#fish2

ツイッター連作、その2。
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大谷良太 @nanaseriver2009

何も感じない、聞く耳を持たない。それでいて、とても優しい。(このまま何になるのだろうか?)君が持っていたコーラの瓶と、刹那降りて来たもの。垂直への意志と、象のようにゆったりした精神。――それはおかしな柔らかさだった。駐車場に立ち、無言だった我々。昼下がりを包み込む雨。#fish2

2015-03-04 12:55:45
大谷良太 @nanaseriver2009

ぺちゃくちゃ笑っている、まだ早い午後。汗を掻いたグラスを置いて。ストローの先から、彼女は滴を垂らした。コイン、ナフキン、煙草。ノートとペンは逆さまにして。他の席でも、ぺちゃくちゃやっている人たち。天井ではファンが回っている。明るい窓を背景にして、影だけになった人も。#fish2

2015-03-11 12:10:33
大谷良太 @nanaseriver2009

「あれは何という鳥?」啼いている、声だけが聞こえる。子供は皿を前にして、フォークを掲げて。ガラス越しの曇った空と、ベランダに揺れている洗濯物。――早く行こうと言う。早く行こう、そこへ行こう。私は紅茶を注いで、牛乳で割った。起きて来ない彼女。きっと、くたびれているのだ。#fish2

2015-03-27 09:29:27
大谷良太 @nanaseriver2009

四月になってしまった。白い本。ざっくりとしたままの生活。どうか笑って欲しい、無精髭、煙草。銀紙がくしゃくしゃになって転がっているが、どこまで行けるのだろうか。“午後になれば”と考える。(その姿勢はあまり変わらない。)話し相手が欲しいのだ。要は、ぼんやりと佇立している。#fish2

2015-04-03 09:58:18
大谷良太 @nanaseriver2009

川べりに歌を止めて、嘯く。ままならないのは暮らしだけじゃなく、けれど私はお金に悩むことだって…。“我々は立派な発語を勉強して来た。””君は最後に観念の冷たい撃鉄を引けるだろうか?”――別の人々には、また別の災い。そう、私はこれを見なければ。“私は観念を勉強して来た。”#fish2

2015-04-11 15:29:37
大谷良太 @nanaseriver2009

切なさの川べり。深く、そして又、浅かった歳月。レッスン。―そう、私は歌うだろう。声を嗄れさせて、雨に濡れ、微風にそよぎながら。“試してはならない。”だからこそ、試す毎日。ヴィヴィッドな、それこそ嘆きの河。私は堪えている。何をか? 何かを。分からないまま、敢えて必死に。#fish2

2015-06-18 20:32:45
大谷良太 @nanaseriver2009

要は、欲しいのだった。今朝も雨が降り、子供が嘆く。“お前は彼に何をしてやれる?”自らが欲しくて、敵を探し求める。本当に、闘争の中で、君は生き甲斐を感受出来るだろうか。そのまま夜になり、雲間から月が覗く。その、猫の目のような形貌。孤独だった。彼といて、私は猶孤独だった。#fish2

2015-07-09 01:07:14
大谷良太 @nanaseriver2009

“変わらぬ愛しさ”を抱き締めていたって、やはりそう悪くもないだろう? 君の好きだった、私にはそれほどでもなかった。あの川べりにいて、今だって待っている“子供”。判読不可能だった手紙。私に分かったのは、文字面の発音だけだった。習えばいいのだ、再度。見習うことが出来れば。#fish2

2015-07-17 19:07:03
大谷良太 @nanaseriver2009

“何を話していたんだっけ?”庇の下、斜めに見上げた曇天。きらきらと砂のような糠雨。投げ棄てた後で気付く。歳月は終わるのじゃなく、だから延々と続くチューブ。“僕たち”はいつだって人生について話している。大切な言葉は、だから迂回し、遅刻して…。願ったよ。ああ、充溢と逸脱!#fish2

2015-07-21 18:48:23
大谷良太 @nanaseriver2009

私が飛び越えた、青い空を映し込んだ河川。恐ろしく甲高い声が、君の口に膨らんで行く。暗く大きな穴と、その隣、深く濃くなって行く緑。光に関する白い数式を、敢えて人生の公式にまで据えた。“何処にまでなら行ける?”繰り返される問いに、答えるならば多分、私は、細い素肌の手足で。#fish2

2015-07-24 16:08:52