようになったら、なぁ… (溜め息
2014-10-09 11:21:56『ダイン・フリークス』ネタ
白い縁取りに朱の線の通った制服姿の少女が、奥まった棚に収まる書の背表紙を、陶器細工めいた指でなぞる。『HYDROPHINNAE』。『CTHAAT AQUADINGEN』。一字、また一字と、書名をゆっくり確かめていく。
2014-10-09 21:52:32――実際のところは、あまり時間は無い。ここからは遠く、溢れる叫びも流れる血も、雨の帳に隔てられ、その場にいる者以外には確かめようもなかろうけれど。あの不運な彼がこの店の主だと知れれば、すぐにも誰かはここに来よう。
2014-10-09 21:55:05けれど彼女に慌てる様子は無い。『UNTER ZEE KULTEN』。『FISCHBUCHS』。一字、また一字と、書名をゆっくり確かめていく。
2014-10-09 21:55:23やがて、指の動きが止まる。 『The Trouble in Leafy Green Street』 装丁物々しい古書大巻に挟まれ、その本は薄く小さく頼りなげだった。 無造作ではなく、恭しくもなく、書棚から引き抜かれる。
2014-10-09 21:56:04いつの間にか、そこは、店の中では無くなっている。見渡す限りの、雨。頭上に雲。足下に水面。靴の下で波紋が生じ、消え、また生じる。 明瞭に、透明に、音吸う雨をかえって仲立ちに、彼女の声は響いて行く。
2014-10-09 22:00:00古書店には誰もいない。奥まった書棚に希書古籍が並び、薄い本が一冊入るか入らぬかの僅かな隙間を形作っていた。 主を失ったその店は、遠からず今の顔を失い、やがては何もかも忘れ去られるだろう。
2014-10-09 22:02:22言い訳しますと、以前桜子さんにご紹介いただいた『ダイン・フリークス』読んだ記憶と、あと「濡つ」という言葉を使いたいという稚い衝動が繋がって、色々こらえきれませんでした
2014-10-09 22:06:58