【紫煙天龍】終戦70年~耐え難きを耐える~
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今年は大事な年だから、鎮守府での戦没者慰霊式典は関係者以外参加不可とした。やることはいつもと変わらない、去年と違うのは70発という弔砲の発射総数と、艦娘は鎮守府内で好きに過ごしてて良いってとこか
2015-08-15 11:40:08トラック泊地、クェゼリン環礁、ウェーク島、ラバウル、餓島、ショートランド泊地、ニューギニア島東部マダン…懐かしいな。俺が沈むまで共に戦って、生き残った連中は本土で安らかに死ねたんだろうか…そもそも終戦を迎えることが出来たんだろうか…
2015-08-15 11:45:03第二次SN作戦の期間中とは言え、こうやってゆっくり出来るってのは有難いもんだ。幸い今は寮の喫煙所で龍田とふたりきりだし、このまま弔砲の音を聞くとしよう…今年の担当は大和と武蔵だったっけか…あっ、コイツ寝てやがる…こんな日になんて寝顔してんだよ…
2015-08-15 11:50:03館内放送用スピーカーから提督の声が聞こえる 『ここに撃ち鳴らす70発の砲声は、不戦の誓いである。我々の祖となった大日本帝国海軍へ敬意を表すと共に、人と人との愚かな戦争に加担すること無く、深海棲艦に対してのみ、我々の武力を行使すると誓う物である。全艦主砲最大仰角!撃てッ!!』
2015-08-15 12:05:07ヒトフタマルゴーから始まって、ちょうど70発目の砲声が響いてきた。気づいたらたばこも最後の一本だな…おや?「おっ、天龍と龍田か」「木曾、球磨達と一緒じゃなかったのか?」「なんかこう…落ち着かなくてな」「そういうもんか?」「まだ…戦えたからな…」「そういやお前…」
2015-08-15 12:45:05「1943年11月13日。軽巡洋艦木曾、マニラ湾停泊中に敵機動部隊の攻撃により大破着底」「俺みたいに沈んだわけじゃなかったな、思い出した」「忘れたいとは思わないが、ハッキリ覚えてるのもあまり良い気分ではない」「そりゃそうだ、沈んだも着底したも特に変わらねぇ」
2015-08-15 12:50:19「…木曾、大破着底ってどういう気分だよ?」「そうだな…体をロープで縛られてるというか…まだ戦えるはずなのに動けない、とにかくもどかしかった。北上姉さんは本土の方で回天がどうこうっていうヤバいことになってたみたいだけど、俺はとにかく戦いたかった」
2015-08-15 12:55:07「木曾、もう少し付き合ってやるから一本寄越せ」「おう」…メンソールのおかげでちょっと頭がすっきりしてきた「榛名や伊勢、日向なんかが羨ましい。最後の最後まで戦えたんだからな。本土の方での大破着底じゃないから、ただただ海に浸かってるだけでぼーっと…」
2015-08-15 13:00:10「沈んで役目を終えた、俺みたいな船のことはどう思ってるんだ?」「正直羨ましいさ。どうせ戦うなら、戦いの中で派手に散って役目を終えたい。それが無理ならせめて、故郷で玉音放送を聞きたかった…」
2015-08-15 13:05:06「…木曾、お前はまだ戦いたいか?」「当たり前だ。何の為に頑張って来たのか意味がわからなくなるしな」「なら軽く昼寝でもしとけ。昼間は鎮守府正面の警備任務以外特に無しだが、日が暮れたら今日も出撃だ。なんなら雷撃演習用プールも開放してやる、魚雷ぶっ放して来い」「わかった」
2015-08-15 13:10:04はぁ…外、暑そうだな。こうもクソ暑い時期に、そこらが瓦礫の山になってたんだよな、70年前は…。たまにで良い、誰かの戦没日やこういう日はなるべく静かに24時間過ごしたいもんだ…龍田と間宮のとこにでも行こうかな?
2015-08-15 13:15:05願わくば、自分達の過去が
連合艦隊と帝国陸軍の戦った記録が
ひとりでも多くの人間の知る物となっていて欲しい
次の10年が過ぎた時
その時は戦後生まれが何割になっているかわからないから
その時の日本の在り方を考える為に必要なことだと思うから
紫煙鎮守府所属 長門型戦艦一番艦・長門