羊君主と白き民

グランクレスト大戦番外編、大禍災のキャラのRPまとめ。
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猫憑ノコ @okurisuzume

@okurisuzume その国は混沌を飲み込んで―― @diceda4 2D6

2015-09-19 23:40:43
猫憑ノコ @okurisuzume

@okurisuzume 奮迅によりダメージは0 出目7により奮迅発動 出目3により次の合計値に+3 出目4によりトラウマスイッチ発動 twitter.com/diceda4/status…

2015-09-19 23:45:05
猫憑ノコ @okurisuzume

がらがら。がしゃん。 雲の王国は、混沌を飲み込みすぎて重くなっていたのです。 まるで雲が雨になって地上に降り注ぐように、嵐に雲が吹き飛ばされるように。その王国は、一瞬にして崩れ去りました。 ――君に、最後の希望を。 「私になんて、無理だよ!」 メエ、メエ。

2015-09-19 23:53:19
猫憑ノコ @okurisuzume

@okurisuzume 君主の消えた国は、滅びるしかありませんでした。 いいえ、正確には、君主はいました。豊かな国を築き上げ、多くの混沌を治めた立派な君主とは似ても似つかない、羊を連れた無能な君主が。 「私には無理だよ!私はただの羊飼いよ!ねえ聞いて、お願い!」

2015-09-20 00:00:12
猫憑ノコ @okurisuzume

@okurisuzume 君に、最後の希望を―― 「私が国民を守れるはずなんてないじゃない!君主なら、最後まで国を守ってよ!」 助けてくれ、混沌が―― 「私は君主なんかじゃない!!」 君主様―― 「もう嫌ああー!!」 どんがら、がしゃん。 メエエエ。

2015-09-20 00:07:15
猫憑ノコ @okurisuzume

@okurisuzume 何も知らぬ少女に国を治める術はなく 混沌に飲み込まれ、頼るものをなくした人々は去った どうしてこんなことになってしまったの? 答えるのは残った白い民ばかり ああ、あの日山奥に行かなければ。 ああ、私が彼の最後を見たばかりに。

2015-09-20 00:12:15
猫憑ノコ @okurisuzume

@okurisuzume メエエ、メエエ それから少女は白き国の君主となった 彼女に答えた白き民を守るために 彼女は白き鎧を纏い 慣れぬ言葉で奮迅しては 今日も彼らと駆けるのだ。 おお見よ、あれはまさに雲の王国! メエエエ……

2015-09-20 00:19:22

猫憑ノコ @okurisuzume

「……ッ!!」 寝台から、跳ね起きた。 夢を見た。思い出したくもない、しかし逃れるわけにもいかぬ、苦い記憶の夢。 「私としたことが」 荒れる呼吸を整え、窓の外を見る。月と星は……真夜中の位置。 町はすっかり寝静まっている。 #羊君主と白き民

2015-09-21 00:28:16
猫憑ノコ @okurisuzume

……眠らなければ。 そう思って寝台を見たが、再び眠る気にはなれなかった。 外に出よう。無意識に、そう思う間もなく足が動いた。 民が眠る、大きな羊小屋へと向かう。我ながら、随分と速足だった。 ……そっと、小屋の扉を開ける。 #羊君主と白き民

2015-09-21 00:32:09
猫憑ノコ @okurisuzume

そこで、自分が鎧を着ていないことに気が付いた。 「……」 数秒、その場で固まる。 民に、鎧を纏わない姿を見せたことは殆どなかった。普段は狼や山賊を警戒し、いつでも民を守れるようにと気を張っていたからだったのだが……。 一歩、足が部屋へと後戻りする。 #羊君主と白き民

2015-09-21 00:37:25
猫憑ノコ @okurisuzume

しかし、それは一歩でとどまった。ここは町の中である上に、宿の中なのだ。鎧を纏って警戒する必要などない。そう頭の中で繰り返し、小屋の中へと足を踏み入れる。 幸い、民は皆寝静まっていた。侵入者に気付く者はいない。 #羊君主と白き民

2015-09-21 00:41:28
猫憑ノコ @okurisuzume

小屋の中の羊の匂いに、どこか安心する。 やはり、私は民の中にいなければ落ち着かないらしい。そう考えて苦笑した後、自分が1人で寝ることもできない幼稚な子供のように思えて、恥ずかしくなった。 部屋に戻ろう。もう一度足が引き返す。しかし、あの夢の記憶が邪魔をした。 #羊君主と白き民

2015-09-21 00:45:32
猫憑ノコ @okurisuzume

「……」 ……結局、いつものように民たちの真ん中に腰を下ろして横になった。部屋を用意してくれたライモンド殿には申し訳なかったが、今夜はこうして眠りたい。 ふかふかした民の背中に身を預けながら、目の前で眠る民に向かってぼそりと呟く。 #羊君主と白き民

2015-09-21 00:49:10
猫憑ノコ @okurisuzume

「……私は、もう一度人の民を持っても良いのだろうか」 もちろん民は答えない。 「……躊躇するのは可笑しいな。望んできたことだというのに」 「……私は、怖いのかもしれない」 「民の助けなくては戦いもろくにできず、広い土地を治めることもできない君主など……」 #羊君主と白き民

2015-09-21 00:54:24
猫憑ノコ @okurisuzume

……。 羊毛に、顔をうずめた。 「……ダメだなあ」 ふうっと、溜息。 「私はもう、逃げないって決めたんだから。聖印を持っちゃった以上、しっかりしなきゃね」 これは自分に向けての言葉。 「しっかりしなきゃ。しなければ。もう二度と、あの悪夢を繰り返さぬと決めたのだ」 #羊君主と白き民

2015-09-21 01:04:36
猫憑ノコ @okurisuzume

明日は情報収集だ。嵐はもう、すぐそこまで迫っているだろう。時間を無駄にはできない。 「……おやすみ」 最後にそう呟くと、柔らかい民の背を感じながら、目を閉じた。 #羊君主と白き民

2015-09-21 01:08:38
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