ネットプリント「ひろしまのわたしたち」感想。

僕の高校時代の先輩である広島県の大学生御三方がつくった写真と文芸のネットプリントを読んでの感想を書いてみました。
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大雅 @819tiger

「ひろしまのわたしたち」の感想でも、書こう。書かんといけんじゃろ。ので、ちょっとだけ書く。ぼちぼち。 まずひとつ言えるのは、(どの句が誰の作かはっきり書いてよ!!)ということですが(笑)

2015-08-08 21:40:07
大雅 @819tiger

写真含めての作品だと思うので表紙から入る。最初に宣言するとぼくは写真俳句あんまりやりたくない人間です。新しい試みとして、面白いことやってるなーと外から眺めていて思うのは思います。でも僕自身はあんまりやりたくない。俳句と写真が足を引っ張り合うのでなく支え合うことはなかなか難しい。

2015-08-08 21:41:55
大雅 @819tiger

早速横道にそれてしまった。表紙表紙。タイトルは「ひろしまのわたしたち」。真っ直ぐである。今回、このネットプリントが出ることを僕は知らなかった。出てから知った。広島から京都に去ってしまった僕は「ひろしまのぼく」ではないのだ。広島という土地にいる彼女たちがつくったこと、これが作品に

2015-08-08 21:43:29
大雅 @819tiger

とって大きな意味になる。 タイトルのうしろには市内の写真。(広島県民が市内と言う時はたいてい広島市内のことをさす)路面電車の線路上からの撮影。傘を差した人たちが横断している。素人なので何とも言えないが、日常を切り取りながら美しい夕方の光景は俳句的といえなくないのかも知らない。

2015-08-08 21:45:25
大雅 @819tiger

ページをめくると、白黒写真に「ようこそひろしまへ」の案内標識。左ページに三句並んでいる。(あれ、これ全部引用したら、読む楽しみが減っちゃいますな。一句だけひこう)

2015-08-08 21:47:40
大雅 @819tiger

あめんぼう四五匹ゐたる祈りの日 祈りの日とは、間違いなく8月6日のこと。広島で育った人間には(そうでなくても、だとは思うが)特別な意味を持つ日である。1945年8月6日午前8時15分。広島っ子はみんなそらで言える。夏休でも小学生は登校日になり、学校でテレビの中継にあわせ黙祷を

2015-08-08 21:50:52
大雅 @819tiger

ささげたのも記憶に懐かしい。 なぜ小学校のころの話を取り上げたかというと、掲句の季語・あめんぼうから、そんな匂いがしたからである。この句は原爆の日にかかわる季語ではなくあめんぼうを季語にしている。あくまで作者が見ているのは四五匹のあめんぼうである。それらの水に浮くようす、それが

2015-08-08 21:52:51
大雅 @819tiger

四五匹もいる光景は、まぎれもない平和のなかの日常である。作者がどこまで感じたかは一切書かれない。ただその小さな光景が訴えかけてくるものはかろやかな語りに反して思い。

2015-08-08 21:53:58
大雅 @819tiger

ページをめくる。右ページに、青空を背景として街頭に留まらんとする鳩。鳩もかなりメッセージ性が強い。「はとよひろしまの空を」という絵本がある。広島の小学校にはだいたい置いてある。 (虫が部屋で暴れたので中断していた)

2015-08-08 22:05:03
大雅 @819tiger

夏帽の野宿者と猫 猫猫鳩 二句ならんでいるうちの前者を引いた。うってかわって、ヒロシマの匂いをあまり感じさせない句である。「ひろしまのわたしたち」の、「わたしたち」の色が強い句、とでも言えばいいか。 夏帽の野宿者。暑さが増してくる朝方の景ととるのが面白い。

2015-08-08 22:08:05
大雅 @819tiger

中七と下五のあいだに空白を入れることで、一匹きたと思ったらさらに来た感じがでている。わらわらと集まってくるような。なぜか猫だけでなく鳩まで。餌目当てだろうか。目にすればくすっとくるような景色だ。

2015-08-08 22:10:13
大雅 @819tiger

じつはこのネットプリントの掲載句数は多くない。もっと読みたい、というのが正直な感想だ。しかし、更にページをめくると嬉しいことがある。樫本由貴の詩がよめるのだ。樫本は高校時代から詩才を発揮していた。特に「ころも」という第二十六回の文芸コンクールで最優秀を取った作品は圧巻。

2015-08-08 22:15:39
大雅 @819tiger

こんどのネットプリントには、「はつなつのカフェ、或いは八月へのしるべ」というタイトルの詩が掲載されている。背景には、思い切り夏を感じさせる海の写真。柵にむすばれた3つのハンカチとタオル?は、もしや作者たちのもの?(このへんキャラが出ててすごくおもしろい。違ったらアレ)

2015-08-08 22:17:50
大雅 @819tiger

詩を見ていこう。…といっても詩をどう評していいのかはわからないので、下手を打ってしまうかもしれないのはご勘弁を。 「私」はカフェで「貴方」に何かを聞こうとしている。「貴方はあの夏の事を私に語ってくれるために来た」という。そして、語った後、「貴方」は「美しい刺繍のハンカチーフを差し

2015-08-08 22:25:23
大雅 @819tiger

出」す。 というくらいで内容はとどめておくが。(全文はぜひ、印刷してください!)それと一言もいってはいないが、すくなくとも戦争のことをさしているのははっきりわかる。ネットプリント全体の文脈にのっとれば、被爆体験を尋ねているのだろう。

2015-08-08 22:27:07
大雅 @819tiger

この詩では本題であるはずの「被爆体験の語り」の部分がすっかり省かれている。奇妙といえば奇妙である。ただそれが、悲惨な部分を省き、綺麗な部分だけ描くという精神のもとであるなら全くの失敗だが、そうではない。作者ははっきりこう書いている。「それは八月を受け取るにはあまりに小さな儀式

2015-08-08 22:31:27
大雅 @819tiger

だったが/それで充分であった//他の全ては 心の為には不要だった/持参したルーズリーフは真白のまま/グラスの汗にぬれていた」。ああ、思わず最後のおちまで書いてしまった、あとで怒られたらやだなあ………。 私たちが直接手づかみにできる戦争体験というものは、もうない。というよりあっては

2015-08-08 22:33:49
大雅 @819tiger

ならない。しかし、それでもなにか正面から受け取ることのできる戦争、平和という精神は、こういうところに表れてくるものなのだと思う。

2015-08-08 22:34:46
大雅 @819tiger

自分の体験と、世界を引き合わせることに成功した詩だなあ、とまで言うと褒め過ぎだろうか。しかし広島にいる人間だからこそのリアルが、もちろんこの詩も、そしてネットプリントの少ないページにわたって立ち上がっているように感じた。(お粗末ですがおわり)

2015-08-08 22:37:28
. @zY9W7pSj

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2015-08-07 10:23:17