- orikadoyuki
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@orikadoyuki 「……お母さん、本気?」 年の頃15、6歳ほどの少女が、自分の母に声をかける。 「色々と調べたし話も聞いて回ったけど、どう考えてもただの尻軽じゃない、あの人!」 苦笑とも微笑とも取れる表情で隣を歩く女性に怒鳴り声をあげる。 「ホントに会いにいくの!?」
2015-07-21 12:29:24@orikadoyuki 「……あなたはホントにあの人のことが嫌いねぇ」 くすくすと微笑を浮かべるのは、大人しめのブラウスと丈の長いスカートに身を包んだ、少女の隣を歩く妙齢の女性。 肩を超えるほどに伸びた、整ったブロンドが一歩進むごとにふわりと揺れる。 「ま、折角来たんだしね」
2015-07-21 12:29:54@orikadoyuki 「だってあの人、お母さんのこといつも色目使って見てたもん! 見たことはないけど、知ってるもん! なのに他の女の人と!」 「それを言ったら、わたしは過去に他の人と結婚して娘までいるんだけど……」 「う……。それは、そうかもしれないけど、ひとりでしょ!?」
2015-07-21 12:30:22@orikadoyuki 「あの人の方はそういう人何人もいたみたいだし、 結婚する気ないのに孕ませたひとだっているんだよ!? 」 「年頃の女の子があんまりそういう言葉使わないの」 「そんなのいいから! お母さんだって見た目で選んでて、そういうことしたいだけかもしんないじゃん!」
2015-07-21 12:30:50@orikadoyuki 「ホントに、優しい子に育ってくれたわねぇ……"ジニア"は」 ぎゅっとその娘を抱きしめて。 「たくさん心配してくれてありがとう。あなたはホントにわたしの自慢の娘。でもわたしは大丈夫だから。ちゃんと根拠もあるもの」 「えっ、根拠って? どういうこと……?」
2015-07-21 12:31:17@orikadoyuki 「いざとなればぶん殴れば大丈夫ってことよ。わたしの力は魔法の力だからあの頃と何一つ変わってないもの。40代のオジサンひとり吹っ飛ばすくらい、朝の洗顔前でしょ?」 「それは否定しないけど……」 「ジニアがわたしのことホントはどう思ってるかよくわかったわ」
2015-07-21 12:31:46@orikadoyuki 「まあそんなわけだから大丈夫よ。どっちみちこの水晶玉は彼に返さないといけないし」 「……まあ確かに、会わないんだったらわざわざこんな中立地くんだりまでくる必要なかったけどさ」 「くんだりとか言わない」 「……あーもう、じゃあわかった! 好きにしなよ!」
2015-07-21 12:32:12@orikadoyuki 「確かにあの人が戻ってきてから、他の女の人と関係もったりしてないしね。……まだ三ヶ月くらいだけど」 「そんなことまで調べてたの?」 「調べたって言うか分かるの。混沌が交わるとね」 「でも感覚をハーレーさんに向けないとわからないでしょ?」 「……まあね」
2015-07-21 12:32:45@orikadoyuki 「まあ大丈夫よ。そもそも子供も産めないこんなおばさんじゃ相手にされないかもしれないし」 「……ごめ」 「はいやめー。わたしがわたしの勝手で決めたんだから謝るのはなしー」 「……はーい」 「というわけで、ちょっと行ってくるわね」 にこりと笑って歩き出す。
2015-07-21 12:33:00@orikadoyuki 「……行ってらっしゃい。アイリスお母さん」 渋々と言った面持ちで、母を見送る少女。 その様子を嬉しそうに苦笑して受け止め、くるりと振り向いて足を進める。 いつも水晶玉越しに見た光景が目の前に広がっている。 やがて目的の人物を見つけると、ととと駆け出し。
2015-07-21 12:33:22@orikadoyuki その人に背中からひょいと抱きつく。 「こんにちわ。こっちは随分待ったんだけど、そっちは何日ぶりくらいなの?」 おかしそうに笑いながら、ひょいと水晶玉を手にとって、その目の前に差し出す。 「約束通り来てあげたわよ。さ、どこから話せばいい、ハーレーさん?」
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