#星の暗殺者 まとめ

澪浬 @30_00AFCC

張本人

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鉄のにおいや生臭さが消えていることを確認してから、みんなとの待ち合わせ場所に向かう。どうしよう、家に帰って、それらが復活していたら。もしそうだとすると、知らない人間が家に入っている可能性が高くなるじゃないか。家のドアも窓も全て鍵を閉めているから、そこから入るはずはないのだが。

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待ち合わせ場所である駅には、既にみんな揃っていて。遅れてしまったことを謝ってから家への道を案内した。もし、家に知らない人間がいたらどうしよう。何かあった時には、自分が、みんなを守らなければ。みんなに、不安を抱かせないようにしなければ。

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家の鍵を開け、そのままみんなを招き入れた。自分だけ一足早く、部屋へ上がる。様子が心配だったが、異変はない。知らない人間もいないし、鉄のにおいも生臭さもない。心底、安心したものだった。みんなで買ったジュースやお菓子を開け、眠くなるまで特撮鑑賞会を続けていた。

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翠「ずっとこれ観てるんスか…？」 千「もちろんだ！　そのまま眠りについて、明日の朝には今放送されている番組も最新話が観られる！　素晴らしいだろう！」 翠「うわあ帰りたい」

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深「ぼくは、こんなものをもってきましたよ」 千「おお！　……『深海にすむ生き物』？」 深海以外のみんな（絶対に眠くなる）

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特撮鑑賞会というよりも、みんなが観たいDVDとかあれば持ち寄る会みたいになってる

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鉄虎は紅月のライブDVDだし、忍くんは忍者アニメだし、翠くんはゆるキャラのショーとか入ってるDVD

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翠くんがごそっと何かを取り出す。 忍「裁縫道具？」 翠「次のライブがあれば、出そうかなと…」 ユニットをイメージしたゆるキャラを考え、試しにとマスコットを作っていた。まあ、もはや自分に『次のライブ』なんてあるかわからないけど。

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「高峯は本当に器用だなー！　こんな細かい作業、不器用な俺にはできないぞ！」 こんなことで守沢先輩に褒められても嬉しくない。嬉しくない。少し、顔に熱を感じるけど気のせいだ。

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こうしてみんなが思い思いに過ごしているところを見ると、好きなものも趣味も何もかも違うけど、それは学生時代から何ひとつ変わらない。変わらないのに、ばらばらなのに、今でもこうしてアイドルユニットとして活動しているのだから、学生時代から何も変わりのない『流星隊』でいられるのだ。

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やはり奏汰が持ってきた謎DVDを観ながら、みんな、すんと眠りについた。テレビもつけたまま、映像も流れたまま、布団もかけずに眠ってしまった。俺も、寝たはずだった。

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【翠】眠る直前に思っていた。そういえば、待ち合わせ場所へ向かう前に出した『例の依頼』はどうなっただろう。もし、誰かが引き受けたのなら、何日後に死ぬことになるだろう。なるべく、この家にいる間は死にたくないので、もっと後に依頼すべきだったかと、少し後悔していた。

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【翠】みんなの知らないところで、苦しまずに死にたい。そして、みんなに自分のことを忘れてほしい。なんて思っていたけど。よくよく考えたら、本当に死んだらくそめんどくさそうだなと思い始めてきた。それなりに人に知られるようになったユニットのメンバーの一人が死んだ、なんて報道されたら。

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【翠】小さなライブハウスの中でやったライブイベント。たくさんのペンライトの光の中に、緑色の光がぽつぽつとあるのを思い出した。

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【翠】ふ、と起きると、このワンルームの家に、自分含めて四人しかいないと気づいた。 目の前にいたはずの守沢先輩がいなくなっていた。

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【千秋】ぱっと目が覚めた。テレビには不気味な深海魚の紹介映像が流れていてびっくりしたが。さあ、仕事の時間だ。アイドルとしてではなく、『守沢千秋』としてではなく、『自分』としての。

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【千秋】深海魚の映像の次に、傍で眠っている四人の人間に気づいた。『守沢千秋』の知り合いなのだろう。今の『自分』には関係ないため、彼らは無視することにした。テレビはそのままにし、ふらと外に出た。

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【千秋】仕事場に顔を出した。 「こんばんは。遅かったですね」 その声は、『守沢千秋』と同じ学校だった朱桜司だ。彼も、今人気のアイドルユニットの一人。流暢にチェスで遊んでいた。 「今日はこんな依頼が来ていますよ」 傍のテーブルにある依頼書を数枚だけ差し出してきた。

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【千秋】一緒にチェスをしているのは瀬名泉。恐らく朱桜に無理やり付き合わされたのだろう。かなり不機嫌そうな顔をしている。 「全然勝てないのほんと意味わかんない。強すぎなんだけど」 「いえ。瀬名さんこそ」 「依頼進めたいんだけど、なんか負けるの悔しいから、勝つまでやるし」

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【千秋】自分はテーブルにある依頼書を適当に一枚だけ手に取った。 「貴方は、中身を見ずに選びますよね。何か意味があるのですか？」 特にないことを告げて、そのまま外へ出た。 「うーん。彼、最近Coolですよね」 「暑苦しいイメージあったけどね。それより続けるよ、チェス」 「どうぞ」

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【千秋】依頼書なんて、見て選んでも意味が生まれることもないので、適当に選んでいる。適当に選んだものを外へ出て内容を確認し、適当にこなしている。まずは依頼を寄越すほどの人間なのか、出来る限りじっくり観察をしてから、依頼を遂行する。それがテンプレートだった。

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【千秋】今回は、なんと匿名のものを引いてしまった。最近は滅多に引かなかったのに。匿名のものだと、依頼主と目的の人間との関係性を伺えないのが少し惜しく思う。人間関係など関係ないのだけど。自分は、そういうものを見てから、目的の人間を始末することが好きだった。