渋谷家の人々×七夕の夜。

1
あさこ@お母さんは心配症(゚レ゚) @yoko_asako

① 七夕の夜。 俺は部屋からぼんやり空を眺める。 するとそこへ果歩がやって来た。 『すばる?どうしたん?』 俺は、何となく。 思い付いた事をそのまま伝えた。 「・・・1年に1回会える。 それのどこが悲恋やねん。 一生会えん方がもっと辛いわ。」 #渋谷家の人々

2015-07-07 19:45:10
あさこ@お母さんは心配症(゚レ゚) @yoko_asako

② 俺の脳裏には、あの女の影がよぎる。 俺を捨てた。あの女の。 久々に、黒い感情がこみ上げる。 憎い。 悲しい。 寂しい。 ────すると、 果歩が後ろから俺を そっと抱きしめてくれた。 「すばる・・・ なんか黒いの。溢れてるよ?」 #渋谷家の人々

2015-07-07 19:45:17
あさこ@お母さんは心配症(゚レ゚) @yoko_asako

③ 果歩の声がじんわりと染み入る。 『悲恋なんて数えんでいい。 失った数に悲しまんでいい。 ・・・だってすばるには うちがおるでしょ? 妙ちゃんも。亮ちゃんも。ね?』 俺は堪らず吹き出す。 「えらい少数やなwww」 #渋谷家の人々

2015-07-07 19:45:33
あさこ@お母さんは心配症(゚レ゚) @yoko_asako

④ すると果歩はぶうっと膨れて。 『少数精鋭なの! 狭く深く!それでええの!』 その仕草が可愛くて。 俺はその頬をつつく。 『もぉ!バカにしてる!』 「バカにしてへんよwww」 『してる!』 「してへん。」 あ・・・今なら。 俺の気持ち言えるかも。 #渋谷家の人々

2015-07-07 19:45:44
あさこ@お母さんは心配症(゚レ゚) @yoko_asako

⑤ 「果歩・・・なぁ。ずっと一緒おってくれる?」 『どうしたん?おるよ? 約束したやん?』 それは・・・幼なじみとしてやなくて。 男として。 そうなって欲しい。 伝えたくて、果歩の頬に手を当てる。 ・・・・・すると、ドアの向こうから ガタンと音がした。 #渋谷家の人々

2015-07-07 19:45:53
あさこ@お母さんは心配症(゚レ゚) @yoko_asako

⑥ 俺は。すぐ音の正体に気づく。 「亮ーーーーー!!?」 俺の声に慌てて。 [え!?あ!ごめん! 兄ちゃんほんまごめん!!!] そう言って亮は 慌ててリビングに降りていった。 溜息をつく俺の後ろから果歩が顔を出す。 『亮ちゃんどうしたん?』 #渋谷家の人々

2015-07-07 19:46:03
あさこ@お母さんは心配症(゚レ゚) @yoko_asako

⑦ だから俺は答える。 「さぁ?あいつアホやからわからへん。」 すると果歩は笑って。 俺は、その笑顔に小さく誓う。 ・・・高校に無事入学できたら。 ちゃんと気持ち伝えよう。 来年の七夕は誰にも邪魔させん。 #渋谷家の人々 pic.twitter.com/wW7dTURilM

2015-07-07 19:46:22
拡大