【CW】100万SPの男(3)

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@cw_now 100万SPの男　第四十一話『こんにちは赤ちゃん』 リューン市内、とある産婦人科の待合室。 産気づいたレナータが担ぎ込まれ、オレが病院についてから随分経つ。 ……出産というのはこれほど時間がかかるものなのか。 pic.twitter.com/wR4qnrzlI5

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@cw_now 分娩室に入る直前、レナータはオレに心配をかけまいと笑っていた。いやしかしオレたち夫婦にとってはじめてのことだし、心配するなという方が無理だ。といってオレに祈る以外の何ができるわけでもない。 pic.twitter.com/n0QT6Il3qj

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@cw_now しんとした待合室に、オレの呼吸と、時折唾を飲む音だけが聞こえる。 （どうかレナータが無事で、子供が元気に産まれてきますように） ガラにもなく神に祈る。 「────── 　　──────」 ……何か、聞こえた？ pic.twitter.com/gFZD90xYUE

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@cw_now 今聞こえたのは、間違いなく──。 オレが立ち上がると同時に、けたたましい足音が近づいて来ていた。足音の主は乱暴に待合室の扉を開け、満面の笑みを浮かべる。 「産婆さん、レナータは……」 「産まれたよッ！」 pic.twitter.com/LqGxsXu3fL

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@cw_now 「レナータ！」 「静かにしたまえ。ま、気持ちはわかるがね」 「す、すみません。……あの、うちのは」 「母子共に健康だ。とはいえ、あまりはしゃぎすぎるなよ」 そう言って先生が促すその先に、世界一愛しい二人の姿があった。 pic.twitter.com/dlyWC6RV28

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@cw_now 「お疲れ様。……ありがとうレナータ」 幸せを噛み締めながらレナータにキスをする。 「ん……。ほら、元気な女の子です」 「本当だな。きっと美人になるよ、この子は」 「ふふふ。ねえ、それより」 「ん？」 pic.twitter.com/pDnKJdkYko

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@cw_now 「抱っこしてあげてください。ね、『パパ』？」 「お、おお……そうだな、『ママ』」 思わずノってしまったが、パパか。恥ずかしくも嬉しい称号だ。 生まれたばかりの愛娘を恐る恐る抱っこする。小さくて、柔らかくて、愛おしい。 pic.twitter.com/xQWLOo157Z

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@cw_now そのまましばらく家族水入らずで過ごす。レナータも数日で退院できるらしいし、ひと安心だ。 こうして、オレとレナータに新しい家族が増えた。 守るものが増えたぶん、これまで以上に気合を入れねばならないと思うオレであった。 pic.twitter.com/Emwyy0cPpb

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@cw_now そういえば夫婦でアスカロン教会行こう。まずクワイア。 pic.twitter.com/EKuB4fdrTW

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@cw_now レナータ。こっちはすごくしっくりくる。そして夫婦そろってニュートラル・グッド。 pic.twitter.com/yZo9yKrEE4

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@cw_now 100万SPの男　第四十二話『鼠輩の招き』 娘が生まれて早一ヶ月、オレはその間休暇をとり、家族水入らずの時間を過ごした。そろそろ仕事を再開しようと宿に訪れたところ、親父が深刻そうな顔で依頼を持ちかけてきた。 pic.twitter.com/l9TuxkhNbc

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@cw_now 「レナータとノエミちゃんは元気かい」 「ああ、お陰さまでな。……それより、何があったんだ？」 オレでないと頼めない、とは到底思えない依頼。 「少し前に別のパーティが請けたんだ。『杖をつく者』、知ってるだろ」 「ああ」 pic.twitter.com/WARHeYZT0N

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@cw_now 「全滅したんだ。高が犬耳退治でな」 「……」 「子供が生まれたばかりのお前に頼むのは迷ったんだが……」 ベテランの冒険者五人が全滅するコボルト退治など聞いたことがない。貼り紙どおりの依頼じゃないんだろう。 「頼む……」 pic.twitter.com/oBqmCAOORf

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@cw_now 「頭を上げてくれ。……そうまでされて断れるわけないだろう」 「行って、くれるか」 「ああ。何が起こってるのか気になるし、村の人も困ってるんだろうしな」 「……すまん」 「報酬に色はつけてくれよ」 pic.twitter.com/htLBhfO8Yi

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@cw_now 旅支度を整えてザヴォレ村に向かう。村長の家を訪ねて面通しをするが、歓迎はされていない様子だ。……無念だが、前任者の失敗も響いているのだろう。五人でしくじって今度はひとり、というのも気に食わんようだ。 pic.twitter.com/8UcgloVhwc

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@cw_now 村長の不機嫌と不信の原因は判り易くカネだった。前金400を持ったまま全滅した前任のせいでそのぶんの損害が出た、成功報酬400で請けろ、と。 （やれやれ） さらには宿への脅しをかけてくる。これじゃ連中も浮かばれんな。 pic.twitter.com/WrWhr4L26u

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@cw_now 不快感を噛み殺して話を聞くが、臆病なはずのコボルトが村を襲撃したり、統率されて冒険者五人を殺したりと、やはり不審な点が多い。400が800でも安いかもしれんぞ、これは。 pic.twitter.com/Tgu67UlXd6

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@cw_now だがひとつ気になることがある。村人には山へ近づく事を禁止しているらしいが、パーティの全滅はどうやって確認したのだろうか。村長にその事を聞くと、尼僧のビアンカひとり助かったという。大怪我はしているが無事なようだ。 pic.twitter.com/KVn1nRayp8

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@cw_now 「依頼は請けよう。『杖をつく者』を下した妖魔に興味がある」 「仕事をしてくださるなら動機はいかようにでも」 商談成立。まずはビアンカに話を聴くため彼女の逗留する空き家へ。村長の態度とは裏腹に、待遇はそれなりのようだ。 pic.twitter.com/2WnRNbO2JA

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