ゼロの実家へ行く

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ゼロ「公衆電話はドーンてやってバーンてやると根っこから持ち上げられます！」 今井「電話しろ」

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今井「かけ方わかるのか」 ゼロ「私は元ストリートチルドレンですよ、冬はよく電話ボックスで寝てたんです」 今井「わからないんだな？」 ゼロ「(10円入れる)(番号押す)(受話器取る)」 今井「できるのかよ……！！」

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ゼロ「夏場はデパートの屋上の看板裏で寝てました」 今井「どこで寝てるんだよ……」

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ゼロ「ごはんはいつも、パン屋さんからパンの耳とか貰ってました。ちょっとこげちゃったやつとかもたまに……」 今井「……それ、いつからいつまでの話だ？」 ゼロ「10～14歳頃まで……」 今井「」

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ゼロ「あ、お風呂はちゃんと入ってましたよ！？銭湯ありますし！」 今井「……金、あったんだな……」 ゼロ「お母さんの口座からちょっとずつ……」 今井「！？」

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ゼロ「暗証番号とか通帳入れにシールで貼ってあったから大丈夫でした！」 今井「セキュリティ甘すぎだろ！！！！！！！」

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ゼロ「だって家、空っぽなんですよ。あ、ちょうど近くまで来てますし寄っていきましょうか」 今井「近くなのか……」 ゼロ「えーと鍵、鍵、鍵……あった！(ｼﾞｬﾗｯ)」 今井「多いな！何でもかんでもまとめるなよ」 ゼロ「これ全部実家の鍵ですよ」 今井「は！？」

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ゼロ「お母さんが、不審者が入らないようにって」 今井「何本あるんだ……？」 ゼロ「10本」 今井「10本」 ゼロ「玄関3つあって、3本ずつ」 今井「玄関3つ……！？」

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今井「でかい……家、でかい……」 ゼロ「今井さんが動揺してるの初めて見たんですけど……」 今井「お前ッ……金持ちかよッ……」 ゼロ「そうなんでしょうか」 今井「金持ちだろ！！！！！」

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ゼロ「でも中は今住んでる寮と大差ないですよ」 今井「嘘つけ絶対高い家具とか置いてあるだろ！」 ゼロ「いや普通ですって～(ｶﾞﾁｬｯ)」 今井「嘘だ絶対嘘…………下駄箱に消臭力置いてるーーーーーーーーーーー！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！」

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ゼロ「今井さん！？大丈夫ですか！？らしくない叫びですよ！？今井さんが消臭力とか言って大丈夫なんですか！？」 今井「……マジで寮と大差ないな……なんだよこれ庶民だろ……なんで……外見は豪邸なのに……」 ゼロ「今井さんしっかりしてください！今井さーーーーん！！！！！」

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ゼロ「ここがリビングです」 今井「こたつしまえよ……今夏だろ」 ゼロ「お母さん夏でもこたつ入るんで」 今井「マゾかよ」 ゼロ「電気とかは……さすがに止まってますよね(ｶﾁｯ)」 今井「……ついたぞ？」 ゼロ「なんででしょ？」

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ゼロ「お！水道も出ますよ！」 今井「なんでだよ……」 ゼロ「うーん、わかりませんけど大丈夫でしょう 二階行きましょう」 今井「大丈夫じゃないだろ」

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ゼロ「ここ出たの、自分の部屋が出来る前だったので、残念ながら私の部屋は見れません！」 今井「見たくもない」 ゼロ「そんなハッキリ言わなくても」

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ゼロ「ここが寝室です」 今井「ベッドでかいな」 ゼロ「そりゃ、お母さんと二人で寝てましたから」 今井「子供だな」 ゼロ「子供でしたから」

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ゼロ「……お母さんが亡くなってからは一人で寝てました」 今井「……だろうな」 ゼロ「大きなベッドに、一人で寝ると、すっごく寂しいんですよ」 今井「知ってる」 ゼロ「そうですか」

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ゼロ「朝も昼も夜も一人ぼっちで、広い家のなかで……」 今井「……」 ゼロ「クローゼットの中、見てくださいよ」 今井「？(開ける)……なにも入ってない」 ゼロ「持っていかれたんです、親戚に」 今井「……」

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ゼロ「小さい頃だったので、よく覚えてないんですけど……急に大人の人がたくさんやってきて、服とか、なんか、キラキラしたものとか、箱みたいなものとか……いろいろ持ってっちゃいました」 今井「集りか」 ゼロ「集りってやつですね」

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ゼロ「全部ってわけじゃないんですけど、ほとんど持っていかれちゃいました。居間のこたつとかベッドはさすがに置いていってくれましたけど」 今井「二階がやけに殺風景なのはそのせいか」 ゼロ「三階も同じ感じですよ」

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今井「三階はほとんど空だな」 ゼロ「ね？」 今井「…………」 ゼロ「そうかぁ～……私のお母さん、お金持ちだったんですね。だからみんな、お母さんのものを持ってっちゃったんですね……」

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今井「普通、家ごと持っていきそうなもんだけどな」 ゼロ「あ、大丈夫ですよそこは。この家の名義は支部長なので」 今井「名義変えたのか」 ゼロ「たぶんそうです」 今井「たぶんって」 ゼロ「よくわからないので……」

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ゼロ「細かいことは全部支部長がやってくれたんで……」 今井「へえ」 ゼロ「あ！地下室あるんですよこの家！見ていきます？」 今井「降りるのだるい……」 ゼロ「エレベーターありますから」 今井「は！？」

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ゼロ「私が三階で遊んでるときにトイレ間に合わなくて……その、おもらししちゃって。お母さんが見かねてエレベーターつけてくれたんです」 今井「は！？！？」 ゼロ「下へ参りま～す(ﾎﾟﾁｯ)」

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ゼロ「地下室でーす」 今井「暗い……」 ゼロ「ここ電気ないのでスマホのライトで照らしますね」 今井「電気通せよ金あるくせに！」 ゼロ「お母さん控えめにいって変人ですから……」 今井「控えなくていい。変人だ。」

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今井「……ここも空っぽだな」 ゼロ「そうでもないですよ。これを見てください」 今井「扉がある……」 ゼロ「でも開けられないんですよね。鍵がなくて」 今井「……鍵、10本あったよな」 ゼロ「そうですけど……？」