夏の夢

かおり @orange_shake_

【夢・26】 『…これ、すばるが使えって』 渡された枕とブランケット。 「あぁ…」 信ちゃんの頭を枕に移動させて、ブランケットをかけたところで手を掴んで立たされた。 『ちょっと来て』 「え、」

かおり @orange_shake_

【夢・27】 私が持ってきたロールケーキが登場したらしく、背後のテーブルでは女の子達の歓声が聞こえる。 多分私達のやりとりを見ている友達は、いない。 引っ張られるように連れてこられたのは、すばるの部屋。 ギターとかいかがわしいDVDとか、いかにもすばるらしい。 …って。

かおり @orange_shake_

【夢・28】 「何勝手にすばるの部屋なんて…」 『…お前が悪いんやろぉ』 ちょっと甘えたみたいな声が聞こえたと思うと、お酒で熱くなった身体が抱きついてきた。 「え、ちょ、きみくん」 『………』 抵抗しても何も言わないし、逆にぎゅうぎゅう強く抱きしめてくる。

かおり @orange_shake_

【夢・29】 「………」 え、どうしよう。 どうするのが正解なんだ？ よくわからないけど、きみくんの背中に手を回して抱きしめ返してみる。 …あ。正解だったみたい。 苦しいぐらい抱きついてた腕の力がちょっと弱まって、安心したみたいにきみくんが息をついた。 …って。

かおり @orange_shake_

【夢・30】 「！！！」 きみくんの背中の後ろ、部屋のドアから。 それはそれはニヤニヤと嬉しそうにこちらを見ている…この部屋の主。 「…、」 すばる、 名前を呼ぼうとするとすばるはしーってジェスチャーでやって、音を立てずに部屋のドアを閉めた。 えっと…

かおり @orange_shake_

【夢・31】 『なんで男できてへんとか言うねん…』 たくさん飲まされてたからかな。 寝言みたいにふわふわと紡がれる本音。 「だって、いるって言ったら根掘り葉掘り聞かれるじゃん。そんな細かいとこまで嘘つける自信ないし、」 だいたい、きみくんこそ。

かおり @orange_shake_

【夢・32】 「それで墓穴掘りまくってこーんなに飲まされちゃったのはどこのどいつだ、ばかやろう」 『それはそうやけどさぁ…』 いじけた声。子どもみたい。 『男おらんって、俺はちゃうかったん？まだ幼馴染やったん？って不安になるやんけ…』 えー。それぐらい、わかってよ。

かおり @orange_shake_

【夢・33】 『やから、俺はそうは思ってへんで、お前のこと彼女やと思ってるで、っていうつもりで彼女できたって言うたのにさぁ…』 きみくん、ドキドキしてる。 お酒のせい？ 『お前聞いてへんし。それどころかヒナとえらい顔近づけて喋るし、膝枕するし。お前、あいつ彼女おんねんぞ…』

かおり @orange_shake_

【夢・34】 ここでも変な勘違いが進んでいるらしい。 『いや、ヒナに彼女おるっていうかお前にも男おるんやぞ…俺、お前の彼氏やねんぞ…』 「きみくん…」 わかってるよ。私だって、好きであんな嘘ついたわけじゃない。 『やっぱりもうみんなにバラしたろかな…』 「…そうだねぇ」

かおり @orange_shake_

【夢・35】 多分もうバレてるよ。 今頃、私達が話題の中心になってるよ。 『なぁ』 「ん？」 身体を少し離して目を合わせると、ちゅっと唇が重なった。 『…ここでこれ以上はできんな』 「そろそろ、戻ろうか」 今度は手を繋いだまま、すばるの部屋を出る。

かおり @orange_shake_

【夢・36】 『あれ？ここ、ドア閉まっとったっけ？』 「………」 部屋の外に出ると、そのドアには見慣れた文字で書かれた"使用中"の貼り紙が。 「………」 『………』 ……… 『「すばる！！！！」』 【おしまい】